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むつ小川原石油備蓄基地建設予定地区内に発見された活断層問題に関する質問主意書
衆議院 第90回 第8号
質問本文
衆議院議長 ※(注)尾弘吉 殿
むつ小川原石油国家備蓄基地建設予定地区内に発見された活断層問題に関する質問主意書
青森県の「むつ小川原開発」は、この十一月二十一日の石油国家備蓄基地建設の起工式により、事実上スタートがきられた。
この石油国家備蓄基地は、我が国最初のもので、青森県むつ小川原地区六ケ所村弥栄平の部落に、敷地二百五十ヘクタール、直径八十メートル、高さ二十四メートルの石油タンクを五十一基建設しようとするもので、昭和五十七年までに五百六十万キロリットルの原油を備蓄する計画と言われている。
日本共産党は「むつ小川原開発」について、
一 地場産業を発展させる。
二 公害をもちこませない。
三 地元をうるおす。
ことを基本とし、これをつらぬくために、住民と専門家の参加を保障することを主張してきた。
ところが、現在進められている「むつ小川原開発」は、この三つの「地域開発」の基本点をとり入れたものでなく、大企業本位、安全性無視、公害ばらまき、地元産業振興に役立たないものである。
例えば、石油国家備蓄基地は、第二次基本計画の一万六千人を雇用するとの約束とは全く違い、四百〜五百人の雇用しかないと言われている。
先月の起工式を前に、藤田至則新潟大教授、宮城一男弘前大教授の二名の科学者により、第四紀に活動した「活断層」がこの基地予定地を南北に走つている可能性があることが指摘された。
この指摘が事実とすれば、石油備蓄基地とその周辺の安全に大きな不安要因となるもので、大災害を生じる恐れがあるという重大な問題である。
石油公団、県当局は、当初、通産省地質調査所発行「日本活断層図」には、予定地内に活断層があるとは記載されていないし、ボーリング調査でも活断層は発見されていないと主張した。
しかし、この二科学者の指摘によれば、「日本活断層図」は、これまで学会で発表され確認されたものを載せているのであり、これに載つていないことが存在を否定する論拠にはならないこと、むしろ、この「活断層図」の中に、基地予定地の南方に東北最大の「葛根(くずね)」、北側に「下北」の両活断層がそれぞれ南北方向に走つていることから、これらが予定地内で連結している可能性を予測させるとしている。
さらに、県の「むつ小川原開発土地分類基本調査」でも、予定地の真南に後川(六ケ所村)、土場川(東北町)に沿つて南北方向の構造谷(断層谷)を確認しており、同調査「地質図」にも、予定地から数キロメートル南の干樽に約五十メートル落差の断層が示されているとしている。
二科学者は、これらの資料をもとに、二回の現地調査を行い、予定地の南側二・五キロメートル、北側六キロメートルのところまで断層がせまつているのを確認、さらに、土場川南西部の淋代(さびしろ)で第四紀の下部ローム層を切断する明らかに第四紀に活動した活断層を発見、そして、それぞれの断層が基本的に南北方向に走り、角度もほぼ一致していることから、基地予定地内に活断層群が存在する可能性を指摘したものである。
さらに重要なことに、むつ小川原地域は大地震の多発している十勝沖に近く、地震の影響を受けやすい地域である。例えば、宮城沖地震による被害が利府・長町断層沿いの地域に集中したという事例から見ても、巨大石油タンクを断層上に設置することがいかに危険なものであるかは明らかである。
これらの科学者の指摘や住民の不安に対し、石油公団がなんらまともな解明を行わないまま、石油備蓄基地の建設を強行することは断じて容認できないものである。
政府が、これらの諸問題を早急に解明し、対策を講ずるべく、以下の事項について質問する。
一 石油公団の昭和五十三年度「陸上石油備蓄基地基本計画策定業務報告書」(昭和五十四年二月)では、「収集調査資料から判断するとむつ小川原地区には活断層はない」と一方的に断定しているが、この収集調査資料は公表されていない。収集調査資料の公表を含め、断定の根拠を明らかにすべきだと考えるがどうか。
二 石油公団は、基地予定地内でボーリング調査を行つたとしているが、この調査の詳細な内容について速やかに公表すべきであると考えるがどうか。
三 科学者の「活断層の存在の可能性」の指摘を、公団はどう認識し、どのように対処したのか。今後どのように対処するのか。さらに、「活断層」の調査を行うのか。その場合、これら科学者の立会いを認める考えがあるか。
四 石油公団は、いわゆる「活断層」の判定に必要なすべての第四紀層の形態をどう見ているのか。
五 消防法の「危険物の規制に関する政令」第十一条第一項三の二では、「特定屋外貯蔵タンクの基礎及び地盤は堅固なものとし、平板載荷試験、圧密度試験等の試験において、自治省令の基準に適合するものであること」となつている。当然、石油備蓄基地についてもこの条項が適用されると思うが、これらの試験は実施されていない。なぜ試験を実施しないまま石油備蓄基地として決めたのか。また、今後試験を実施するのか。さらに試験によつて自治省令の基準に適合しないとの結論が出た場合はどう対処するつもりなのか。
右質問する。
政府答弁書
一について
むつ小川原地区の地質については、昭和四十四年度以降、むつ小川原総合開発計画策定の一環として、地元青森県を始め関係省庁、株式会社むつ小川原総合開発センター等により現地踏査、ボーリング調査、弾性波探査等多方面にわたる調査が実施されてきており、これらの調査結果に基づいて、地質、基礎構造、耐震設計等、理学・工学両分野にわたる専門家が総合的に検討した結果、石油備蓄基地建設予定地区内には有意活断層は存在せず、基地の建設に支障を及ぼすような問題はないものと判断されている。
このように、むつ小川原地区に係る石油備蓄基地計画は、多方面にわたる調査資料に基づく専門家の総合的な判断を基に、石油公団において、策定されたものである。その判断の根拠については、今後、具体的な御指摘があれば、判断の過程を含めて、これを説明してまいりたいと考えている。
二について
石油公団においては、詳細な設計業務の準備の一環として二十九本のボーリング調査を実施しているところであるが、調査結果については、調査の終了を待つて、一についてで述べたところと同様に、具体的な御指摘があれば、これに応じて適宜説明してまいりたいと考えている。
三について
石油公団は、むつ小川原地区への石油備蓄基地の立地決定に当たり、フィージビリティスタディの実施等専門家の十分な検討により、安全性を確認している。しかし、今回、藤田・宮城両教授から石油備蓄基地建設予定地区内に活断層が存在する可能性があるとの指摘がなされたこともあり、安全の確保に万全を期する観点から、再度、石油公団等関係機関において、土木工学、地質学等の専門家の意見を聴取したところ、当該地区内には有意活断層は存在せず、建設事業に支障を及ぼすような問題はないとの判断を得ている。したがつて、石油備蓄基地における安全の確保には、万全を期し得るものと考えているが、工事の実施に当たつても、地質の確認に十分留意し、これを工事内容に反映させることとしたいと考えている。
なお、両教授は、石油備蓄基地建設予定地区内に活断層が存在することを確認したわけではなく、存在の可能性を推定しているものであり、基地建設に支障を及ぼすものかどうかといつた点については明らかにしていない。今後、土地造成工事においてローム層の剥土を行うことになるので、両教授から石油備蓄基地建設予定地区内の活断層の推定地点をお示しいただければ、石油公団としては、当該地点の剥土の際に、現場で見ていただくことは差し支えないと考えていると聞いており、これによつて、有意活断層が存在するため、基地の建設に支障を及ぼすのではないかという御懸念は解消するものと考えている。
四について
石油公団は、第四紀層とは、約百八十万年前から現在に至る、地質年代としては最も新しい時代に属する地層と理解しており、石油備蓄基地建設予定地附近には、かなり密な粘土層、砂層及びこれらの上に堆積したローム層等からなる第四紀層が存在していると認識していると聞いている。
五について
危険物の規制に関する政令第十一条第一項第三号の二に規定する平板載荷試験、圧密度試験等の試験は、特定屋外貯蔵タンクの基礎及び地盤に関する工事を行つた後に実施されるものであり、したがつて、むつ小川原地区の石油備蓄基地の場合も土地造成後に行う基礎及び地盤に関する工事の終了を待つて実施されることとなる。
なお、むつ小川原地区の石油備蓄基地の場合、適切な地盤改良工事等を施工することにより、石油公団としては、自治省令で定める基準を十分満足し得るものと考えていると聞いている。
右答弁する。
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