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IPCC「一.五℃特別報告書」についての政府の対応に関する質問主意書

衆議院 第197回 第109号

提出者
立憲民主党・市民クラブ
提出日
2018年12月4日
内閣転送 2018年12月10日
答弁書受領日
2018年12月14日
提出から10日
答弁の項目数
3
質問 1,574字/答弁 1,192字

質問本文

地球温暖化に伴う気候変動の激化は異常気象や自然災害の形で国内外に大きな被害をもたらし、様々な化学物質による汚染は目に見えないところで拡大するなど、私たちの生命や社会・経済活動の基盤である「環境」の悪化はますます深刻さを増している。また、福島第一原子力発電所の過酷事故は、全世界に原発の危うさと私たちの文明の「豊かさ」に対する根源的な議論を投げかけた。さらに、世界を見渡せば、環境の破壊のみならず、貧困、格差、紛争、移民・難民の大量発生など社会・経済上の諸問題もますます危機的様相を深めており、このままでは人類社会の存続さえも危ぶまれる状況にある。

これらの問題は、これまでの私たちの価値観や暮らし方、技術、社会経済システムに起因している。特に今日私たちが依存している経済は、科学技術の絶え間ない進展を前提に、地球の有限性や真の豊かさなどを考えることなく、経済の規模の拡大と効率性の追求に明け暮れるものであり、多くの人と組織が、過去もそして現在もこの道を志向し続けている。

しかし、世界人口が七十億人台の半ばに達し、今後も毎年八千万人前後の増加が見込まれることに加え、一人ひとりが物質的に豊かで快適な生活を求めている中では、かつては無限と考えられていた地球の環境やそこに存在する各種資源は、二十世紀後半から劣化の兆しを見せ始め、今では、専門家のみならず良識ある市民なら誰でも認識できるまでに悪化している。

そのため、問題解決に向けては、現状追認型の小手先の取り組みでは到底不十分である。科学的根拠に基づく倫理的で政治的な判断と、人間の叡智に基づく大きな社会変革を伴う根源的な取り組みが不可欠である。

二〇一五年パリ協定が批准され、世界は脱炭素社会へと舵を切った。しかし、残念ながら国内では、根源的な政策転換は遅々として進まず、持続性をないがしろにした短期的な経済重視の政策が優先され続けている。

こうした中で、去る十月八日、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)「一.五℃特別報告書」が発表された。

これに関して、以下質問する。

一 十月八日、IPCCはいわゆる「一.五℃特別報告書」を発表したが、その報告書の中では「現状程度の対策のままでは、早ければ二〇三〇年にも一.五℃上昇に達してしまう」とし、そのためには、「二〇三〇年までにCO2排出量を二〇一〇年レベルに比べて約四十五%削減する必要がある」とし、さらに「二〇五〇年頃までにはほぼ正味ゼロにする必要がある」とも述べている。このことは承知しているか。

二 日本政府が現在持っている中長期の目標は二〇一三年比で温室効果ガス総量で二〇三〇年二十六%削減、二〇五〇年では八十%削減となっており、世界から「緩すぎる」と批判されている。先進国の一員である日本が、一.五℃目標達成に対し、もっと本腰を入れてCO2などの削減努力に努めなくてよいのか。IPCCの特別報告書を受けて、日本の目標(二十六%、八十%削減)を早急に引き上げるべきではないか。

三 IPCCでは昇温を一.五℃に抑えるには、すべての部門での排出量削減、様々な技術の採用、行動様式の変化、低炭素への投資などをこれまでにないスケールで展開することが必要としている。これらの指摘に対して、政府は、どう対応しようとしているのか。

四 温室効果が削減に非常に効果あるということで、炭素に価格をつけるカーボンプランシングがあり、多くの国がすでに導入して効果をあげている。日本でも三十年近く、こうした議論があるが、一部産業界の反対でいまだに導入されていない。現在、中央環境審議会でもこの議論が進められているようだが、その進捗状況はどうか。また、このままでは世界から大きく後れをとることになるが、なぜ効果があるのに導入に踏み切れないのか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

御指摘の「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)」が平成三十年十月八日に公表したいわゆる「一・五度特別報告書」においては、現在の進行速度で気温が上昇し続ける場合、世界全体の平均気温の上昇が、二千三十年から二千五十二年までの間で工業化以前の水準と比べて一・五度を超える可能性が高いと報告されていると承知している。

また、同報告書においては、長期的に気温上昇を一・五度に抑える二酸化炭素排出シナリオとして、�@その過程において一時的にも一・五度の気温上昇を超過しないもの、�A一時的に低位の超過を伴うもの及び�B一時的に高位の超過を伴うものの三つが示されているところ、�@及び�Aの排出シナリオでは、世界全体の人為起源の二酸化炭素の正味排出量(人為起源の排出量から人為的な除去によって削減された量を差し引いたものをいう。以下同じ。)が、二千三十年までに、二千十年と比べて約四十五パーセント(四分位範囲で四十パーセントから六十パーセント)減少し、二千五十年前後(四分位範囲で二千四十五年から二千五十五年)に正味排出量がゼロに達すると報告されていると承知している。

二及び三について

パリ協定(平成二十八年条約第十六号)は、「世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏二度高い水準を十分に下回るものに抑えること並びに・・・摂氏一・五度高い水準までのものに制限するための努力を・・・継続すること」を目的としており、政府としては、当該目的に沿って地球温暖化対策の取組を進めることが重要であると考えている。

こうした考え方に基づき、政府としては、「地球温暖化対策計画」(平成二十八年五月十三日閣議決定。以下「計画」という。)を定め、温室効果ガスを二千三十年度において二千十三年度比で二十六パーセント削減することを目指してあらゆる部門において対策に着実に取り組むとともに、少なくとも三年ごとにその目標及び施策について検討を加え、必要に応じて計画を見直すこととしている。あわせて、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会」を開催し、金融界、経済界、学界など各界の有識者を交えて関係省庁が連携し、温室効果ガスの低排出型の経済・社会の発展のための長期戦略を策定するため、長期的目標の在り方を含め検討を行っているところである。

四について

現在、環境省において、中央環境審議会地球環境部会にカーボンプライシングの活用に関する小委員会を設置し、これまで四回会議を開催しているところである。御指摘の炭素に価格をつけるカーボンプライシングの例としては、炭素税や国内排出量取引制度等が挙げられるところ、同小委員会においては、それらの地球温暖化対策としての効果、イノベーションへの効果、我が国産業の国際競争力への影響、他の施策との関係等について、御議論いただいているところである。

衆議院の原文

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