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ウォーターPPP等の推進における問題点に関する質問主意書
衆議院 第219回 第146号趣旨が明らかではない ×1検討してまいりたい ×1
質問本文
改めて言うまでもなく、水は健康を維持するために不可欠であり、尊厳ある生活の基礎である公共資源である。本来、公の責任の下で安定的に管理されるべきインフラであるにもかかわらず、政府は、効率化、財政負担軽減等を名目として、上下水道や工業用水道分野において、ウォーターPPP等の官民連携のPFI・PPP方式の導入を全国の自治体に事実上押し付けつつある。これは、国や自治体が責任持って守るべき、水に関わる公共サービスの根幹を市場原理に委ね、住民の安全や負担、自治体の自治権を脅かす重大な政策転換であり、看過できない。
以上の問題認識の下、質問する。
一 政府は、「PPP/PFI推進アクションプラン」(令和五年改定版)において、ウォーターPPP導入を決定済みであることを、二〇二七年度以降の汚水管の改築(緊急輸送道路等の下に埋設されている汚水管の耐震化を除く。)に係る国費支援に関して要件化しているが、要件化の時期を二〇二七年度以降とする理由は何か。具体的に説明されたい。
二 国費支援の要件とすることを梃子として、自治体にウォーターPPP導入等の政策選択を事実上強制することは、地方自治の本旨を侵害し、自治体の自主性を奪う「財政的圧迫による誘導」との批判が広がっている。ウォーターPPPの導入決定を国費支援要件とする手法の正当性や、こうした批判に対する反論を具体的に示されたい。
三 ウォーターPPP導入を決定済みであることを二〇二七年度以降、汚水管の改築の国費支援に関して要件化すること等に関して、多くの自治体等から懸念や批判の声が上がっている。例えば、本年一月二十八日に埼玉県八潮市で発生した下水道管の破損に起因するとみられる道路陥没事件に関して、大野元裕埼玉県知事は、本年七月一日付で国土交通大臣あてに出した要望書の中で、「現在、国が推進しているウォーターPPPについては、インフラの長期に亘る更新に目途がつくまでは、慎重に検討をすること。また、下水道に対する国の財政的支援については、ウォーターPPPを前提条件としないこと」等を要望している。政府は、こうした自治体の声や要望に応え、ウォーターPPPの導入決定を国費支援の要件とすることを中止する、あるいは当分の間延期するべきと考えるが、政府の見解や方針を具体的に説明されたい。
四 ウォーターPPPは、「レベル三・五」と称される「管理・更新一体マネジメント方式」と「レベル四」と称される「公共施設等運営事業」(コンセッション方式)をあわせたものとされ、「水道事業における官民連携に関する手引き(改訂版)」によると、「原則十年の管理・更新一体マネジメント方式(レベル三・五)の後、コンセッション方式に移行すること」とされている。「管理・更新一体マネジメント方式」を導入して汚水管に係る国費支援を受けた場合、十年後にコンセッション方式に必ず移行しなければならないのか。また、移行しない場合は汚水管に係る国費支援が受けられなくなるのか。政府の方針等を説明されたい。
五 パリの水道事業やベルリンの上下水道事業等で見られるように、世界各地で、コンセッション等の官民連携導入後に水道料金の急騰、サービス低下、汚水事故の増加など深刻な問題が相次ぎ、当該官民連携を終了するいわゆる「再公営化」が進んでいる。政府はこれらの失敗事例というべき諸外国の事例をどのように分析・評価しているのか。更に、このような再公営化事例が多数ある中で、ウォーターPPP等の官民連携や民営化推進を続ける理由は何か。具体的かつ明解に説明されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねについては、地方公共団体における御指摘の「ウォーターPPP」の「導入」の「決定」に要する準備期間を考慮した結果、御指摘の「時期」を令和九年度以降としたものである。
二について
下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)第三十四条において、「国は、公共下水道、流域下水道又は都市下水路の設置又は改築を行う地方公共団体に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その設置又は改築に要する費用の一部を補助することができる。」と規定されていることを踏まえ、政府として、御指摘の「ウォーターPPPの導入決定を国費支援」の「要件」としたものにすぎず、御指摘の「ウォーターPPP」を導入しない地方公共団体が自らの財源により下水道事業を実施することは妨げておらず、御指摘のように「事実上強制する」及び「地方自治の本旨を侵害し、自治体の自主性を奪う「財政的圧迫による誘導」」とは考えていない。
三について
御指摘の「ウォーターPPPの導入決定を国費支援の要件とする」理由については、令和七年五月十六日の衆議院国土交通委員会において、松原国土交通省大臣官房上下水道審議官(当時)が「下水道事業においては、施設の老朽化、職員数の減少など、様々な課題を抱えているものと認識をしております。これらの課題に対応していくためには、ウォーターPPPを始め、広域連携、デジタル技術の活用などにより、事業の効率化等を進めていくことが重要と考えております。ウォーターPPPの特徴は、原則十年という長期で、かつ、施設の維持管理と更新を一体的に進める官民連携方式でございますので、老朽化対策を効果的に実施することが期待できるほか、性能発注により民間の創意工夫やノウハウを最大限生かし、デジタル技術の活用などによる効率的な事業運営にも寄与する施策であると考えております。このため、国土交通省としては、ウォーターPPPの導入を促進すべく、令和九年度以降、防災・安全交付金等を活用した汚水管の改築に当たってウォーターPPPの導入を決定済みであることを交付要件としたところでございます。」と答弁したとおりであり、政府としては、現時点で御指摘のように「中止する、あるいは当分の間延期する」ことは考えていないが、御指摘の「自治体の声や要望」を踏まえつつ、制度の詳細について、検討してまいりたい。
四について
前段のお尋ねについては、御指摘の「水道事業における官民連携に関する手引き(改訂版)」は、法的拘束力を有するものではない。
後段のお尋ねについては、現時点で決まっていない。
五について
御指摘の「再公営化」及び「失敗事例」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「諸外国の事例」については、令和元年九月三十日に厚生労働省が公表した「水道事業における官民連携に関する手引き(改訂版)」に示しているとおり、政府として、海外の水道事業の民間活用の状況について把握しているところであるが、その他にお尋ねのような「分析・評価」は行っていない。
お尋ねの「理由」については、上下水道施設の老朽化、人口減少による上下水道に係る料金の収入の減少等が懸念される中で、御指摘の「ウォーターPPP等の官民連携」を通じて、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用することにより、上下水道の基盤の強化が図られるからであり、御指摘の「ウォーターPPP等」の導入による効果として、例えば、国土交通省が令和五年十一月十五日に開催した第三十四回下水道における新たなPPP/PFI事業の促進に向けた検討会の資料四「守谷市上下水道施設管理等包括業務委託(茨城県守谷市)」において示した「ICT/IoT技術の積極導入による点検・調査・運転管理の省力化・効率化」を期待している。