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留学生の妊娠・出産を契機とする退学等の実態把握に関する質問主意書
衆議院 第221回 第16号趣旨が明らかではない ×2
質問本文
外国人留学生が妊娠又は出産を理由又は契機として、退学、除籍、休学、転校・転学、帰国勧奨、在留資格更新困難、相談先につながれない孤立等に直面する事例が指摘されている。妊娠した留学生が「退学になる」、「帰国させられる」、「在留資格を失う」と考え、医療機関、学校、行政、支援団体に相談できないまま孤立することは、母体及び子どもの生命・健康に関わる重大な問題である。
二〇二六年四月、東京都荒川区で日本語学校に在籍するネパール人留学生が、孤立出産の末、死産した乳児の遺体を「どうしていいかわからず」押し入れに置いたため、死体遺棄の疑いで逮捕される事件が発生している。
留学生の妊娠・出産に関する問題については、技能実習生等の問題とあわせて、二〇二四年には内閣衆質二一三第一三六号、また二〇二五年には内閣衆質二一七第二一五号として、それぞれ答弁書が出されている。答弁第二一五号「二の6について」では、留学生の「妊娠や出産を理由とした不利益取扱い」について、「現状を把握するための具体的な調査方法について検討を行っているところである」と回答している。
文部科学省は、大学等に対し、外国人留学生の退学者、除籍者及び所在不明者について毎月の定期報告を求めている。また、認定日本語教育機関については、留学生に対する人権侵害行為はあってはならず、不適切な事案を把握した場合には指導改善を求める旨の国会答弁もなされている。さらに、文部科学省は、公立高等学校における妊娠を理由とした退学等の実態把握を踏まえ、妊娠した生徒に学業継続の意思がある場合には安易に退学処分や事実上の退学勧告等の対処を行わないこと、退学以外に学業を継続するための方策について必要な情報提供を行うこと等を通知している。
しかし、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校、認定日本語教育機関等で学ぶ外国人留学生について、妊娠又は出産を理由又は契機とする退学、除籍、休学、転校・転学、帰国勧奨、在留資格更新困難又は所在不明化の実態が、制度別・学校種別に十分把握されているとはいえない。留学生の妊娠・出産をめぐる課題は、教育機会の保障、在留手続、医療アクセス、母子保健、多言語相談支援にまたがるものであり、関係省庁が連携して早期に相談・支援につなぐ仕組みを整備する必要がある。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 妊娠・出産を理由又は契機とする退学・帰国勧奨等に関する基本認識について
1 留学生が妊娠又は出産した事実のみをもって、学校が当該留学生に対し、退学、休学、転校・転学又は帰国を求めることは適切ではないとの理解でよいか。政府の見解を示されたい。
2 留学生が妊娠又は出産した事実のみをもって、直ちに在留資格「留学」を失うものではなく、在留期間更新又は在留資格変更の可否は個別の事情に応じて判断されるとの理解でよいか。政府の見解を示されたい。
3 学校、認定日本語教育機関、専修学校のみならず、留学仲介業者、送出機関等においても、留学生に対して「妊娠したら帰国しなければならない」、「妊娠したら退学になる」、「妊娠したら在留資格を失う」などと説明することは適切ではないとの理解でよいか。政府の見解を示されたい。
二 既存の周知・相談体制について
文部科学省及び出入国在留管理庁は、留学生が妊娠又は出産しても直ちに退学、帰国又は在留資格喪失となるものではないこと、休学・復学や在留期間更新又は在留資格変更の可能性があること、医療機関、地方公共団体、出入国在留管理庁又は支援団体等に相談できることについて、学校、認定日本語教育機関、専修学校又は留学生本人に対し、通知、事務連絡、手引き、ホームページ又は多言語資料により周知しているか。周知している場合は、その名称及び該当箇所を示されたい。周知していない場合は、その理由を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
御指摘の「学校」の指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、高等学校、大学、高等専門学校、専修学校及び認定日本語教育機関(日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律(令和五年法律第四十一号)第三条第一項に規定する認定日本語教育機関をいう。)が、外国人留学生に対し、当該留学生が妊娠し、又は出産した事実のみをもって、本人の意に反してお尋ねの「退学、休学、転校・転学又は帰国を求めること」は、適切ではないと考えている。
一の2について
在留期間の更新及び在留資格の変更の許否の判断は、「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(平成二十年三月法務省入国管理局策定、令和八年一月出入国在留管理庁最終改正)にあるとおり、「申請者の行おうとする活動、在留の状況、在留の必要性等を総合的に勘案して行って」おり、御指摘のように「留学生が妊娠又は出産した事実のみをもって、直ちに在留資格「留学」を失う」ことはない。
一の3について
御指摘の「留学仲介業者、送出機関等」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、本邦への留学を希望する外国人及び外国人留学生に対し、当該外国人及び当該留学生が妊娠した事実のみをもって、本人の意思にかかわらず、「帰国しなければならない」、「退学になる」、「在留資格を失う」といった説明をすることは、適切ではないと考えている。
二について
御指摘の「留学生が妊娠又は出産しても直ちに退学、帰国又は在留資格喪失となるものでないこと、休学・復学や在留期間更新又は在留資格変更の可能性があること」については、例えば、「留学」の在留資格認定証明書の交付等を申請する者及びその関係者の予見可能性を高めるため、出入国在留管理庁のホームページにおいて公表している「「著しく不適切な受入体制」の考え方」(令和六年四月出入国在留管理庁策定)において、「合理的な理由なく留学生の意に反して除籍・退学・帰国等させる行為」は「人権侵害行為」に含まれることを示している。加えて、文部科学省においては、高等学校等における妊娠した生徒の学業の継続に向けた考え方等について、都道府県教育委員会等に対し、「公立の高等学校における妊娠を理由とした退学等に係る実態把握の結果等を踏まえた妊娠した生徒への対応等について(通知)」(平成三十年三月二十九日付け二十九初児生第千七百九十一号文部科学省初等中等教育局児童生徒課長及び健康教育・食育課長連名通知)を発出し、「生徒に学業継続の意思がある場合は、教育的な指導を行いつつ、安易に退学処分や事実上の退学勧告等の対処は行わないという対応も十分考えられること」、「当該生徒の希望に応じ・・・学業の継続を前提として、転学、休学又は全日制から定時制・通信制への転籍を支援することも考えられること」、「生徒が退学を申し出た場合には・・・退学以外に休学、全日制から定時制・通信制への転籍及び転学等学業を継続するための様々な方策があり得ることについて必要な情報提供を行うこと」等を示している。
また、御指摘の「医療機関、地方公共団体、出入国在留管理庁又は支援団体等に相談できること」については、例えば、政府が作成した「生活・就労ガイドブック」において、「妊娠・出産や子育てに関する相談窓口」として、妊娠、出産及び子育ての不安等について相談し、支援を受けることができる窓口が各市区町村にあること等を記載している。同ガイドブックについては、多言語で作成しており、同庁の「外国人生活支援ポータルサイト」に掲載しているところ、同庁においては、外国人が本邦に入国する際、同ポータルサイトを案内するリーフレットを配布することにより、その周知を行っている。