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特殊販売機関等に関する質問主意書

衆議院 第29回 第2号個別の事案 ×1

提出者
衆議院
提出日
1958年6月25日
内閣転送 1958年6月28日
答弁書受領日
1958年7月11日
提出から16日
答弁の項目数
0
質問 2,636字/答弁 2,347字

質問本文

衆議院議長 星島二※(注) 殿

特殊販売機関等に関する質問主意書

一 物品税の課税標準については、物品税法第三条の規定は、第二種の物品にあつては、製造場より移出する時の物品の価格とする旨を定めているにとどまつている。

従つてこの移出価格については、これが客観的な適正な市場価格としての抽象価格であるか、はたまた取引の形態、販売方法等の差異により異なることがありうる具体的な実売価格であるかにつき、従来相当議論の余地あるところであつたが、昭和三十一年に同法の委任命令たる物品税法施行規則中の改正が行われ、この点に関する疑義が法律的に解決を見るにいたつた。すなわち右改正の結果追加挿入された同規則第十一条ノ二及び第十一条ノ三の規定は、通常の卸取引形態による卸売の場合のほか、通常の卸取引形態によらないで特殊販売機関に販売する場合における課税価格の算定方法を定め、もつて従来の疑義を一掃したわけのものである。

ところで、特殊販売機関に関しては、昭和二十六年一月ごろこれを否定する国税庁通達が発せられ、ついで同年十月にはさらに右通達を廃止して、特殊販売機関に販売している場合には、販売機関の販売実例価格から、卸売業者の一般マージンに相当する金額を控除した価格を課税標準とする旨の通達が発せられた経緯があるが、これら通達は、いずれも単に上級官庁たる国税庁が下級官庁たる税務署に対し、物品税法の法律解釈ないし取扱基準を示したものにすぎず、従つてなんら法律としての効力を有するものと認めらるべきではない。よつて物品税法第三条に規定する第二種の物品の移出価格については、当時においてもこれら通達の有無にかかわらず、取引の実態に即応し、合理的にこれを判定するのが当然というべきであるから、この意味において、前記物品税法施行規則第十一条ノ二及び第十一条ノ三の規定は、これを創設的規定と見るべきでなく、むしろ宣言的規定と解するのが至当であり、従つて、また右両規定制定以前といえども、特殊販売機関に販売していた場合の課税価格については、右両規定の精神に準じ、これを制定すべかりしものと解するのが、最も法意に合致するものと考えられるがどうか。

二 特殊販売機関の定義については、物品税法施行規則第十一条ノ三第二項において、製造者又は販売者の親族その他製造者又は販売者と特殊の関係ある者たる販売者をいうとあり、個人の場合のみならず同族会社を含むことは明らかなところであるが、このようないわばトンネル機関ともいうべき特殊販売機関は、営利を目的とする商取引の必要ないしは鋭敏なる商道精神より自然に発生したものであつて、個人業者が同族会社に組織替えした場合におけると全く同様の現象に属し、従つてこれをただちに脱税機関と目すべきものではない。

よつて物品税法においても、特殊販売機関の合法性を容認し、まだ製造者の特殊販売機関に対する販売価格が、他の製造者の販売する同一物品の課税価格に比し特に低額と認められるときにかぎり、課税権の確保上その販売価格によらずして、適正な課税価格を算定する法意であることは、同法施行規則第十一条ノ三の規定に徴してきわめて明白と考えられるがどうか。

三 特殊販売機関を通ずる取引形態は、大企業のみならず中小企業の場合においても、世上広く見られる取引現象である。特に中小企業においては、競争力の強い大企業との対抗上、特殊販売機関を設立することは、その存立の維持と発展を図るための自衛手段とも目さるべきものである。ただ中小企業は、概して資力その他が薄弱であることを免がれないため、よしや会社形態をとる場合といえども、その人的組織、帳簿組織、経理組織等の点において欠くるところ多く、到底大企業の比ではなく、一般にワンマン的色彩が強いのが特色であり、かつ、短所であるといえよう。

従つて税法上においても、国税庁はこのような劣弱な中小企業の実態を十分に認識し、徴税上いやしくもか酷にわたらないよう末端収税官吏を指導督励すべきものと考えるが、これにつき国税庁は末端機関に対し、従来いかなる周知徹底の方法を講じているか。

四 中小企業者は、概して難解なる税法に精通せず、従つて脱税犯についても、その行為が不正であるという認識はもちろん、脱税の事実の認識及び不正と客観的に認めらるべき行為そのものに対する認識すら欠く場合が多いのが通常といえよう。従つて収税官吏はこの中小企業者の無智を奇貨とし、納税に際し、納税者が不用意に収税官吏の感情と心証を害したような場合において、法律上収税官吏に与えられた質問権を行使して、巧妙な誘導質問により、故意に納税者の犯意を作為し、よつてもつて納税者をして脱税犯の容疑に陥れしめるようなおそれなしとは保証しがたいと思われるが、国税庁においては、このようなおそれの絶対にないよう平素いかなる指導を行い、かつ、これを末端機関に周知徹底させるためにいかなる努力を払つているか。

なお通告処分の前提として、収税官吏をして納税者に対する質問てん末書を作成させているが質問てん末書には各頁に割印のごときものがないため、後日万一これを改ざんしてもその真偽を確めることのできない現在の取扱は、はなはだ不当と考えるがどうか。

五 物品税については、申告賦課制度がとられている。しこうして納税者より課税標準額申告書の提出がない場合又は申告された課税標準額が不相当と認められる場合は、税務署長がその課税標準額を決定することになつている。(いわゆる政府決定)もつとも明りように詐偽その他不正の行為又は申告怠疑の事実が認められる場合には、ただちに犯則処分を行うことができることはいうまでもない。

しかしながら犯則処分については、最近の脱税犯が一般の刑事犯と本質的に異ならないような重刑を科せられることになつているばかりでなく、脱税犯の成立いかんは中小企業者の生死にも関する重大問題といえるから、特に重大な犯則のある場合にかぎりこれを発動するよう、慎重の上にも慎重を期するのが至当であり、従つてできるだけ政府決定によるべきであつて、みだりに犯則処分を行うべきでないと考えるがどうか。

なお物品税について、政府決定を行う場合若しくは行わない場合又は犯則処分を行う場合若しくは行わない場合の基準及び事例は取扱上どのようになつているかについて、具体的詳細なる見解を明らかにせられたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一 物品税は消費税としての性格上、種類、品質、構造、効用等の同一な物品については、その取引形態又は取引事情のいかんにかかわらず、消費者の負担すべき税額に差異のないことが望ましい。このような見地から、第二種物品の課税価格は、物品税法第三条第一項において「製造場ヨリ移出スル時ノ物品ノ価格」とし、さらに、その価格は、「物品ノ製造者ガ当該物品ヲ通常ノ卸取引数量ニ依リ且通常ノ卸取引形態ニ依リ凡ユル購入者ニ対シテ自由ニ売却ノ為ニ提供シタル場合ニ於テ当該物品ノ対価トシテ当該物品ニ附スベキ価格」をいうものであることが、昭和二十五年の政令改正の際に物品税法施行規則第十一条(現行第十一条及び第十一条ノ二)で明確にされたが、第二種物品の課税価格が上記の規定で明らかにされたいわゆる抽象価格であることは、物品税法制定以来一貫した解釈である。

特殊販売機関が介在する場合の取引は、前記のような通常の取引条件と異なる条件のもとに行われることがあるから、このような場合には、製造者と特殊販売機関との間の取引価格を課税価格とすることは適当でなく、物品税法施行規則第十一条ノ二に定めるところにより課税価格が算定されるべきであり、昭和二十五年の政令改正当時においても、国税庁通達でこの趣旨を明らかにしていたところである。

じ来、このような場合の取扱を客観的に統一するための通達は漸次改正され、昭和三十一年には、この関係を政令においても明らかにするため、物品税法施行規則第十一条ノ三の規定が設けられるに至つたものである。

以上述べたとおり、特殊販売機関を通じて販売される場合の物品税の課税価格の取扱についての昭和二十五年十二月の物品税法施行規則の改正並びに昭和二十五年十二月及び昭和二十六年十月の取扱通達の改正は、いずれも物品税法第三条の一貫した解釈のもとにおいて行われたものである。その意味において昭和三十一年七月の物品税法施行規則の改正は、物品税法第三条の精神としては宣言的てある、

二 特殊販売機関は必ずしも租税回避の目的で設けられたものとは考えられないが、もともと特殊販売機関は、取引の規模が大きく取引の行われる地域も広範にわたるため、製造と販売を区分して経営することが必要であるような場合に設けられるものと考えられる。従つて、このような特殊販売機関の必要性は、中小企業にあつては大きくないのが通常である。

また、施行規則第十一条ノ三の規定は、租税回避を目的として設けられた特殊販売機関のみを対象とするというものではなく、上記のように、この特殊販売機関が介在する場合でその取引条件が一般の場合と異なるときに、適正な課税価格を算定するために設けられたものである。

したがつて、この規定は、特殊販売機関に対する販売価格が、他の製造者の販売する同一の性状に属する物品の価格に比し「低額」である場合には、その販売価格を課税価格とせず、適正な課税価格を算定することとしているものであり、質問主意書に述べられているように「特に低額」である場合に限定して適用することにはしていない。

三 特殊販売機関を設ける必要性は、上記のように製造部門と販売部門とを区分することが企業活動上便利な大企業において見られ、その販売が地域によつて限定される中小企業にあつては、その必要性に乏しいのが一般的である。従つて、中小企業の販売機関は、必然的な必要性に基いて設けられたものは比較的少いと考えられ、また、特殊販売機関の取扱の面において、中小企業であるが故に特別の取扱を講ずる理由も乏しいものと考えられる。

なお、製造者の人的組織、帳簿組織、経理組織等の不備であるものについては、その不備のみによつて不利益を蒙ることのないよう十分に留意しているが、中小企業といえども特殊販売機関を別人格として設けるような場合には、その間における取引を明確に整理することが必要であり、そのために帳簿組織、経理組織等の整備を図るべきことは当然であると考える。

四 質問主意書によると、納税者は、税法に暗く脱税の認識すらない場合が多く、また、収税官吏はこのような納税者の無智を奇貨として不当な処分を行うというような暗い見方をされているが、納税者の実状が一般的にそのようなものであるとは考えられず、また、税務の執行に当つては収税官吏も納税者の身になつて信頼される税務行政を行うよう常に指導しているところである。従つて、御説のようなことが一般的であるとは到底考えられない。

なお、質問てん末書には被質問者の割印を要しないこととしているが、質問てん末書は収税官吏が取調の事実を録取するものであり、当該てん末書の作成に当つては、被質問者がその記述の内容に誤りのないことを確認のうえ、収税官吏とともに署名なつ印するものであるから、じ後において改ざんが行われることは考えられないし、また、この取扱は刑事訴訟法の趣旨にのつとつたものであるから、不当なものとは考えられない。

五 物品税に関する犯則調査は、特に悪質と認められる納税者に重点をおいて実施するとともに、調査に際しては、常に慎重に行つたうえ、公正妥当な処罰をするようにしており、みだりに犯則処分を行うようなことはしていない。

なお、犯則処分と政府決定の取扱基準は、申告書の提出のないとき又は政府において申告を不相当と認めた時は政府決定を行うが、そのうち、犯則の心証を得たときは犯則処分を行うこととしている。

なお、申すまでもないところであるが、個々の事案について、物品税法およびこれに基く命令を適用するにさいしては、当該事案の内容を充分に検討した上、結論を出すことが必要であると思われるので、念のため申し添える。

右答弁する。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

個別の事案 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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