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自動車の水没による車中死の防止対策に関する質問主意書
衆議院 第200回 第125号
質問本文
今秋の台風第十九号、台風第二十一号は各地に大きな被害を及ぼした。令和元年十一月十二日の毎日新聞朝刊によると、これらの台風で亡くなられた百三名のうち、水害の犠牲者は七十二人、中でも車中での死者が三十人を占めると報じ、車内に閉じ込められる危険性が改めて認識されることになった。
平成二十三年三月十一日の東日本大震災においても、津波により車中で多くの方が被害に遭われている。一方で、東日本大震災の被災者に対し内閣府等が行った「平成二十三年度東日本大震災における避難行動等に関する面接調査」によると、五割強が自動車による避難を行い、「実際に車によって避難が成功した」(平成二十七年三月二十七日参議院東日本大震災特別委員会における松本洋平内閣府大臣政務官答弁)地域もあり、これらの結果を踏まえて平成二十三年十二月二十七日の中央防災会議において防災基本計画が修正され、津波発生時の避難は原則徒歩とするものの、やむを得ない場合には自動車による避難が認められるようになった。洪水時等においても、徒歩によって避難することが難しい高齢者、身体障害者等は自動車による避難に頼らざるを得ない場合があるが、洪水時等における運転の危険性や脱出方法については十分に認識されていない。
車両は冠水した道路への進入や河川への転落が起きた場合、浸水によりエンジンが停止し、ドアは車外からの水圧がかかるため、内側からの人力による開放が困難となる。パワーウインドウは、エンジン停止後も動く可能性があるものの、冠水状況によってはエンジンの停止と同時又は先に動作不能となる可能性もある。
このように、自動車の水没時は脱出が困難な状況が生じる可能性があり、自動車メーカーは、被災状況が様々であることなどから、エンジンや電装品の作動可能水位の公表はしていないものの、自動車用緊急脱出支援用具として窓ガラスの破砕用ハンマーを取り扱っている。なお、車のグレードによっては、パワーウインドウではなく、手動のレギュレータハンドルによる窓の開閉が可能となっている。
自動車による避難の実態を鑑みると、窓ガラスの破砕用ハンマーの普及を図る必要があると考えるが、自動車からの緊急脱出に使用可能な装置は道路運送車両法の保安基準の対象装置に含まれず、窓ガラスの破砕用ハンマーの備付け等は義務付けられていないなど、政府としての車中死への具体的な対策は見られないのが現状である。
従って、次の事項について質問する。
一 水没による車中死が続発したが、洪水時の自動車での避難について政府はどう捉えているか。また、政府は自動車の水没時の脱出方法について、国民に周知してきたか、詳細を示されたい。
二 自動車の水没時に用いる窓ガラスの破砕用ハンマー(発煙筒先端にハンマー付属の物を含む)等の自動車からの緊急脱出に使用可能な装置や手動のレギュレータハンドルは、個別の販売にとどまっている。水没による車中死が続発したことから、自動車からの緊急脱出に使用可能な装置を保安基準の対象装置に追加し、道路運送車両の保安基準において窓ガラスの破砕用ハンマーの備付け等を規定すべきではないか、政府の見解を問う。
三 道路の冠水について、道路管理者による通行止めが間に合わず水没事故が生じた事例があると聞く。夜間を含め、豪雨による視界不良時の自動車の水没を防ぐには、冠水情報の提供が重要である。各自治体の水害ハザードマップや道路管理者による道路冠水想定箇所等のリスク情報をカーナビゲーションシステム等に反映させるためのオープンデータ化を進めることで、水没を防げる可能性が高まると考えるが、政府の見解を問う。
右質問する。
政府答弁書
一について
「避難勧告等に関するガイドライン」(平成三十一年三月内閣府(防災担当))においては、御指摘の「洪水時の自動車での避難」について明記していないところであるが、令和元年台風第十九号及び同年台風第二十一号において自動車による移動の途中で多数の方が亡くなられており、中央防災会議防災対策実行会議に設置された「令和元年台風第十九号等による災害からの避難に関するワーキンググループ」において、洪水等による災害が発生し、又は発生するおそれがある場合の避難行動の在り方等について必要な検討を行ってまいりたい。
また、国土交通省においては、自動車の使用者に対し、自動車の安全な使用に関する注意喚起を行うホームページ及び報道発表を通じて、緊急脱出用ハンマーの使用方法を含め、自動車が水中に転落したときの脱出の方法を周知してきたところである。
二について
自動車が水中に転落した場合において、緊急脱出用ハンマー等の自動車から脱出するための装置は、運転者及び同乗者の安全を確保する上で有用であると認識しているところであるが、当該装置を用いない脱出の方法もあること、また、仮に当該装置について道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第四十六条に規定する保安基準の対象装置に追加した上で装備義務を課した場合、当該基準に適合する当該装置を備えていない自動車は運行の用に供してはならないこととなること等を踏まえ、まずは、自動車の使用者に対し、ホームページ等を通じて、当該装置の有用性及び使用方法を含め、自動車が水中に転落したときの脱出の方法について周知徹底してまいりたい。
三について
御指摘の「各自治体の水害ハザードマップ」については、水防法(昭和二十四年法律第百九十三号)第十五条第三項の規定に基づき、住民等の円滑かつ迅速な避難を確保するための措置として、浸水想定区域をその区域に含む各市区町村が作成し公表しており、また、国、地方公共団体等が管理する道路の冠水想定箇所については、洪水浸水想定区域と併せて国土交通省のホームページで周知しているところであり、引き続き、適切な情報提供を行ってまいりたい。
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