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通学路沿い等の空き家対策に関する質問主意書
衆議院 第204回 第32号検討してまいりたい ×1
質問本文
空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空家法」という。)は、平成二十六年に議員立法によって制定され、平成二十七年五月に全面施行された。これにより、放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある等の特定空家等については、助言・指導、勧告、命令が行えることとなるなど、市区町村が空き家に対処するための手段が法的に整備された意義は大きい。他方で、人口減少などを背景に空き家の増加傾向は継続しており、総務省「住宅・土地統計調査」によると、「空き家」の総数は平成十年の五百七十六万戸から平成三十年の八百四十九万戸と二十年間で約一・五倍となった。とりわけ、周辺に通学路等の高い安全性の確保が求められる場所がある空き家(以下「通学路沿い等の空き家」という。)については、自らの判断で危険から身を守ることが難しい児童生徒などの生命・身体の保護を確実なものとすべきという観点や、より積極的な対処を求める地域住民の要望が強いことなどから、引き続き、空家法の見直しも含めた取組の強化が必要である。
上記を踏まえ、以下質問する。
一 空家法の施行の状況等
1 空家法の附則において「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」と規定されているが、同法が全面施行されてから令和二年五月で既に五年が経過している。そこで、空家法の施行の状況及びその評価について、政府の認識を問う。
2 1の状況等を踏まえ、政府として、空家法の規定について検討を加える必要があると認識しているのか、明らかにされたい。
二 通学路沿い等の空き家への対応強化
1 空家法に基づく助言・指導、勧告、命令は、市区町村が特定空家等として認識することが前提となっているが、その判断に当たっては「「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」(以下「ガイドライン」という。)が大きな役割を果たしている。しかし、ガイドラインにおいて、周辺に通学路があることが「特定空家等に対する措置」の実施の判断に当たって考慮すべき事項に含まれているかは明示されているわけではない。そこで、
�@ ガイドラインの「第2章 「特定空家等に対する措置」を講ずるに際して参考となる事項」において「「特定空家等」が現にもたらしている、又はそのまま放置した場合に予見される悪影響の範囲内に、周辺の建築物や通行人等が存在し、又は通行し得て被害を受ける状況にあるか否か等により判断する」とされているところであるが、周辺に通学路があることは、「特定空家等に対する措置」の実施の判断に当たって考慮すべき事項に含まれると考えるが、政府の認識を問う。
�A また、周辺に通学路があることが「特定空家等に対する措置」の実施の判断に当たって考慮すべき事項に含まれないとの認識であるならば、政府はその認識を改めるとともに、ガイドラインを見直し、周辺に通学路があることを考慮すべき事項として明記する必要があるのではないか。
2 特定空家等である通学路沿い等の空き家については、周辺の安全性確保等の観点から、特に迅速に対処する必要がある。しかし、空家法に基づく特定空家等に対する措置は、助言・指導、勧告、命令の三つの段階を必ず経る必要があるため、緊急事態の場合であっても、各段階を省略することはできず、当該空き家の除却等に至るまでに、相当の時間を要する。事例によりばらつきがあるものの、特定空家等として認識してから代執行の実施までに一年以上を要したものも現に見られる。特定空家等である通学路沿い等の空き家に関しては、所有者等を把握できない場合に限らず、必要に応じて助言・指導及び勧告を経ずに、簡易・迅速な手続で、緊急的な危険回避に必要な最小限度の命令等を行えるような手段を、空家法に位置付ける必要があるのではないか、政府の見解を問う。
右質問する。
政府答弁書
一について
令和二年三月三十一日現在、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成二十六年法律第百二十七号。以下「法」という。)第六条第一項の規定に基づき空家等対策計画を作成している市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、全市町村の六十九・四パーセントに相当する千二百八団体、法第七条第一項の規定に基づき協議会を組織している市町村は、全市町村の四十六・六パーセントに相当する八百十二団体と承知している。
また、法施行後における法第十四条の規定に基づく特定空家等(法第二条第二項に規定する特定空家等をいう。以下同じ。)に対する措置を実施した件数は、同日までの累計で、法第十四条第一項の規定に基づく助言又は指導については一万九千二十九件、同条第二項の規定に基づく勧告については千三百五十一件、同条第三項の規定に基づく命令については百五十件、同条第九項の規定に基づく代執行については六十九件、同条第十項の規定に基づく代執行については百九十一件と承知している。
政府としては、法に基づき、多くの市町村において積極的に空き家対策が進められていると認識しており、まずは、こうした市町村における法の施行状況を踏まえつつ、現行法の規定に基づいて、同条第十四項の規定に基づき定められた「「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」(以下「ガイドライン」という。)の改正等の必要な措置を講じてきているところであり、引き続き、空き家対策のより一層の推進のための措置について、法制上の措置の要否を含め検討してまいりたい。
二の1について
周辺に通学路がある空家等(法第二条第一項に規定する空家等をいう。以下同じ。)について、法第十四条の規定に基づく特定空家等に対する措置を講ずるか否かについては、ガイドラインにおいて、「「特定空家等」が現にもたらしている、又はそのまま放置した場合に予見される悪影響の範囲内に、周辺の建築物や通行人等が存在し、又は通行し得て被害を受ける状況にあるか否か等」及び「その悪影響の程度が社会通念上許容される範囲を超えるか否か、またもたらされる危険等について切迫性が高いか否か等」により判断し、「その際の判断基準は一律とする必要はな」いとされており、周辺に通学路があるかどうかを含め、当該空家等の状態及び当該空家等の存する地域の実情に応じて総合的に判断することとなると考えている。
二の2について
法第十四条の規定に基づく特定空家等に対する措置については、財産権に対する制約を伴う行為が含まれるため、当該特定空家等の所有者等(法第三条に規定する所有者等をいう。)に対し、行政指導である助言又は指導及び勧告を経た上で、不利益処分である命令等を行うことができるとされていることから、現時点では、御指摘のような「簡易・迅速な手続」に関する規定を設けることについては、慎重な検討が必要であると考えている。もっとも、法第二条第二項において、特定空家等とは、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等」と定義されており、将来の蓋然性を考慮して特定空家等であると判断できるものであることから、市町村において、御指摘の「特に迅速に対処する必要」が生じる前の段階から、必要に応じて、法第十四条の規定に基づき、適切に対処されるよう促してまいりたい。
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