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鹿児島県大島郡瀬戸内町嘉徳海岸侵食対策事業に関する質問主意書

衆議院 第199回 第12号お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×8

提出者
立憲民主党・無所属フォーラム
提出日
2019年8月1日
内閣転送 2019年8月5日
答弁書受領日
2019年8月15日
提出から14日
答弁の項目数
7
質問 2,267字/答弁 1,782字

質問本文

奄美大島南部に位置する瀬戸内町嘉徳は海、川、浜が有機的に繋がっており、山と川と里と海が自然のまま残る、大変貴重な集落と海岸であることは前回質問主意書で述べた通りである。アオウミガメ・アカウミガメが産卵のために毎年上陸しており、過去にはオサガメ(絶滅危惧�TA類)も上陸している。ウミガメの産卵のための上陸は、産卵時期であるちょうど現在も嘉徳海岸で複数確認でき、実際に工事予定区域でのウミガメの産卵が確認できたことから鹿児島県の判断で工事は一時中断している状況にある。鹿児島県は、ウミガメ保護条例を制定し、県をあげてウミガメを保護しようと取り組んでおり、この度の工事を中止するという判断は条例を定めた県の意図に沿うものである。

しかし、ウミガメの孵化後、本件護岸工事を再び開始してしまえば、来年からウミガメが上陸することは極めて困難になり、県がウミガメ保護条例を定めたそもそもの趣旨にそぐわない結果を生じさせてしまうことは明らかである。また、ウミガメの多数上陸する自然のままの砂浜を保護することは、鹿児島県が進めている奄美大島の世界自然遺産登録に向けた動きに沿うものである。一方で、嘉徳海岸で護岸工事を進めることは、ウミガメの上陸を県自らが阻むことであり、世界自然遺産登録の障碍ともなり得ると思われる。

この度の工事一時中止を踏まえ、県が護岸工事を進めることは、県がウミガメ保護条例を定めた趣旨、世界自然遺産登録を目指していることと矛盾する行動であると考えている。以上に鑑み、以下質問する。

一 特に自然度が高く奄美大島の自然生態系を特徴的に有している本件嘉徳海岸及び嘉徳川について、推薦地域はもとよりバッファーゾーンからも外し、さらに開発を推し進めていくことは、開発を理由に自然遺産の保護範囲を縮小するもので、自然遺産登録の要件である完全性を損なうものとして、世界自然遺産登録に深刻な悪影響を及ぼし得る問題があることについて、どのように考え、どのように対応していくのか、政府の回答を求める。

二 鹿児島県が作成した実施設計図によると、既存の砂丘から十メートルほど前に護岸建設を計画しており、その護岸の前面に盛土と植栽を行うとなっている。その位置は多くのウミガメの産卵地になっており海洋生物学者の調査(令和元年七月に実施)によるとウミガメは砂丘の真下に産卵するため、計画されている護岸設置地が多くの産卵場所だということは統計的に証明されている。このことについてどのように考え、鹿児島県が作成した実施設計図はEco−DRR(Ecosystem based-Disaster Risk Reduction)(生態系を活用した防災・減災)を踏まえた取り組みと言えるのか、政府の見解を求める。

三 前回質問主意書に対する答弁書では、政府は嘉徳海岸におけるコンクリート護岸工事は、「Eco−DRRの考え方を踏まえた取組といえるもの」と答弁しているが、政府は嘉徳海岸におけるコンクリート護岸工事はEco−DRRそのものであると断言するのか、しないのか、政府の明確な回答を求める。また長さ百八十メートル、高さ六・五メートルの護岸建設には、何トンのコンクリートが必要か、また同量のコンクリートを使ったEco−DRRを踏まえた取り組みの事例はあるのか、政府が承知するところ、明らかにされたい。

四 鹿児島県による侵食対策検討委員会では、専門家や地元関係者は侵食の原因、砂浜の回復、侵食対策の工法、自然環境への影響について必要な議論をされたとあるが、具体的にどのような調査をしたのか、専門家が関わったEco−DRR工法の事例はあるのか、政府の承知しているところ、回答を求める。

五 Eco−DRRの活用は、平成三十年四月に閣議決定された環境基本計画に明記されている。嘉徳海岸は環境省によれば奄美大島で唯一の非サンゴ礁性砂浜であり、入江になっており、ポケットビーチと呼ばれる形状である。同じような場所で侵食後にEco−DRR工法での対策事例はあるか、また嘉徳海岸の侵食対策の工法と類似のものとして用海岸をあげているが用海岸は非サンゴ礁性砂浜でもなく、ポケットビーチと呼ばれる形状でもないことは明らかである。奄美大島内で嘉徳海岸と同様にポケットビーチである小湊海岸の護岸建設後のモニタリング調査はされているか、政府の承知しているところ、併せて明らかにされたい。

六 嘉徳海岸は平成二十六年の侵食から、わずか三〜四年で砂浜が回復した。このことについては鹿児島県も認めている。不可解な点は侵食が起こるまで海に繋がる嘉徳川の河口で平成二十五年から浚渫工事が行われていたことであるが、その影響で砂の供給バランスが崩れ背後に家屋等がない河口辺りとその沖合にだけに砂州が溜まるようになった。砂の供給が途絶えた墓地前の海底に砂州がなくなり、台風時の波のエネルギーが大きく影響したことは確かである。令和元年五月八日に住民が県の土木事務所で行った面談によると、砂の供給バランスが崩れ河口側に砂が溜まっていたことは写真を見ながら県も認めた。嘉徳川河口の浚渫工事について、住民や環境保護団体が瀬戸内町に対し開示請求を行ったが、平成二十七年からの情報しか開示されなかった。さらに、これについては検討委員会でも議論されなかったが、大きな原因の一つとして議論するべき事柄だと認識している。平成二十五年からの情報を明らかにすべきだと考えるが、その点について政府の見解を求める。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

御指摘の「推薦地域はもとよりバッファーゾーンからも外し、さらに開発を推し進めていく」、「開発を理由に自然遺産の保護範囲を縮小する」及び「自然遺産登録の要件である完全性を損なうものとして、世界自然遺産登録に深刻な悪影響を及ぼし得る問題がある」の意味するところが必ずしも明らかではないが、嘉徳海岸については、海岸法(昭和三十一年法律第百一号)等の関係法令の規定に基づき、海岸管理者である鹿児島県知事が管理を行っており、嘉徳海岸の侵食対策については、先の答弁書(令和元年七月五日内閣衆質一九八第二七六号)五についてで述べたとおり、現存の砂浜はそのまま活かした上で、背後地に家屋等が存する侵食された砂丘について防護対策を行いながら、護岸の前面に盛土と植栽を行うなど、可能な限り侵食を受ける以前の砂丘に戻そうとするものであると承知している。また、嘉徳川については、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)等の関係法令の規定に基づき、瀬戸内町によって適切に管理されているものと認識している。なお、平成三十一年二月一日(現地時間)にユネスコに推薦した「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」世界自然遺産推薦地及び緩衝地帯については、工事の有無にかかわらず、世界遺産として顕著な普遍的価値を有する地域を推薦地に選定した上で、推薦地の効果的な保護を目的にその周辺の自然環境や土地利用の状況を踏まえて緩衝地帯を設定しており、嘉徳海岸及び嘉徳川河口部は推薦地及び緩衝地帯に含まれていないところである。

二について

御指摘の「計画されている護岸設置地が多くの産卵場所だということは統計的に証明されている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、嘉徳海岸の侵食対策で実施する工事については、侵食された砂丘を元の位置に戻そうとするものであり、工事区域内にウミガメの産卵が確認された際には工事による孵化への影響を考慮し工事を一時中断するなど、ウミガメの産卵地であることについても配慮がなされているものと承知している。また、嘉徳海岸の侵食対策は、一についてで述べたとおりであり、生態系を活用した防災・減災(以下「Eco−DRR」という。)の考え方を踏まえた取組といえるものと承知している。

三の前段について

お尋ねの「Eco−DRRそのものである」の意味するところが必ずしも明らかではないが、二についてで述べたとおり、嘉徳海岸の侵食対策は、Eco−DRRの考え方を踏まえた取組といえるものと承知している。

三の後段について

護岸建設に必要なコンクリートの量については、侵食対策を行う場所の状況等に応じて異なるものであり、一概にお答えすることは困難である。また、お尋ねの「事例」については、「同量のコンクリートを使った」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

四について

お尋ねの「調査」については、鹿児島県により、測量や環境調査が行われたほか、専門家が現地に入り侵食被害の状況を直接確認する等の調査が行われたものと承知している。また、お尋ねの「専門家が関わったEco−DRR工法の事例」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、鹿児島県において設置された「嘉徳海岸侵食対策事業検討委員会」の専門家が関わったEco−DRRの考え方を踏まえた取組の他の事例を意味するものであるとすれば、政府としてEco−DRRの考え方を踏まえた取組について網羅的な事例収集を行っておらず、そうした事例の有無について、政府としてお答えすることは困難である。

五について

お尋ねの「同じような場所」及び「Eco−DRR工法」の意味するところが明らかではないため、お尋ねの「対策事例」についてお答えすることは困難である。また、御指摘の「嘉徳海岸と同様にポケットビーチである」の意味するところが必ずしも明らかではないが、小湊海岸の護岸建設後のモニタリング調査については、調べた限りではその実施を確認できていない。

六について

御指摘の「平成二十五年からの情報を明らかにすべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、住民等から市町村等が情報公開を求められた場合に、その情報について公表すべきか否かについては、当該市町村等が情報公開条例等に基づき判断すべきものと考える。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×8

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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