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大阪国際空港の拡張計画に関する質問主意書
衆議院 第82回 第17号お答えすることは困難 ×1
質問本文
衆議院議長 保利 茂 殿
大阪国際空港の拡張計画に関する質問主意書
昭和三十四年七月三日、空港整備法により第一種空港となつた大阪国際空港は、その後拡張計画(昭和三十七年十二月三日運輸省告示第四三九号)が実施され、昭和四十五年二月五日、三千メートルのB滑走路を使用開始するに至つた。しかし、この拡張計画は、当初から問題をはらんでいたのであり、その後の展開は事態の重大性を浮きぼりにした。
そこで、以下、大阪国際空港のかかえている問題について、飛行場行政に職責を有する運輸大臣の御見解をたまわりたい。
一 右拡張計画の実施に当り、用地取得を図るため土地収用法による事業認定を受けられているが、この事業認定申請書に添付された事業計画書に関連して、以下の点を明らかにされたい。
(1) 「空港施設の概要」の中で、現有施設として面積・着陸帯・滑走路・誘導路・エプロン及び航空保安施設が表示されているが、これらの施設が空港施設の土地収用法上の法定要件を構成するものとしてよいのか。その他空港施設の土地収用法上の法定要件(空港機能を確保するに必要不可欠の施設の全種類)は何か。
(2) 同じく増設する航空保安施設として、計器着陸装置ILSなど無線誘導施設が含まれているにもかかわらず飛行場灯火が含まれていないのは如何なる理由によるのか。滑走路を増設しても、これにかかわる飛行場灯火は設置しないということなのか。
(3) 右において、実際には飛行場灯火が設置されたのであれば、その種類をすべて示されたい。
(4) 例えば、進入灯を欠いたまま計器着陸装置ILSのみで計器進入着陸することは、航空法令上可能か。可能とすれば如何なる場合で、その運航にかかわるカテゴリーは何か。
(5) 「事業の施行を必要とする公益上の理由」の中で、本事業の完遂による経済発展のみが主張されているが、何故経済発展のみに公益性があるとしていたのか。
(6) 右において現在までにどのような経済発展が関係地域にもたらされたか。
(7) 右における結果として、どのような損害が関係地域にもたらされ、関係者がどのような支出を強いられたか。
(8) 「起業地等を当該事業に用いることが相当であり、又は土地等の適正かつ合理的な利用に寄与することになる理由」の中で、「平行滑走路の場合には同時使用が可能であり」とあるが、単に滑走路が平行であるからという理由だけでただちに同時使用が可能となるとは限らないので、平行滑走路が同時使用可能なのは如何なる場合か。本件に即して具体的に飛行コースを図示され、航空管制上のセパレーション等を含めて説明されたい。
二 B滑走路の供用開始が大阪国際空港の処理能力(許容限界発着回数)にどのような効果をもたらしたかについて
(1) 昭和三十六年から昭和五十一年までの各年間の定期便の発着回数(実績)をジェット機とプロペラ機及び国際線と国内線の別に表示されたい。併せて、同じく定期便の乗降客数を国際線と国内線の別に示されたい。
(2) 昭和三十六年から現在に至る処理能力がどのように変更されてきたのか、一時間当り、連続する三時間当り及び一日当りの各許容限界発着回数を用いて示されたい。
(3) 右において、航空機騒音による運行時間制限は処理能力にどのような影響を与えたか。具体的に示されたい。
(4) 滑走路の使用方向は風向により定められるが、大阪国際空港では、主滑走路は32L/Rか、14L/Rか。また、主滑走路の使用率は何パーセントか。
(5) 滑走路32L/Rと同じく14L/Rとでは、処理能力に差が出るか。出るとすればどのような差か。例えば、一日32L/Rのみが用いられる場合と、同じく14L/Rのみが用いられる場合とでは、処理能力にどのような差が出るとしているのか。
(6) 滑走路14L/Rからの進入着陸のためサークリング・ガイダンスが設置されているが、
(イ) 設置の時期、目的及び設置基準を示されたい。
(ロ) 処理能力にどのような貢献をなしたのか。
三 右拡張計画にかかわる用地の強制取得のため大阪府に申請された行政代執行は中止されたが、その前提として豊中市勝部地区関係者、全日本農民組合大阪府連合会、運輸省航空局長、大阪府知事及び豊中市長の間で昭和四十一年十二月二十一日にかわされた覚書の中で全日本農民組合の要求に対して運輸省見解が示されている。この運輸省見解について、以下の点を明らかにされたい。
(1) この運輸省見解については、航空局だけではなく、運輸省が責任を負うものとしてよいのか。
(2) 「大阪国際空港を含む民間空港の公害対策について、従来積極的な施策を取り得なかつたことは誠に遺憾である」と記されているが、
(イ) それまで積極的な施策を取り得なかつた原因及び理由は何か。
(ロ) 積極的ではないとする施策は、それまでどのようなものが行われていたのか。
(ハ) 施策が積極的であるかないかはどのような基準により区別されるのか。
(ニ) 民間空港で戦後最初に航空機騒音による公害問題が発生した飛行場(空港)名、時期及び原因につき示されたい。
(ホ) 昭和三十五年十二月二十六日に東京国際空港騒音対策委員会の初会合がもたれているが、右委員会を開催するに至つた経過を理由、原因を添えて示されたい。
(へ) 右委員会の構成メンバーと委員会設置の根拠規定を示されたい。
(ト) 右委員会はその後どのように推移したのか。その展開の内容を示されたい。
(チ) 昭和三十八年十月一日に東京国際空港では深夜、早朝のジェット機が発着禁止となつたが、そのいきさつを明らかにされたい。
(リ) 右(ホ)〜(チ)におけるが如く、東京国際空港では本件拡張計画の告示前後において、既に航空機騒音問題が顕在化し、運行時間制限による空港機能障害の発生をみていたが、これらの事態は本件拡張計画にどのように斟酌されたのか。
(3) 「今後は立法措置を含めて積極的に取組む所存である」と記されているが、
(イ) 本件拡張計画は「立法措置を含めて積極的に取組」まれない限り、その計画本来の目的を達成し得ないものだつたのか。
(ロ) ところで「立法措置を含めて積極的に取組」まれた施策の内容を具体的に示されたい。
(ハ) 右施策は、本件拡張計画の本来の目的が達成されるのにどのような貢献をなしたのか。
(4) 「将来関西地区に第二空港の建設が必要と考えられるので、昭和四十二年度より所要の調査を進めることとしており」と記されているが、
(イ) 「第二空港の建設が必要」とされるのは、全日本農民組合の主張する「国際空港を速やかに移転すべきである」を受けてのことか。その他、その理由を示されたい。
(ロ) 昭和四十二年度より行われたはずの第二空港建設に関する調査の具体的な内容及び講じられた予算の措置を現在に至るまで年度毎に明らかにされたい。
(5) 「大阪国際空港の立地条件、規模等にかんがみ、一定限度以上の騒音の規制を行う措置を講ずる」と記されているが、
(イ) 現在までどのような騒音規制が行われたのか、その内容を個別具体的に示されたい。
(ロ) 右において騒音規制を行うべき「一定限度以上の騒音」にいう「一定限度」の具体的な内容を示されたい。
(ハ) 何故、一定限度以上の騒音の規制を行わねばならない拡張計画を実施するのか。
(6) 「夜間飛行の規制強化については、種々の難点もあるが、今後とも努力する」と記されているが、
(イ) 「種々の難点」の具体的な内容を示されたい。
(ロ) 現在までに努力されたはずの規制強化の具体的な内容及びその結果について示されたい。
四 大阪国際空港に関連して現在までに発生した国際的な紛争について時期、相手国、原因、経過、結果などの具体的な内容を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
(1) 御質問の面積、着陸帯等に係る記載は、大阪国際空港整備拡張工事として、滑走路の増設等と併せて整備改良すべく計画された大阪国際空港(以下「大阪空港」という。)の既存施設を表示したものであり、当該工事については土地収用法による事業の認定がなされている。
なお、空港整備の事業につき土地収用法による事業の認定をするに当たつては、申請に係る事業計画の内容が同法第三条第十二号に該当するものに関する事業として適当であるかどうかについても審査している。
(2)及び(3) 昭和三十七年七月五日の事業認定申請に係る事業計画には飛行場燈火の整備計画も含まれており、これに基づき整備された飛行場燈火の種類は次のとおりである。
飛行場燈台、進入燈、進入角指示燈、進入路指示燈、滑走路燈、滑走路末端燈、滑走路末端補助燈、滑走路末端識別燈、滑走路中心線燈、接地帯燈、滑走路距離燈、過走帯燈、誘導路燈、誘導路中心線燈及び誘導案内燈。
(4) 航空法令上、ILSを利用して精密進入を行う計器着陸用滑走路については、原則として進入燈の設置が必要とされている。
(5)から(7)まで 本件事業の施行は、航空旅客需要の増大及び航空機の大型化の傾向に対応することを可能にし、もつて関西地域及び我が国全体の経済発展に寄与することを通じて国民生活の向上に貢献し得ると判断したものであり、この目的はおおむね達成されたと考えている。
また、本件事業の完成に伴う大型ジェット機の就航は、航空機の発着回数の増加と相まつて、空港周辺地域における航空機騒音障害等の問題を引き起こしたが、これに対しては、従来より「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」に基く措置等諸種の対策を講じてきたところである。
(8) 大阪空港においては、有視界気象状態であること、当該航空機と管制塔との間に無線連絡が設定されていること、離着陸しようとする航空機の航行が同方向であること等を条件として、機種、離陸後の旋回方向等を勘案し、適切な安全問隔を設定することにより、A滑走路とB滑走路の同時使用を行つている。
二について
(1) 昭和三十六年から昭和五十一年までの各年間の大阪空港における定期便着陸回数等は、別表一のとおりである。
(2)及び(3) 昭和四十五年のB滑走路の供用開始により大阪空港の処理能力は増大したが、同年の万国博覧会の開催を契機に同空港の処理能力が限界に近いことが問題となり、昭和四十六年に計器飛行方式により飛行する航空機の発着回数の限度を一時間当たり三十六回、連続する三時間当たり九十三回と定めている。
なお、運航時間制限措置等により、同空港の一日当たりの発着回数は減少している。
(4) 大阪空港においては、地上風の風速が五ノット以上の場合は風向に近い方位の滑走路を使用し、地上風の風速が五ノット未満の場合は飛行経路、着陸援助施設等を考慮して滑走路32L/Rを使用することを原則としている。
なお、昭和五十一年においては、離着陸の約九十五パーセントが滑走路32L/Rを使用して行われた。
(5) 滑走路14L/Rを使用する場合は、地形等の関係で離着陸する航空機の飛行コースが空港の南で交差するので、これらの飛行コースを飛行する航空機に所定の安全問隔を設定する必要があり、航空交通の状況、気象状況によつては、滑走路32L/Rを使用する場合に比して処理能力が低下することがある。
(6) 大阪空港の進入路指示燈は、滑走路14L/Rを使用して離着陸する航空機が同空港の西北に存する六甲山系に衝突する危険を回避するために設置され、昭和四十二年八月二十六日に供用開始されたものであり、処理能力に結びつけて考えてはいない。
なお、進入路指示燈の設置基準は、航空法施行規則第百十七条に定められている。
三について
(1) 御指摘の運輸省見解は、大阪空港に関する公害問題についての運輸省の考え方を示したものである。
(2)(イ)から(ハ)まで 航空機騒音対策は、まず航空機騒音の実態調査から開始する必要があり、当時の施策はおおむね実態調査、所要の対策内容の検討等の段階にとどまつていたものである。
大阪空港については、昭和三十七年度に同空港周辺において航空機騒音の実態調査を開始するとともに、昭和四十年十一月以降、午後十一時から翌日午前六時までの間におけるジェット機の離着陸を原則として認めないこととした。
(ニ)から(ト)まで 民間空港において最初に航空機騒音が社会問題となつたのは、東京国際空港においてジェット機が就航し始めた昭和三十四、五年頃であり、これに対処するため、運輸省が主唱して国及び地方公共団体の職員並びに関係住民団体及び航空会社の代表から成る東京国際空港騒音対策委員会(以下「委員会」という。)を開催し、航空機騒音対策の検討、推進を図ることとしたものである。委員会は、現在までに三十一回開催されており、東京国際空港周辺の航空機騒音対策について協議を重ねてきたが、この間の協議内容の主なものは、C滑走路の新設について、B滑走路の延長について、騒音軽減運航方式について等である。
(チ) 東京国際空港におけるジェット機の運航制限措置については、昭和三十七年十二月に、深夜におけるジェット機の離着陸禁止の措置をとることを要求する決議が委員会においてなされた。これを受けて、各航空会社及び付近住民双方の立場を勘案の上、同空港において午後十一時から翌日午前六時までの間におけるジェット機の離着陸を昭和三十八年四月一日から(ただし、スケジュール調整上、やむを得ないものについては同年十月一日から)原則として認めないこととしたものである。
(リ) 大阪空港周辺における航空機騒音障害については、当時、同空港周辺において航空機騒音の実態調査を実施しており、その後、「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」の制定等の周辺対策及び騒音規制等の音源対策を推進することにより、その防止、軽減に努めている。
(3) 大阪空港の拡張計画の目的は、一について(5)から(7)までにおいて述べたとおりであるが、
その後、同空港周辺の航空機騒音障害については、三について(2)(リ)において述べたとおり諸種の対策を推進することにより、その防止、軽減に努めている。
(4)(イ) 当時、第二空港の建設が必要であるとした理由は、関西地域における将来の航空輸送需要の増加に対処するためには、大阪空港の規模が小さく、同空港を更に拡張することは周辺の市街化の進行の状況、地形上の制約等から見て困難であると考えられたことによる。
(ロ) 第二空港の建設に関する調査については、昭和四十三年度以降毎年度予算措置が講じられているが、その予算額及び調査内容は別表二のとおりである。
(5) 大阪空港の拡張計画の目的は一について(5)から(7)までにおいて述べたとおりであるが、御質問の騒音規制については、兵庫県川西市立久代小学校に設置した騒音測定塔において次表に掲げる時間帯ごとの騒音の強度を超える騒音が測定されるおそれのある航空機の離着陸を昭和四十五年二月から原則として認めないこととし、更に、昭和五十二年十一月から、低騒音大型機(エアバス)の同空港への乗入れに伴い、低騒音大型機の離陸につき、同地点での騒音の最高限度を九十九ホンに制限する措置を実施している。
(6)(イ) 夜間飛行の規制を強化すると、これに伴う減便等により利用者の利便を著しく損なうこととなる外、ダイヤ編成が困難となる等の問題が生ずる。
(ロ) 大阪空港においては、昭和四十年十一月以降午後十一時から翌日午前六時までの間におけるジェット機の離着陸を、更に昭和四十七年四月以降は午後十時から翌日午前七時までの間における航空機の離着陸を原則として認めないこととした。なお、昭和五十年十二月から、国内線については、午後九時以降に発着するダイヤを認めないこととし、現在では、国際線も含めて午後九時以降に発着するダイヤはなくなつている。
四について
大阪空港に関連する問題について、外国政府が一方的措置を講じた事例としては、昭和四十九年二月、英国が要求したキャセイパシフィック航空の香港 ― 大阪線のソウル延長を日本側が認めなかつたところ、英国側は日本航空の東京 ― 香港 ― シドニー線の香港への寄航禁止等の措置をとつたことがある。この問題は、同年九月の日英航空当局間協議により、キャセイパシフィック航空はソウルへの延長を行わないこと、日本航空は香港 ― シドニー間の運航を行わないこと等が合意され、解決した。
右答弁する。
別表 一
別表 二
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