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東京国際空港におけるジョージ・オーグル牧師の人権に関する質問主意書
衆議院 第75回 第7号承知していない ×1
質問本文
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
東京国際空港におけるジョージ・オーグル牧師の人権に関する質問主意書
昨年十二月十四日、在韓米国人、ジョージ・オーグル牧師が、韓国政府より、国外退去命令を受け、大韓航空機で米国に送還されたのであるが、その途中、東京国際空港に寄港した際、本人の意志を無視し、機外へ出ることを阻止される等、我が国への主権の侵害及びジョージ・オーグル牧師の人権侵害の疑いがあるので、以下各項にわたり政府の回答を求めたい。
一 一九七四年十二月二十日付、アメリカ合衆国メソジスト教団事務総長ジョージ・トレイシィ氏によるオーグル牧師の「東京国際空港事件」に関する公開質問状が、宮澤外務大臣宛に送付されているが、日本政府は、それについて回答する意思があるかどうか。
二 オーグル牧師の乗つていた大韓航空機の機長名及び韓国中央情報部員の搭乗の有無を明らかにされたい。
三 強制退去を受けた者は、その本人の本国以外に寄港できないという国際法又は国際慣習があるのか、強制退去者の国際法上の地位を併せ説明されたい。
四 当日、大韓航空機に搭乗していた一般乗客は、東京国際空港において機外に降ろされたにもかかわらず、オーグル牧師だけは、本人の意志に反し、二人の乗務員と韓国中央情報部員らしき男に機外に出る事を阻止され、監禁状態にあつたといわれているが、そのような事実はあつたのか、それについて日本政府は調査したのか。
五 韓国中央情報部員により、オーグル牧師を監禁したことが事実であれば、日本の主権が侵害されたと思うがどうか、この場合、韓国に抗議をする意思があるか。
六 オーグル牧師の旅券は、大韓航空機の機長に取り上げられたと伝えられているが、機長にそのような権限はあるのか、他国の領域内での機長の国際法上の地位を併せ説明されたい。
七 オーグル牧師にインタビューしようと機内に入つた、ワシントン・ポスト東京支局長D・オーバードファ記者、アメリカン・リポート特派員S・ジェムズ記者は、空港署員によつて機外に連れ出された事実がある。これはだれの要請に基づきどのような理由から機外に連れ出されたのか説明されたい。
八 警察が機内を捜査したと報道されているが、だれの要請でどのような捜査を行つたのか、当時の模様を具体的に説明されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
一九七四年十二月二十日付け、アメリカ合衆国メソジスト教会ジョーンズ氏より宮澤外務大臣あての書簡に対する回答は、在米日本大使館より行うよう指示した。
二について
十二月十四日の当該大韓航空〇〇二便の機長名は、金浩渕(KIMHO YOUN)である。
韓国中央情報部員がとう乗していたとは承知していない。
三について
強制退去を受けた者は、その本人の本国以外に寄港できないという国際法又は国際慣習はない。
ある国家により強制退去処分に処せられた者は、そのことのみにより、外国において特別の国際法上の地位を有することにはならない。
四及び八について
昭和四十九年十二月十四日二十二時十分ころ、運輸省東京空港事務所航務課から、東京空港警察署に対し「五十二番スポットに出発準備で駐機中の大韓航空〇〇二便にとう乗券を持たない外人二名が入り機外に出ないで困つている。機長が警察官の派遣を要請している。」との連絡があり、同署では警察官十一名を急派した。
二十二時十五分ころ、同機内に立ち入つて調査したところ、外国人二名は、米国人記者と名乗り「機内に韓国から強制退去を命ぜられたオーグル氏が乗つているはずであり、面接取材したい。」と申し立てており、乗務員達は両名の機内立入を拒否して口論していた。
警察官がオーグル氏とう乗の有無について質問したのに対し、機長は「乗つていない」と答え、更に機内にいた大韓航空東京支店員も乗客名簿にオーグル氏の名前はないと申し立てた。
しかし、念のため、機長の同意を得て、警察官五名が手分けして日本語と英語で「オーグルさん」あるいは「ミスター・オーグル」と呼びながら、乗客席、手洗所など機内を調査したが、本人はもちろん、誰からも何の申出もなく発見に至らなかつた。その他何ら不審な状況も認められなかつた。
その後、十二月十八日乗務員二名から、同二十日機長から、それぞれ事情を聴取したところ、いずれもオーグル氏が同機にとう乗していた事実を認め、特に機長は「オーグル氏より東京で降りたいとの申出があつたが、私の立場上困るので、このまま機内に残るよう説得したところ、了解して座席に座つていた。」と陳述し、機内における監禁の事実はなかつたとしている。
また、本年二月十三日、オーグル氏から事情を聴取したところ、「東京でトランジット客とともに降りようとすると乗務員等に押し止められ、更に機長に降りてはならないといわれたので座席に戻り、その後通路を行つたり来たりしていた。」と説明した。
以上の状況から、東京空港において、オーグル氏が機内で監禁の状態にあつたと認めるのは困難と思われる。
五について
御指摘のような仮定の事実を基に、主権侵害問題を論ずるのは、不適当と考える。
六について
機長が乗客の旅券を取り上げる権限を有するか否かは、他国の領域内における場合を別とすれば、当該航空機の所属国の国内法上の問題である。
国際法上、他国の領域内における機長の権限については、明確でない点が多いが、少なくとも、航空機が他国に着陸した後においては、一般国際法上機長としての特別の権限が一般に認められるわけではない。
七について
東京空港警察署は、四及び八についての項で述べたとおりの措置をとつたところであるが、当時、オーグル氏の存在が確認されず、また、大韓航空〇〇二便の出発時間も切迫していたので、警察官は、機内に残つていた米国人一名(後にジェームス・ステンツェル氏と判明)を促してともに機外に出たものである。
なお、他の米国人一名(後にドナルド・オーバードーファー氏と判明)は、既に機外に出ていた。
右答弁する。
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