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高市内閣における「財政規律」のあり方に関する質問主意書
衆議院 第219回 第185号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×4
質問本文
高市総理の所信表明演説では、「成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていく」とされたが、
一 この方針は、「ドーマー条件(名目成長率>長期金利)が満たされていれば借金は収束の方向」という考えが前提と理解して良いか。
二 「引き下げていく」という意味は、年々引き下げていくということか。経済状況等諸般の情勢に鑑み、単年度ではなく複数年度で「引き下げていく」と言うなら、どういう基準を設定して、財政の持続可能性の確保や市場の信認を得ていくのか。
三 プライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化の単年度目標は放棄するということで良いか。その場合、「複数年度でのプライマリーバランス管理」とは、どう管理していくのか。
四 そもそも政府債務残高という指標はストック、GDPのそれはフローである。政府債務残高対GDP比が世界基準であることは承知しているが、そもそも、分母がフロー、分子がストックで、財政の健全性の判断にどれほどの意味があるというのか。比べるなら、フロー同士、ストック同士で比較すべきではないか。
五 その意味で、確かに政府債務残高は一三〇〇兆円超あるが、一方で、「日本の保有資金」「日本の支払い能力」を見れば、経済のファンダメンタルは強固である。その証拠に、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は、直近で〇・二、財政の健全性で評価されているドイツに次いで低い水準にある。どこが日本の財政は破綻寸前なのか。ギリシャの財政より悪いのか。このまま行けばトラスショックの二の舞になるのか。総理の見解如何。
(参考)
(「日本の保有資金」「日本の支払い能力」)
・個人金融資産(二二三九兆円)・国全体の金融資産(九九二九兆円)・対外純資産(五三三・一兆円)・外貨準備(一九〇・七兆円)・経常収支(三〇・四兆円)
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「「ドーマー条件(名目成長率>長期金利)が満たされていれば借金は収束の方向」という考え」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、お尋ねの「ドーマー条件」については、令和四年三月十六日の参議院財務金融委員会において、鈴木財務大臣(当時)が「ドーマー条件とは、プライマリーバランスが赤字である中で債務残高対GDP比が安定するには成長率が金利よりも高くなければならないという学説であると、そういうふうに理解をいたしております。」と述べているところ、令和七年十月二十四日の高市内閣総理大臣の所信表明演説における御指摘の発言については、お尋ねの「ドーマー条件」といった個々の学説を前提にしたものではない。
二について
前段のお尋ねについては、お尋ねの「年々引き下げていく」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二五」(令和七年六月十三日閣議決定)において、「「経済・財政新生計画」の期間を通じて、その取組の進捗・成果を後戻りさせることなく、PBの一定の黒字幅を確保しつつ、債務残高対GDP比を、まずはコロナ禍前の水準に向けて安定的に引き下げることを目指し、経済再生と財政健全化を両立させる歩みを更に前進させる。」としているところであり、令和七年十二月三日の参議院本会議において、高市内閣総理大臣が「この内閣では、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していく観点から、中期的に債務残高対GDP比の引下げを安定的に実現する中で、必要に応じてPBの目標年度についても再確認を行います。」と答弁しているとおりである。
また、後段のお尋ねについては、当該答弁のとおり、債務残高対GDP比について、御指摘のような「経済状況等諸般の情勢に鑑み、単年度ではなく複数年度で「引き下げていく」」という具体的な方針を示しておらず、これを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。
三について
御指摘の「プライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化」については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二五」において、「二千二十五年度から二千二十六年度を通じて、可能な限り早期の国・地方を合わせたPB黒字化を目指す。ただし、米国の関税措置の影響は不透明であり、その経済財政への影響の検証を行い、的確に対応すべきであり、必要に応じ、目標年度の再確認を行う。」としているところ、前段のお尋ねについては、令和七年十一月十日の衆議院予算委員会において、高市内閣総理大臣が「直ちに今閣議決定をやり直して、この目標、現在もう既に決定されている目標について、これをほごにするということではございません。」と答弁しているとおりである。
また、後段のお尋ねについては、「複数年度でのプライマリーバランス管理」の意味するところが必ずしも明らかではないが、同年十二月三日の参議院本会議において、同内閣総理大臣が「今後の課題として、単年度ごとのPB黒字化目標の達成状況を見ていく方針を、数年単位でバランスを確認する方向に見直すことを検討しています。・・・今後の予算編成や来年一月の内閣府中長期試算の状況を見極めながら、来年の骨太方針に向けてより明確化してまいります。」と答弁しているとおりである。
四について
お尋ねについては、令和七年十一月十一日の衆議院予算委員会において、高市内閣総理大臣が「債務残高対GDP比は、政府が負う債務について、その返済の原資となる税収を生み出す元となる国の経済規模、すなわち、GDPに対してどの程度の割合になっているかということを示した指標でございます。これが財政の持続可能性を見るということで有意義になっている、そう思っております。」と答弁しているとおりであり、財政の持続可能性を見る上で、御指摘の「フロー」と「ストック」の指標を「比較」することは有意義である場合もあると考えている。
五について
お尋ねの「破綻寸前」、「ギリシャの財政より悪いのか」及び「二の舞」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、我が国の財政状況及び財政運営については、令和七年十二月三日の参議院本会議において、高市内閣総理大臣が「内閣府が本年八月に公表した中長期試算では、今般の経済対策等を反映する前の数値ではございますが、国、地方のPBや債務残高の対GDP比については、二千二十五年度はそれぞれ、マイナス〇・五パーセント、二百一・〇パーセント、二千二十六年度はそれぞれ、プラス〇・五パーセント、百九十七・一パーセントと推計されているものと承知しております。このように、我が国の財政運営はこれまでの経済財政運営の成果もあり改善傾向にありますが、債務残高対GDP比は依然として高い水準にあると承知をしております。」と答弁しているほか、同月八日の衆議院本会議において、同内閣総理大臣が「市場の動向を注視しつつ、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保してまいりたいと考えております。」と答弁しているとおりである。