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横須賀での石炭火力発電所建設計画に関する質問主意書

衆議院 第198回 第218号趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1

提出者
立憲民主党・無所属フォーラム
提出日
2019年6月12日
内閣転送 2019年6月17日
答弁書受領日
2019年6月21日
提出から9日
答弁の項目数
8
質問 2,881字/答弁 2,138字

質問本文

集中豪雨や洪水、干ばつといった異常気象が世界的に多発し、気候変動問題が深刻化している中、二〇二〇年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組み「パリ協定」に基づく気温上昇「一・五〜二℃目標」の達成と脱炭素化の早期実現は喫緊の課題である。気候変動に関する政府間パネル、IPCCの「一・五℃特別報告書」によれば、このままいけば地球の平均気温は早ければ二〇三〇年には工業化以前に比べて一・五℃上昇するとされ、この先十年の二酸化炭素削減が鍵であることも明らかになっている。現在、世界は「脱石炭」に向かっており、イギリス、フランス、カナダ、イタリアなど世界二十八カ国が、遅くとも二〇三〇年までに国内の石炭火力発電所をすべて廃止することを決定、また金融機関や投資家などが石炭関連産業から投融資を撤退する一方、再生可能エネルギーへの投融資が大きく伸びている。ところが日本では、二〇一二年以降に計画された石炭火力発電所が二十基以上もあり、世界的な「脱石炭」の流れに明らかに逆行していると言わざるをえない。

神奈川県においても、株式会社JERAによる(仮称)横須賀火力発電所新一・二号機建設計画(以下、「本事業」とする。)があり、新規建設に向けた本格工事が今年八月一日にも始まるとされている。そこで本事業に関連して、以下質問する。

一 二〇一八年八月十日、本事業の環境影響評価準備書に対する環境大臣意見が公表された。この意見書において中川雅治環境大臣は、本事業により「追加的な二酸化炭素の年間排出量は七百二十六万トン程度にも及ぶことから、環境保全面からは極めて高い事業リスクを伴う」ものであるとし、事業者に対しては、そのことを改めて自覚し、「二〇三〇年度及びそれ以降に向けた本事業に係る二酸化炭素排出削減の取組への対応の道筋が描けない場合には事業実施を再検討することを含め、あらゆる選択肢を勘案して検討することが重要」だと指摘した。こうした指摘があったにもかかわらず、株式会社JERAは、本事業の着工を八月から開始すべく準備工事を進めている。現時点で国は、本事業が環境保全面から妥当であると判断されているのか、見解をあきらかにされたい。

二 政府は二〇一六年五月、二〇五〇年までに温室効果ガス排出量の八十%削減を目指すとの目標(以下「二〇五〇年目標」という。)及び、二〇三〇年度に二〇一三年度比で二十六%削減するとの目標(以下「二〇三〇年目標」という。)を、目標達成のための措置とともに地球温暖化対策計画として閣議決定済みである。問一に示したとおり、環境大臣意見では「二〇三〇年度及びそれ以降に向けた本事業に係る二酸化炭素排出削減の取組への対応の道筋が描けない場合には事業実施を再検討すること」と述べているが、株式会社JERAは二〇三〇年目標及び二〇五〇年目標に整合する道筋を、具体的にどのように政府に示したのかあきらかにされたい。

三 本事業の環境影響評価では、火力発電所リプレースに係る環境影響評価手法の合理化に関するガイドライン(二〇一二年)が適用されている。株式会社JERAの親会社である東京電力フュエル&パワー株式会社が、本事業が石油を燃料とする三〜八号機及び軽油・ガスを燃料とする非常用設備一・二号ガスタービン発電設備を廃止し、新たに石炭を燃料とする発電設備(出力約百三十万kW)を設置することから、いわゆる「改善リプレース」であるとして、環境影響評価の調査の一部が省略されて手続きが進められてきた。そして、三〜八号機の六基(石油)と、ガスタービン二基を「既設稼働時(現状)」としたうえで、既設稼働時の「現状」とはいつの時点であるかを示さないまま、新設する石炭火力とを比較し、環境負荷の低減を謳っている。

しかし、二〇〇一年時点で、設置されている発電所設備の七割で恒常的な稼働が行われておらず、二〇〇五年までに三・四号機を除くすべての発電所が「長期計画停止」の対象とされ、二〇一〇年にはすべての発電機が「長期計画停止」となった。また東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故後、東京電力は横須賀火力発電所の再稼働を目指したが、再稼働を実現することができたのは二号ガスタービンと三・四号機のみであった。そしてこれらの発電機も二〇一三年には再び長期計画停止となっているのが実情である。

(1) 横須賀火力発電所の一九八〇年以降の二酸化炭素排出量の推移を、政府が把握しているのであれば経年ごとに明らかにされたい。

(2) 本件既設発電所の稼働時(現状)について、いつの時点の排出量を「現状」として適用したのか、また、その時点を「現状」とした根拠を明らかにされたい。

(3) 燃料を石油から石炭に変更することで、発電における温室効果ガス排出係数が六百二十七g/kWhから七百四十九g/kWhと増加することは事業者が環境影響評価準備書で示しているとおりである。そこで、本事業を「改善リプレース」とする妥当性について、政府のお考えを示されたい。

(4) 新規発電所の建設・稼働によって、少なくとも過去また二十年間の排出を超える二酸化炭素排出量が見込まれるにもかかわらず「妥当」だと判断しているのであれば、環境影響評価手続きの審査過程において、どの時点で妥当だと判断したのかについても示されたい。その場合の設備利用率をどのように評価したのかを明らかにされたい。

四 二〇一九年二月十五日、経済産業省は、「中部電力株式会社、東京電力フュエル&パワー株式会社、株式会社JERAから提出された『事業再編計画』について、産業競争力強化法第二十三条第二項の規定に基づき審査した結果、同法第二条第十一項に規定する事業再編を行うものとして、同法で定める認定要件を満たすと認められるため、『事業再編計画』の認定」を行ったと公表した。この認定により、中部電力株式会社、東京電力フュエル&パワー株式会社、株式会社JERAの会社分割に伴う不動産の所有権移転登記に係る登録免許税の軽減措置及び指定金融機関(株式会社日本政策投資銀行)による長期・低利の大規模融資を受けることが可能になると承知している。報道によれば、本事業の開発資金として調達された二千七百二十億円の融資は、日本政策投資銀行ほか五つの銀行が加わって行ったとされるが、日本政策投資銀行による本事業への融資額を示されたい。

五 本年五月十五日に三菱UFJフィナンシャル・グループが環境・社会ポリシーフレームワークを改定し、石炭火力発電への融資方針を強化したことは、数日前にシンガポールの三大銀行が石炭火力発電への新規融資停止を表明したことに続く動きで、世界の主要な石炭火力発電への資金提供者である三菱UFJフィナンシャル・グループの方針転換は、金融界のエネルギー問題への取り組みにおいて大きな変化を示唆するものであり、国内外の環境NGO八団体からも歓迎された。日本政策投資銀行も、同様の方針転換を速やかに行うべきではないか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一及び三の(4)の前段について

お尋ねの「妥当」であるとの「判断」の意味するところが必ずしも明らかではないが、経済産業大臣は、株式会社JERAからの電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第四十六条の十一の規定による「(仮称)横須賀火力発電所新一・二号機建設計画環境影響評価準備書」(以下「準備書」という。)の届出に係る同法第四十六条の十四第一項の規定による審査において、環境大臣から、「世界の潮流に逆行するような地球温暖化対策が不十分な石炭火力発電は是認できなくなるおそれもあり、石炭火力発電に係る環境保全面からの事業リスクが極めて高いことを改めて強く自覚し、二千三十年度及びそれ以降に向けた本事業に係る二酸化炭素排出削減の取組への対応の道筋が描けない場合には事業実施を再検討することを含め、あらゆる選択肢を勘案して検討することが重要である」との意見が示されたことを踏まえ、平成三十年九月十四日に、同項の規定による勧告を行ったところ、同社は、当該勧告を踏まえて、同法第四十六条の十五第一項の規定による検討を加え、「(仮称)横須賀火力発電所新一・二号機建設計画環境影響評価書」(以下「評価書」という。)を作成し、同法第四十六条の十六の規定により、同年十一月十五日に届け出た。経済産業大臣は、これを受けて、同社が二酸化炭素排出削減に係る対策に取り組み、当該内容を公表することについて追記したこと等、評価書における当該勧告の反映状況を踏まえ、評価書を変更すべきことを命ずる必要がないと判断し、その旨を同法第四十六条の十七第二項の規定により、同月三十日に同社に通知しているところである。

二について

お尋ねの「株式会社JERA」の「二〇三〇年目標及び二〇五〇年目標に整合する道筋」については、環境省として、環境影響評価に関連して平成三十年七月に同社に聴取りを行った際に、同社が平成三十一年四月に承継することとされていた東京電力フュエル&パワー株式会社及び中部電力株式会社がそれぞれ平成三十年七月時点で所有していた火力発電設備のうち低効率の発電所を休廃止又は稼働抑制すること等によって、エネルギーの使用の合理化等に関する法律(昭和五十四年法律第四十九号)第五条第一項の規定に基づき定められた工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準(平成二十一年経済産業省告示第六十六号)に示されている火力発電効率B指標を四十四・三パーセント以上とすること等の目標を二千三十年度に向けて達成することとしていること、及び二千三十年以降に向けて更なる二酸化炭素排出削減を実現する見通しを持って計画的に事業を実施していくことを確認している。

三の(1)について

横須賀火力発電所の燃料の使用に伴って発生する二酸化炭素の排出量については、地球温暖化対策の推進に関する法律(平成十年法律第百十七号)に基づき、温室効果ガスの排出者にその排出量の算定及び報告を義務付け、報告されたデータを国が集計及び公表する制度が導入された平成十八年度以降において、政府が把握しているところによれば、平成十八年度が百三十一万トン、平成十九年度が二百二十八万トン、平成二十年度が三百六十二万トン、平成二十一年度が百五十二万トン、平成二十二年度が二トン、平成二十三年度が二百十万トン、平成二十四年度が二百八十八万六千二百四十トン、平成二十五年度が百四十万九千九百二十五トン、平成二十六年度が二トン、平成二十七年度が零トンである。

三の(2)について

お尋ねの「時点」については、株式会社JERAが電気事業法第四十六条の五の規定により「(仮称)横須賀火力発電所新一・二号機建設計画環境影響評価方法書」(以下「方法書」という。)を届け出た平成二十八年十月二十日時点と認識しているところである。また、お尋ねの「根拠」の意味するところが必ずしも明らかではないが、環境省が作成した「火力発電所リプレースに係る環境影響評価手法の合理化に関するガイドライン(平成二十四年三月)」(以下「リプレースガイドライン」という。)において、火力発電所の温室効果ガス排出量を、「リプレース前後の設備利用率を同一として算出」することとされていることから、同社は、方法書の届出時点で廃止されていない設備からの排出量をリプレース後の設備利用率と同一の利用率を用いて算出し、方法書において「現状」として記載しているものと認識している。

三の(3)について

お尋ねの点については、準備書においてリプレース後には発電所からの温室効果ガスの排出量の低減が図られる旨が記載されており、リプレースガイドラインの適用条件を満たすことを、二についてで述べた環境省による株式会社JERAに対する聴取りにおいて確認しているところである。

三の(4)の後段について

お尋ねの「新規発電所」の「設備利用率」については、評価書において八十五パーセントと記載されている。

四について

政府としては、お尋ねの事業に係る株式会社日本政策投資銀行の融資額については承知していない。

五について

お尋ねについては、株式会社日本政策投資銀行において適切に判断すべきものと考えている。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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