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国際法上の交戦者の権利・義務に関する質問主意書
衆議院 第196回 第374号お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×7承知していない ×1
質問本文
日本国憲法第九条第二項を考えるに当たって、関係する国際法上の根拠等について、質問する。
日本国憲法第九条第二項は「国の交戦権は、これを認めない」と定める。その意味について、歴代、内閣法制局が、「戦いを交える権利ではなく、交戦国が国際法上有する種々の権利の総称」である旨の説明をしていることは承知している。その上で、現行憲法第九条第二項に関する憲法解釈ではなく、国際法上の考え方について、外務省に対し、以下、質問する。
一 国際法上、交戦権という概念はあるのか。
二 交戦状態の権利(rights of belligerency)、交戦者の権利(belligerent's right)とは、国際法上、いかなる権利のことか。また、その権利の主体(交戦者)は国家なのか、それとも軍事組織なのか、それとも個々の戦闘員なのか。
三 国際法上、交戦国が有する諸権利の総称というが、諸権利の中身を示した文献は数十年前のものである。現在、政府が、国際法上、認められていると考える諸権利とはどういうものか。また、政府が列挙する諸権利のうち、わが国が国連憲章第五十一条の下で、行使できると思われる権利は何か。また、それらは、どのような形態で行使することになるのか。
四 捕虜に関する権利・義務も交戦者の権利に該当すると考えるが、
1 交戦者には、国際法上、捕虜としての権利保障があると考える。自衛隊は、日本国憲法第九条第二項前段により、軍隊ではないという位置づけになっていると承知しているが、PKO(国連平和維持活動)で派遣された自衛官が受入国で「国又は国に準ずる者」に捕獲された場合、国際法上、軍人として当然に享受すべき捕虜としての待遇を要求しないのか。捕虜としての待遇は要求しないが、捕虜に類する者として、捕獲した者に対し、人道的な待遇を求めるということか。
2 わが国は捕虜取扱い条約を批准し、捕虜取扱い法を制定しているが、他国の軍人を、人道的見地から、国際標準に基づいて、捕虜として取り扱うことは重要な意義を有するものと理解する。他方、日本国憲法第九条第二項で交戦権を保有しないわが国は、どのような根拠に基づいて、捕虜の取扱いを定めているのか。他国から、交戦権がないことを理由に、捕虜を適正に待遇していないと見られる恐れはないのか。
五 東京裁判では、合法的交戦者の権利(right of lawful belligerent)が認められず、多くの被告人が戦争犯罪人として有罪宣告を受け、処断されたが、アメリカ主導の裁判で用いられた交戦者に対するこうした考え方と日本国憲法第九条第二項の交戦権は、同様のものと理解していいのか。
六 外務省は、国際社会に対して、わが国の憲法上の交戦権規定を紹介し、かつ、この規定を尊重するよう働きかけたことはあるのか。
七 交戦者と戦闘員は、国際法上、同様の概念とみなしていいのか。
八 交戦者が有する国際法上の中立義務は、わが国が憲法上、交戦権を放棄したことで、影響を受けるのか。
九 わが国が交戦権の制約で、たとえ武力攻撃事態にあっても、船舶検査はできても、臨検ができないというのが法の建前と理解している。わが国のこのような解釈に拘束されない他国は、同じ国連憲章第五十一条の下で自衛権を行使する際に、臨検を行うことはできるのか。政府の見解を答えられたい。
右質問する。
政府答弁書
一及び三について
一般国際法上、「交戦権」については、確立した定義があるとは承知していないが、一般に、戦争自体が国家政策の遂行手段の一つとして認められていた伝統的な戦時国際法の下において、国家が「交戦国」として有する国際法上の諸権利を指すと考えられている。しかしながら、武力の行使が原則的に禁止され、国際法上戦争が違法化された国連憲章の下においては、戦争が違法ではないことを前提とした伝統的な意味での「交戦権」をそのままの形で適用することはできないと考えている。その上で、各紛争当事国は、個別の事例ごとにおける国際法上の根拠に基づき、その認める範囲内で、従来であれば「交戦権」の行使として認められていた措置をとることが可能であるが、当該措置の態様がいかなるものになるかについては、具体的な状況に応じて異なると考えられるため、一概に述べることは困難である。
二について
お尋ねの「交戦状態の権利(rights of belligerency)」及び「交戦者の権利(belligerent's right)」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、一般国際法上の「交戦権」については、一及び三についてでお答えしたとおりである。
四の1について
お尋ねは、戦争犠牲者の保護に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約(昭和二十八年条約第二十三号、第二十四号、第二十五号及び第二十六号。以下「ジュネーヴ諸条約」という。)及び千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書I)(平成十六年条約第十二号。以下「第一追加議定書」という。)における捕虜に関する規定に関するものであると考えられるところ、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号)に基づく我が国の国際連合平和維持活動への参加は、同法第三条第一号イ、ロ又はハに規定する場合に行われるものであり、かつ、同法第六条第十三項第一号、第二号又は第三号に掲げる場合には国際平和協力業務を中断し、又は国際平和協力隊の派遣を終了することとしていることから、国際連合平和維持活動のために実施される国際平和協力業務を行っている自衛隊の部隊等又は自衛隊派遣隊員が当該活動が行われる地域の属する国又は紛争当事者から国際的な武力紛争の一環として行われる攻撃等を受けて、当該部隊等に所属する自衛隊員又は当該自衛隊派遣隊員が捕らえられ、ジュネーヴ諸条約及び第一追加議定書上の捕虜となる事態は想定されない。
万が一、自衛隊員が外国等に不法に身柄を拘束された場合には、政府としては、当該自衛隊員の即時解放を強く求めていくこととなる。また、解放されるまでの間は、その身柄は、少なくとも、普遍的に認められている人権に関する基準並びに国際人道法の原則及び精神に従って取り扱われるべきであることは当然であると考えている。
四の2について
お尋ねの「交戦権がないことを理由に、捕虜を適正に待遇していないと見られる恐れ」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国は、捕虜の待遇に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約(昭和二十八年条約第二十五号)その他の捕虜等の取扱いに係る国際人道法の的確な実施を確保するため、武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の取扱いに関する法律(平成十六年法律第百十七号)を定めており、捕虜等の取扱いに当たっては同法に基づき適切に対応することとしている。
五について
お尋ねの「合法的交戦者の権利(right of lawful belligerent)」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
いずれにせよ、我が国は、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号)第十一条により、極東国際軍事裁判所の裁判を受諾しており、国と国との関係において、同裁判について異議を述べる立場にない。
六について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、憲法第九条の規定の趣旨については、諸外国に対して、様々な機会を捉えて、説明してきている。
七について
お尋ねの「交戦者」及び「戦闘員」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
八について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、仮に「交戦国」に対して一定の義務を負う国家としての「中立国」の義務についてのお尋ねであれば、当該「中立国」という概念は、戦争自体が国家政策の遂行手段の一つとして認められていた伝統的な戦時国際法の下で発達したものであり、武力の行使が原則的に禁止され、国際法上戦争が違法化された国連憲章の下においては、戦争が違法ではないことを前提としたこのような概念は、現在では用いられなくなっている。
九について
お尋ねの「わが国のこのような解釈に拘束されない他国」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国内法による制約を別として、国際法上の観点からは、一及び三についてでお答えしたとおり、各紛争当事国は、個別の事例ごとにおける国際法上の根拠に基づき、その認める範囲内で、従来であれば「交戦権」の行使として認められていた措置をとることが可能であると考えている。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×7承知していない ×1
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。
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