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ヘイトスピーチに関する質問主意書
衆議院 第196回 第122号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×2
質問本文
近年、我が国においては、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、適法に居住するその出身者又はその子孫を、我が国の地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動が行われ、その出身者又はその子孫が多大な苦痛を強いられるとともに、当該地域社会に深刻な亀裂を生じさせており、このような事態をこのまま看過することは、国際社会において我が国の占める地位に照らしてもふさわしいものではないという認識に基づき、平成二十八年五月二十四日第百九十回国会において、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(以下「法」という)が成立した。以下、法の施行状況について質問する。
一 法第四条は、国の責務として、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を実施するとともに、地方公共団体が実施する本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を推進するために必要な助言その他の措置を講ずる」ことと定めるが、国が法施行以降に実施した、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策」及び「地方公共団体が実施する本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を推進するために必要な助言その他の措置」を、それぞれ具体的に明らかにされたい。また、現時点でその措置は十分なものであると考えているか、十分ではない場合、今後いかなる措置をとることを考えているか、政府の見解を示されたい。
あわせて地方公共団体がその地域の実情に合わせて国の施策より効果的な規制を設けることは法の趣旨に反しないと考えるが、その点についても見解を示されたい。
二 法第五条は、国の責務として「本邦外出身者に対する不当な差別的言動に関する相談に的確に応ずるとともに、これに関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう、必要な体制を整備するものとする」と定めるが、国が法施行以降に整備した、「相談体制」及び「紛争防止・解決体制」をそれぞれ具体的に明らかにされたい。また、現時点でその措置は十分なものであると考えているか、十分ではない場合、今後いかなる措置をとることを考えているか、政府の見解を示されたい。
三 法第六条は、国の責務として、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動を解消するための教育活動を実施するとともに、そのために必要な取組を行うものとする」と定めるが、国が法施行以降に実施した、「不当な差別的言動を解消するための教育活動」と「そのために必要な取組」を具体的に明らかにされたい。また、現時点でその措置は十分なものであると考えているか、十分ではない場合、今後いかなる措置をとることを考えているか、政府の見解を示されたい。
四 法第七条は、国の責務として、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性について、国民に周知し、その理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動を実施するとともに、そのために必要な取組を行う」と定めるが、国が法施行以降に実施した、「不当な差別的言動の解消の必要性について、国民に周知し、その理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動」及び「そのために必要な取組」をそれぞれ具体的に明らかにされたい。また、現時点でその措置は十分なものであると考えているか、十分ではない場合、今後いかなる措置をとることを考えているか、政府の見解を示されたい。
五 平成二十九年において、全国で発生した不当な差別的言動を伴うデモや街頭宣伝は何件か。同法施行前と比較した増減を示されたい。また、件数を把握していない場合は調査すべきと考えるが政府の見解を示されたい。
六 日本政府は、人種差別撤廃条約第四条(a)及び(b)の留保を撤回すべきとの人種差別撤廃委員会の最終見解に対し、平成二十五年一月の政府報告において、「右留保を撤回し、人種差別思想の流布等に対し、正当な言論までも不当に萎縮させる危険を冒してまで処罰立法措置をとることを検討しなければならないほど、現在の日本が人種差別思想の流布や人種差別の煽動が行われている状況にあるとは考えていない」との立場を取っているが、法制定前後に行われた政府の調査(平成二十七年度法務省委託調査研究事業「ヘイトスピーチに関する実態調査報告書」)等からも、現在の日本において過激な人種差別思想の流布や人種差別の煽動が行われている状況がうかがえるのであって、法施行後も不当な差別的言動が根絶されたとはいえない状況である。これに対して人種差別撤廃条約第四条(a)及び(b)の留保を撤回して処罰立法措置をとるなど実効性のある施策を再検討すべきとの考え方があるが、政府としてどのように考えているのか見解を示されたい。
七 いくつかの地方公共団体で、不当な差別的言動がなされるおそれがある場合に、公園などの公的施設の利用を事前に規制できるガイドラインが公表されている。国は、同様の取組を全国的なものにする施策についてどのように考えるか、政府の見解を示されたい。
八 不当な差別的言動はとりわけインターネットを通じて過激化し巧妙化する傾向が見られるため、インターネットにおける不当な差別的言動を規制する声が高まっている。
地方公共団体のインターネットパトロール支援など、インターネットにおける差別的言動規制についてどのように考えるか、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一から四までについて
国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(平成二十八年法律第六十八号)第四条第一項の規定に基づき、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を実施する責務を有するところ、具体的には、同法第五条第一項に規定する「必要な体制」の整備として、法務省において、平成二十九年四月から、「外国語人権相談ダイヤル」及び「外国人のための人権相談所」における対応言語を六か国語に拡大するとともに、従来一部の法務局・地方法務局で取り扱っていた「外国人のための人権相談所」の業務を全ての法務局・地方法務局で行うこととするなどし、同法第六条第一項に規定する「教育活動」の実施及び「そのために必要な取組」として、文部科学省において、都道府県教育委員会等に対する「「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」の施行について」(平成二十八年六月二十日付け二十八生社教第一号文部科学省生涯学習政策局社会教育課長、初等中等教育局児童生徒課長及び高等教育局高等教育企画課長連名通知)の発出や都道府県教育委員会の担当者等を集めた会議等各種の機会を通じ、同法の趣旨等についての周知を図るとともに、学校における人権教育の一層の推進を図るため、学校における外国人の人権尊重に関する実践事例を文部科学省のホームページに掲載すること等の取組を実施するなどし、同法第七条第一項に規定する「啓発活動」の実施及び「そのために必要な取組」として、法務省において、外国人に対する偏見や差別を解消し、国際化時代にふさわしい人権意識を育てることを目指して、「外国人の人権を尊重しよう」を強調事項の一つとして掲げ、啓発ビデオ、啓発ポスター及び啓発冊子等の作成・配布等、各種啓発活動を実施するなどしている。また、同法第四条第一項に規定する「地方公共団体が実施する・・・取組に関する施策を推進するために必要な・・・措置」としては、法務省において、関係省庁や地方公共団体の担当者が出席する人権教育・啓発中央省庁連絡協議会ヘイトスピーチ対策専門部会を開催したほか、地方公共団体が本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を推進するに当たって参考となる情報を希望する地方公共団体に対し提供するなどしている。このように、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を、いずれも、適切に推進してきているところであり、引き続き、これらを推進してまいりたい。
また、御指摘の「国の施策より効果的な規制を設けることは法の趣旨に反しない」の具体的に意味するところが明らかではないため、これについてのお尋ねにお答えすることは困難である。
五、七及び八について
お尋ねの「不当な差別的言動を伴うデモや街頭宣伝」、「同様の取組を全国的なものにする施策」及び「地方公共団体の・・・インターネットにおける差別的言動規制」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
六について
あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(平成七年条約第二十六号)第四条(a)及び(b)は、締約国に対し、一定の行為につき処罰立法措置等をとることを義務付けるものであるが、我が国は、この規定に基づく義務については、憲法の下における集会、結社及び表現の自由その他の権利の保障と抵触しない限度において履行する旨の留保を付しており、当該限度において刑法(明治四十年法律第四十五号)等によりその履行を担保している。
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