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コンセッション事業の推進がもたらす自治行政のあり方の変化に関する質問主意書
参議院 第200回 第52号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×8
質問本文
今後、コンセッション方式によるPFI事業(以下「コンセッション事業」という。)は、効率化と収益性の追求のために、自治体をまたがるケースが多くなると思われる。その結果、自治行政のあり方を大きく変えると思われるが、その結果発生する課題についてどのように対応するのか、以下質問する。
一 コンセッション事業が優先して導入される対象とされる道路や河川等の事業は、複数の自治体をまたぐことが多いことから、広域行政や市町村合併が更に進むことが予想される。その中で、各自治体の自律性を損なうことがないようにするため、各自治体の住民をはじめ職員、職員労働組合などの意向が各自治体に反映されるような態勢を確立するためのマニュアル等を作成する必要があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
二 各自治体では、主な収益事業において、人口減少などにより収入が減少しているが、これまでのコンセッション事業による有料施設の運営の収支は、どのような状況か。一般会計からの繰り入れも含めて明らかにされたい。
三 水道分野におけるコンセッション事業の導入に対応し、すでに水道法が改正されたが、今後、他の分野においても、コンセッション事業に対応するため、関係法の改正が必要になると思われる。政府はどのような分野において関係法の改正が必要になると想定しているか明らかにされたい。
四 今日、日本では多くの公共施設が老朽化しており、地震や台風等の災害への対策が急がれている。公共施設の運営にコンセッション事業が導入される場合、「効率化」とは別に「安全性」という観点から住民が参加し、その意見や要望が反映されるようなパブリックミーティング等の設置を制度化・義務化すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
五 コンセッション事業により行われている事業の技術やノウハウを有する各自治体の技術者の定年退職が進んでいる。三十年前と比べて、当該技術者はどれくらい減少しているのか。また、十年後及び三十年後には当該技術者がどれくらい減少すると予想しているのか。当該技術者の減少は、技術やノウハウの伝承に支障をきたしていないのか。技術やノウハウの伝承に支障が生じると、行政側がコンセッション事業をモニタリングする能力を失うことにならないか。政府の見解を明らかにされたい。
六 有料の高速道路の管理については、すでに愛知県においてコンセッション事業が導入され、収益事業が行われている一方、無料の一般道路においては、一部で近隣の農家等と連携した「道の駅」などの収益事業が行われているにとどまる。
今後、一般道路においても、全国で全面的にその管理をコンセッション事業に置き換える方針はあるのか明らかにされたい。
七 一般道路を建設するため、新たに用地を買収する、または、すでに買収した用地において、道路使用が開始されるまでの間、路上でのパラソルカフェ、コンビニエンスストア、カフェ、有料駐車(駐輪)場、仮設保育所等の収益事業施設を設置するなどの「短期的」な事業をコンセッション事業の一環として実施することも可能だとする見解もある。政府はこうした「短期的」なコンセッション事業の実施も検討をしているのか明らかにされたい。
八 全国的に、多くの高架、橋げた、トンネルなどは、耐久性が限界にきており、その限界となる時期は今後十年間に集中している。こういった高架、橋げた、トンネルなどの維持や更新がコンセッション事業として取り組まれようとしているが、関係台帳の整備、財政的な支援態勢などは、万全なのか。政府の見解を明らかにされたい。
九 今後、東京オリンピック・パラリンピックの各競技会場をはじめとして、全国的に文化・体育施設(水泳場、バレーボール会場、スケート場等)を、イベント会場を兼ねられるような構造にすることが多くなると予想される。また、MICE(国際会議、イベント等)のための多目的会場の建設が全国各地で進められている。これらの施設の建設におけるコンセッション事業の導入に関し、今後の方針、計画はどのようになっているか明らかにされたい。
十 今日、日本の動物園は、国際標準に対応したスペースの確保と施設の見直しが求められている。また、慢性的な赤字を解消するために、開園時間(夜間開園を含む。)や収益施設の見直し、あるいは動物園の統合、整理等も切実な課題になっている。これらの問題をコンセッション事業と結びつけて解決していく方針はあるのか。政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「コンセッション事業が優先して導入される対象とされる道路や河川等」及び「各自治体の自律性を損なうことがないようにするため・・・のマニュアル」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、各地方公共団体におけるマニュアルについては、それぞれの地方公共団体において適切に整備されるべきものであると考えている。
二について
御指摘の「コンセッション事業による有料施設の運営の収支」及び「一般会計からの繰り入れ」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地方公共団体が所有権を有する公共施設等のいわゆるコンセッションの方式を利用した民間資金等の活用による公共施設等の整備等に関する事業(以下「コンセッション事業」という。)の運営権者の計算書類についてのお尋ねであるとしても、政府として網羅的に把握しているわけではないため、お答えすることは困難である。なお、一部の運営権者が、そのホームページ等において、計算書類を公表している例があることは承知している。
三について
御指摘の「コンセッション事業に対応するため」の「関係法の改正」については、現時点において考えていない。
四について
御指摘の「安全性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地方公共団体における公共施設等の運営については、コンセッション事業を導入するか否かにかかわらず、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)、消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)その他の関係法令を遵守して行われるべきものと考えているところであるが、お尋ねの「パブリックミーティング等の設置を制度化・義務化」することについては、当該地方公共団体において適切に判断されるべきものであると考えている。
五について
お尋ねの「コンセッション事業により行われている事業の技術やノウハウを有する各自治体の技術者」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、総務省が実施している平成三十年四月一日現在の「地方公共団体定員管理調査」における土木技師及び建築技師の職員数は、それぞれ、八万二千五百五十二人(三十年前の昭和六十三年同期と比較して千八百七十八人減少)、二万二千五百九十九人(三十年前の昭和六十三年同期と比較して二千七百六十六人増加)となっているが、「十年後及び三十年後には当該技術者がどれくらい減少すると予想しているのか」とのお尋ねについては、お答えすることは困難である。また、「技術やノウハウの伝承に支障をきたしていないのか」及び「モニタリングする能力を失うことにならないか」とのお尋ねについては、政府において、既存のモニタリングに関するガイドラインにおける規定事項に加えて、コンセッション事業において留意する必要がある事項を示した「公共施設等運営権及び公共施設等運営事業に関するガイドライン」(平成三十年十月十八日民間資金等活用事業推進会議決定)を策定・公表し、地方公共団体の職員に対して説明・周知しているところである。
六及び七について
お尋ねの「一般道路」及び「「短期的」なコンセッション事業」の意味するところが必ずしも明らかではないが、コンセッション事業は公共施設等の利用料金を徴収するものに限られており、その利用について料金を徴収しない道路の管理については、コンセッション事業の対象とはならず、また、政府が道路の供用が開始されるまでの間に、当該道路に公共施設等を設け、当該公共施設等についてコンセッション事業を導入することは検討していない。
八について
御指摘の「耐久性が限界にきており、その限界となる時期は今後十年間に集中している」、「高架、橋げた、トンネルなどの維持や更新がコンセッション事業として取り組まれようとしている」、「関係台帳の整備」及び「財政的な支援態勢」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、国民の安全・安心を確保し社会経済活動を支える基盤として、インフラを適切に維持管理・更新していくことは極めて重要であると認識している。
九について
お尋ねの「文化・体育施設」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「PPP/PFI推進アクションプラン(令和元年改定版)」(令和元年六月二十一日民間資金等活用事業推進会議決定)において、文教施設(スポーツ施設、社会教育施設及び文化施設をいう。以下同じ。)に係るコンセッション事業の導入については、「平成二十八年度から平成三十年度までの集中強化期間中の数値目標は達成した。今後も引き続き重点分野とし、文教施設の具体の案件形成が行われるよう、関係府省と連携しながら、地方公共団体等の取組を支援する」とし、MICE施設に係るコンセッション事業の導入については、「平成二十九年度から令和元年度までを集中強化期間として、六件のコンセッション事業の具体化を目標とする」としている。
十について
御指摘の「国際標準」の意味するところが必ずしも明らかではないが、文教施設の一部である社会教育施設に含まれる動物園に係るコンセッション事業の導入については、九についてでお答えしたとおりである。
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