ことばで探す › 衆議院 第200回
認知症傾向のある受刑者に関する質問主意書
衆議院 第200回 第64号お答えすることは困難 ×5趣旨が明らかではない ×3
質問本文
全国の刑務所では、近年、六十五歳以上の高齢入所受刑者数が一貫して上昇しており、この高齢化に伴う問題が深刻化している。法務省矯正局が平成二十八年一月に公表した「認知症傾向のある受刑者の概数調査」では、刑事施設職員による改訂長谷川式簡易知能評価スケールの実施により、六十歳以上で認知症傾向のある受刑者はおよそ十四%で、全国におよそ千三百人いると推計している。この調査結果を受けて、平成三十年度から、大規模な刑事施設八庁において、認知症スクリーニング検査等が開始された。
以下、認知症傾向のある受刑者について質問する。
一 認知症傾向のある受刑者と、認知症スクリーニング検査で該当した高齢受刑者はそれぞれ何名か。
二 認知症傾向のある受刑者を含め、身体介助を要する高齢受刑者に対して刑務官の個別の処遇時間や介助負荷が重いとの報道もあるが、これらの高齢受刑者への処遇に従事する刑務官の負担はどれほどになっているのか。また、全国の刑務所に介護資格者の職員の配置はどれほどか把握しているか。把握しているならば、その従事時間と配置人数を具体的に示されたい。
三 認知症傾向のある受刑者は、認知機能が更に衰えていくと、受刑することについての認識自体が失われてしまう場合もあり得ると考える。刑事施設には人的体制や予算上の制約があるため、認知症傾向のある受刑者への治療や処遇を刑事施設内で行うのは限度があり、症状の悪化を防げていないという話も聞く。認知症が進行した受刑者について、刑事訴訟法第四百八十条又は同法第四百八十二条に基づく刑の執行停止が行われた事実を政府として把握しているか。把握しているならば、過去五年間の件数等を具体的に示されたい。また、認知症が進行した受刑者については、刑事施設内で処遇するよりも、医師の認知症の診断と基礎的自治体である市町村の要介護認定を経て、介護対応の可能な更生保護施設や民間の介護施設に移行するべきではないか、政府の見解を問う。
四 高齢受刑者の再犯対策として特別調整制度による支援が行われているが、当該受刑者の同意が前提条件となっている。しかし、認知症により同意が行えず、特別調整の対象とならなければ、通常の出所となってしまい、福祉につなげられないことから、再犯を防げないことともなりかねない。出所後の受け入れ先確保を確実に行えるよう、認知症傾向のある受刑者については、例えば、刑事施設の長の職権で特別調整を進めることで、再犯防止につながるのではないか、政府の見解を問う。
五 認知症傾向のある受刑者や介助を要する高齢受刑者については、受刑者による介助も行われている。刑務所においては、介護職員初任者研修が職業訓練として導入されている施設もあるが、その実施結果をとりまとめているか。とりまとめているのであれば、研修を修了した出所者数、介護分野の協力雇用主の採用者数はそれぞれ何名か、詳細を伺いたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
「受刑者に対する認知症スクリーニング検査等の実施について」(平成三十年三月二十九日付け法務省矯成第九百五十四号法務省矯正局成人矯正課長・矯正医療管理官通知)に基づく認知症スクリーニング検査(以下「検査」という。)は、全受刑者に対して実施することとしていないため、認知症傾向がある(検査の得点が基準点以下であるときをいう。以下同じ。)受刑者の全人数についてお答えすることは困難である。
また、平成三十年に、札幌刑務所、宮城刑務所、府中刑務所、名古屋刑務所、大阪刑務所、広島刑務所、高松刑務所及び福岡刑務所に入所した受刑者のうち、これらの刑事施設に入所した時点での年齢が六十歳以上のもの九百四名を対象として検査を実施した結果、認知症傾向がある者は百九名であった。
二について
お尋ねの「負担はどれほど」及び「従事時間」の具体的に意味するところが明らかではないため、これらのお尋ねについてお答えすることは困難であるが、刑事施設においては、刑務官が、必要に応じて、認知能力や身体機能の低下した受刑者に対し、食事、入浴等の日常生活の介助を行っているところ、高齢入所受刑者(刑事施設に入所した時点での年齢が六十五歳以上の受刑者をいう。)の人員数が平成十年以降増加傾向にあること等から、刑務官の業務負担が増加している状況にあるものと認識している。
そのため、法務省においては、このような刑務官の業務負担の軽減を図るとともに受刑者の介護体制の充実強化を図るため、令和元年度予算において、介護福祉士八人分の非常勤職員手当及び介護専門スタッフ(介護保険法施行規則(平成十一年厚生省令第三十六号)第二十二条の二十三第一項に規定する介護職員初任者研修課程を修了した者等をいう。)四十二人分の賃金を経費として計上しているところである。
三について
前段のお尋ねについては、「認知症が進行した受刑者について・・・刑の執行停止が行われた事実」及び「過去五年間の件数等」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、刑の執行停止に関してその事由別の統計をとっていないことから、お答えすることは困難である。
後段のお尋ねについては、御指摘の「移行」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、刑事施設においては、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成十七年法律第五十号)に基づき、認知症の受刑者についても、その心身の状況を把握し、必要に応じて医療上の措置を執るなどして適切に対応しているところである。
四について
御指摘の「刑事施設の長の職権」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「高齢又は障害により特に自立が困難な矯正施設収容中の者の社会復帰に向けた保護、生活環境の調整等について」(平成二十八年三月三十一日付け法務省保観第七号法務省矯正局長・保護局長通達)に基づく特別調整(以下「特別調整」という。)については、受刑者が特別調整の対象者となることを希望していることをその要件の一つとしており、対象者に改善更生の意欲があることが円滑な社会復帰を図る上で重要であると考えている。
なお、刑事施設においては、認知症の受刑者を含め、高齢又は障害を有する等の理由により円滑な社会復帰が困難と認められる受刑者に対し、「社会復帰支援指導(一般改善指導)の実施について」(平成二十九年八月二十四日付け法務省矯成第二千三百十一号法務省矯正局成人矯正課長通知)に基づく社会復帰支援指導の標準プログラムを平成二十九年度から各刑事施設において実施し、基本的生活能力、社会福祉制度に関する知識その他の社会適応に必要な基礎的な知識及び能力を身に付けさせるとともに、出所後、必要に応じて福祉的な支援を受けながら、地域社会の一員として健全な社会生活を送るための動機付けを高め、特別調整等につながるよう促している。
五について
お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。