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法人の含み資産の公表に関する質問
参議院 第112回 第8号
質問本文
法人の含み資産の公表に関する質問主意書
最近、首都圏を中心とした地価の異常な高騰により、法人の含み資産が急増している。
一方、現行の財務諸表においては、取得原価主義に基づいて資産の額を計上しているため、帳簿価額が余りにも実態と乖離している。従つて、企業の業績及び財政状態の正確な開示を求めている「株式会社の貸借対照表、損益計算書及び附属明細書に関する規則」第二条の精神に著しく反しているものと考える。特に資金を証券市場で調達している企業については、株主保護の見地から、是正措置を講ずることが必要である。
これは、短絡的に資産再評価により課税するということを目的とするものではなく、日本経済に重要な役割を担う上場企業について、実態に即した企業の資産内容を株主や広く国民全般に開示することが不可欠と考えるからである。
そこで、以下の事項について質問する。
一 昭和五十五年五月に企業会計審議会より提出されたいわゆるインフレーション会計についての答申では、資産については時価評価を注記すべき旨がうたわれている。ただ、ここでは企業の自主的開示を期待するとして、必須事項とはなつていないが、少なくとも、上場企業の所有する土地及び株式については、時価評価による注記を義務づける必要があると思うが、政府の見解を示されたい。
二 土地及び株式を時価評価するに際しては何をもつて、時価とするかは議論の別れるところである。そこで、
(1) 土地については、地価公示価格、路線価等複数の評価方法が併存しており、速やかに統一評価基準を定めて、これらを一本化することが望まれるところであるが、さしあたつては、現存の相続税評価の方式を準用して資産の時価評価を行うべきと考えるがどうか。
(2) 株式についても相続税評価方式を準用してはどうか。
三 貸借対照表に時価評価を注記することは課税を目的とするものではないので、時価が連続性を欠いても支障はないと考えるがどうか。
四 現在の取得原価主義の下では、企業は含み資産が表面化しないため、含み利益の社会還元を配慮する必要はなく、逆に財テク行為、すなわち
(1) 含み資産を担保として融資を受け、土地や株式を買い増しし、地価や株価の異常な高騰に拍車をかけるおそれがあること、
(2) その借入金の金利を経費として計上することにより、利益圧縮の効果を享受できること、等の問題が指摘でき、時価評価方式の導入は、企業のかかる反社会的行為のチェックにも役立つと考えるがどうか。
右質問する。
政府答弁書
一から四までについて
1 企業内容の開示について、合理的な投資判断に役立つ正確な情報を提供することにより投資者の保護に資することを目的とする観点からは証券取引法において有価証券報告書等による開示制度が設けられており、この有価証券報告書等に記載される財務諸表は企業会計原則において基本原理とされている取得原価主義に基づいて作成すべきこととされている。この取得原価主義の考え方は、公正妥当な会計慣行として証券取引法のみならず商法、税法においても広く受け入れられており、また、先進諸外国においても企業会計上の基本原理として採用されているところである。
御指摘のように時価評価額の開示を義務付けるためには、この取得原価主義の考え方や時価に関する情報開示の有用性、その技法について十分な検討が行われるとともに、この問題に対する社会的合意が確立されなければならないと考える。ちなみに、昭和五十五年の物価変動財務情報の開示についての企業会計審議会答申においても、同様の指摘にとどまつている。
2 資産を時価により評価し開示することについては、1で述べたような問題があるほか、御指摘のように相続税等における評価方式を準用することが投資判断上有用性のあるものかどうかという問題もあるので、現時点において、たとい注記であつても時価評価額の開示を義務付けることは適当でないと考える。
なお、有価証券報告書等の中で、保有株式については銘柄別に所有数を、また、事業用の保有土地については事業所別に面績及び所在地を記載することを義務付けており、投資者の投資判断上必要な情報ができるだけ確保されるような措置を講じているところである。
3 御質問の三は仮に時価評価額を注記することとする場合の設問であるが、その場合には資産内容の異動や時価の変動に伴い、事業年度により時価評価額が異なることとなるのは当然であろう。ただし、2で述べたとおり、たとい注記であつても時価評価額の開示を義務付けることは適当でないと考えている。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。