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遊漁船に救命いかだを義務付けることに関する質問主意書
衆議院 第212回 第73号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1
質問本文
国土交通省は本年十一月一日、船舶安全法施行規則等の一部を改正する省令案を公表し、本年十二月一日までパブリックコメントを行っている。この省令案には、二〇二五年四月から遊漁船に救命いかだの搭載を義務付けることが書かれているが、その決定プロセスにきわめて問題があると考えるので、以下質問する。
一 全国に遊漁船は約一万六千隻あるが、その多くは中小零細事業者であり、約百万円する小型救命いかだの搭載を義務付けることで、そのメンテナンスも含め、経営状態にどのような影響があると考えているか。遊漁船事業者の平均年収、売上などの経営状況を政府はどのように認識しているのか、あきらかにされたい。
二 今回、水温が二十度未満の水域を航行する遊漁船に原則として救命いかだの搭載を義務付けることとしているが、なぜ二十度未満かは、国土交通省の水温検討第三者委員会の結論をもとに決めたとのことである。しかし、この委員会は議事概要さえ公開されず、いつ何回開催したのかも非公表、「とりまとめ概要」というA四たった一枚しか公表していない。委員には、こともあろうに海難救助の専門家ではなく山岳救助の専門家を入れている。海上保安庁など海難救助の専門家はいくらでもいるはずである。水温検討第三者委員会がいつ何回行われたか、またその議事録を公表すべきではないか。
三 水温検討第三者委員会において、どのようなデータを基に、二十度未満では落水後、三時間救助待機後に揚収された場合、かなりの確率で生存が見込まれないと結論したのか。その科学的根拠をあきらかにされたい。
四 水産庁は、水温検討第三者委員会には参加していなかったものの、国土交通省の知床遊覧船事故対策検討委員会にオブザーバー参加しており、遅くとも第八回が開催された二〇二二年十月には、船舶安全法施行規則上、遊漁船に救命いかだの搭載を義務化する議論がなされていることを承知していたはずである。水産庁はなぜこの事実を二〇二三年十一月まで遊漁船事業者や自治体の遊漁船担当者に情報共有さえしてこなかったのか。
五 二〇二二年十二月の知床遊覧船事故対策検討委員会とりまとめにおいて、遊漁船にも救命いかだ義務化を決定するまでの間、国土交通省はなぜ遊漁船事業者や自治体の遊漁船担当者の意見を聴いてこなかったのか。
六 国土交通省は、二〇二三年四月二十六日に二〇二二年度補正予算による安全設備補助金事業を開始し、八月二十三日には救命いかだを補助金メニューに追加したが、遊漁船は海上運送法の適用を受けないことから、補助対象から除外している。一方の水産庁はなぜ二〇二二年度の補正予算で遊漁船を対象とした救命いかだの補助事業を行わなかったのか。遊漁船同様に一年適用が遅れる海上タクシーなどには国土交通省が補助を開始していることから、水産庁の不作為は言い訳のしようがないと思われるが、政府の見解をあきらかにされたい。
七 水産庁は遅ればせながら二〇二四年度の概算要求に遊漁船を対象とした救命いかだの補助事業をあげて、現在財務省と折衝中であるが、その補助率は、国土交通省が三分の二に対して、二分の一に過ぎないのは不適切ではないか。自治体の上乗せ補助を期待しているのなら、なぜ自治体と情報共有を十一月二十日まで行ってこなかったのか。
八 現在、国土交通省では、省令案における救命いかだ搭載義務の例外として、
・二十度を下回る日に船を出さなければ不要
・釣り客を乗せてない伴走船があれば不要
・水密の全通甲板船は不要
・三十分以内に救助船が現場に到着可能なら不要
・航行する区域が母港から五カイリ以内なら不要
という五つのケースを通知で示すことを検討しているが、これはあくまで例示であって、今後寄せられるご意見を踏まえ、ネオプレン素材のウエットスーツ着用の場合など例外の追加を検討する考えはあるか。
九 国土交通省および水産庁は、今般のきわめて不透明な決定過程を深く反省し、一度この省令案を遊漁船に適用することを撤回ないし凍結して、全国の遊漁船事業者が今後とも事業を継続できるよう、事業者や自治体の声に真摯に耳を傾けるべきではないか。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の「中小零細事業者」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「経営状態にどのような影響があると考えているか」については、個別の遊漁船業者(遊漁船業の適正化に関する法律(昭和六十三年法律第九十九号。以下「遊漁船業法」という。)第二条第三項に規定する遊漁船業者をいう。以下同じ。)ごとにその事業形態や経営状態が異なることから一概にお答えすることは困難である。また、お尋ねの「遊漁船事業者の平均年収、売上などの経営状況」については、政府としては、把握していない。
二について
御指摘の「水温検討第三者委員会」が「いつ何回行われたか」とのお尋ねについては、令和四年六月八日及び同月十五日に計二回開催された。また、「その議事録を公表すべきではないか」とのお尋ねについては、当該委員会は、出席者が自由かつ率直に議論することができるよう、その議事録は非公開としているが、その議事概要については、公表するべく準備を進めてまいりたい。
三について
お尋ねについては、御指摘の「水温検討第三者委員会」において、公益社団法人日本ボート協会作成の「安全マニュアル(二〇一八年十二月版)」及び一般財団法人海技振興センター作成の「船員の低体温症対策ガイドブック」等の資料における水温と生存可能時間についての分析を基に結論付けられたものと承知している。
四について
お尋ねについては、水産庁においては、令和四年十月十九日に開催された第一回の遊漁船業の在り方に関する検討会の資料を用いて、各都道府県の担当部局に対し、御指摘の「救命いかだの搭載を義務化する」ことについて情報提供するとともに、遊漁船業者も含め、広く一般にこれを周知することを目的に、同庁のホームページにおいて、同資料等の公表を行ったところである。このため、「この事実を二〇二三年十一月まで遊漁船事業者や自治体の遊漁船担当者に情報共有さえしてこなかった」との御指摘は当たらないと考えている。
五について
お尋ねについては、知床遊覧船事故対策検討委員会において「旅客船の総合的な安全・安心対策」を取りまとめるに当たっては、広く一般の意見を募集するため、令和四年十一月十四日から同年十二月五日までパブリックコメントを実施したところであり、御指摘の「遊漁船事業者や自治体の遊漁船担当者」についても、当該パブリックコメントにおいて、意見を述べる機会を提供した。国土交通省としては、今後とも、御指摘の「遊漁船事業者や自治体の遊漁船担当者」の意見を聞いた上で、船舶の航行の安全の確保等の観点から、必要な検討を行ってまいりたい。
六について
遊覧船等については、令和四年四月二十三日に北海道知床沖で発生した遊覧船の事故を契機として、遊覧船の安全対策の強化についての社会的要請が急速に高まったことを踏まえ、令和四年度補正予算(第二号)において、御指摘の「救命いかだの補助事業」に係る支援を措置したところである。
一方、遊漁船については、当時、必ずしも遊覧船と同様な社会的要請が高まっていたとまではいえなかったため、当該補正予算においては、御指摘の「遊漁船を対象とした救命いかだの補助事業」に係る支援を措置しなかったところであるが、その後、遊漁船の安全性の一層の向上を図る観点から、遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律(令和五年法律第三十九号。以下「一部改正法」という。)により遊漁船業法を改正し、一部改正法が施行される令和六年四月一日以降に遊漁船の安全対策を強化することとし、併せて、令和六年度当初予算において、当該補助事業に係る予算を要求しているところである。
七について
お尋ねの「その補助率は、国土交通省が三分の二に対して、二分の一に過ぎないのは不適切ではないか」については、令和五年十一月十五日の衆議院国土交通委員会において、舞立農林水産大臣政務官が「要求の考え方といたしましては、義務化までの間にできるだけ早く、また、全体の限られた予算の中でできるだけ多くの遊漁船業者に支援する必要があると考えまして、補助率は二分の一としているところでございます」と答弁したとおりである。また、御指摘の「自治体の上乗せ補助を期待しているのなら」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「なぜ自治体と情報共有を十一月二十日まで行ってこなかったのか」については、四についてで述べたとおりである。
八について
御指摘の「例外の追加」については、政府としては、御指摘の「パブリックコメント」に寄せられた意見等を踏まえ、船舶の航行の安全の確保等の観点から、必要な検討を行ってまいりたい。
九について
お尋ねについては、政府としては、御指摘のように「この省令案を遊漁船に適用することを撤回ないし凍結」することは考えていないが、御指摘の「事業者や自治体の声」を聞いた上で、御指摘の「省令案」及び八で御指摘の「通知」の内容について必要な検討を行ってまいりたい。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。