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土地収用法等に関する質問
参議院 第150回 第13号承知していない ×1検討してまいりたい ×2
質問本文
土地収用法等に関する質問主意書
現在、建設省は来年の通常国会に向け、土地収用法の改正作業を進めている。より良い制度を考える上で最も重要な点は、現行の法制度や運用における問題点を把握することであると考える。よって以下質問する。
なお、同様の文言が並ぶ場合でも、各項目ごとに答弁されたい。
一 事業認定の公正性について
土地収用法及び公共用地の取得に関する特別措置法は、憲法第二十九条に定める私有財産権と公益性を調整するための法律であり、公益性を誰がどのような方針で判断するかが、最も重要な骨格である。
1 公共用地の取得に関する特別措置法制定に際し、事業認定機関は第三者的な行政委員会であるべきだという見解が立案に参画した学者より提起されたと聞くが事実か。
2 そのような形にならなかったのは、建設省の反対があったためと聞くが事実か。事実であるならば反対の理由は何であったか。
3 道路やダム事業において事業認定を申請する当事者である建設省が同時に、認定者であることは公正に欠ける。この点を改善すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。また、改めるとした場合、いかなる改善策が選択肢としてあり得るか。現在、考え得る選択肢を列挙されたい。
4 二〇〇一年の省庁再編により、事業認定機関は国土交通省となり、これまで運輸省から申請されていた事業についても、申請者と認定者が同一組織内に存在することとなり問題は大きくなる。より公正な制度とするためには、認定を第三者に委ねるべきだと考えるが政府の見解を示されたい。
二 事業認定の手続について
1 土地収用法第二十二条、第二十三条では、建設大臣又は都道府県知事は、事業認定を行う場合、必要があると認めるときは、「申請に係る事業の事業計画について専門的学識又は経験を有する者の意見を求めることができる」、また「公聴会を開いて一般の意見を求めなければならない」と定められている。しかし、現行法の制定以来、これらは一度も行われたことはなく、空文化していると聞くが事実か。事実であるならば、いかなる理由で一度も公聴会等が行われなかったのか。
2 第二十五条では、事業認定の利害関係者は、「都道府県知事に意見書を提出することができる」とあるが、意見書が提出された後、それらに対する回答は何らない。行政への住民参加と行政の説明責任が求められる中、この状況は改善されなければならないと考えるが政府の見解を示されたい。
三 事業認定の申請時期について
1 事業認定の申請時期について、建設省は事業計画の決定後速やかに申請すべきであるという立場をとり、通知、通牒、訓令を出していると聞くが事実か。
2 事業計画の決定後速やかに申請した例はあるか。また、事業計画の決定後速やかに申請しない場合、その理由はいかなるものがあるか。具体的に例示されたい。
3 実際には、任意買収を進め、事業に反対する地権者の土地だけが残った状態で事業認定がなされ、事業認定取消訴訟を起こしても、事実上、訴えの利益がなく、地権者は対抗できないという問題が起きている。これについての政府の見解を示されたい。
四 行政事件訴訟の執行不停止の原則について
1 行政事件訴訟法によると、第二十五条で「執行不停止の原則」が採られ、訴訟が起きても裁判所は、行政に対し執行停止命令をかけないことが原則となっている。しかし、「執行停止の原則」を採用している国もあると聞く。双方のメリット、デメリットをどのように考えるか。
2 行政事件訴訟法で、裁判所が事業停止を認めた場合、内閣総理大臣は異議を申し立てることができるが、裁判所はそれを覆すことができない。これは違憲であるという説があるが、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
公共用地の取得に関する特別措置法(昭和三十六年法律第百五十号。以下「特別措置法」という。)は、昭和三十五年に建設省の附属機関として臨時に設置された公共用地取得制度調査会(以下「調査会」という。)の答申を受けて、昭和三十六年に制定されたものである。調査会においては、その審議の過程で御指摘のような見解も一部の委員から提起されたが、認定機関を建設大臣とすることについては、審議の結果、全会一致により了承されたものと承知している。
一の2について
特別措置法において特定公共事業の認定を建設大臣に行わせることとしたのは、一の1についてで述べたとおり、調査会の答申を踏まえたことによるものであって、御指摘のような建設省の反対によるものではない。
一の3及び4について
建設大臣は、土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第二十条の規定に基づき事業の認定に関する処分(以下「事業認定」という。)を行うに当たっては、従来から、公共の利益の増進と私有財産との調整を図る観点から公正に審査を行ってきたところである。
なお、建設省においては、現在、土地収用制度の見直しを行っており、その中で、事業認定に係る審査をより公正に行うための方策についても検討しているところである。
二の1について
事業認定を行う建設大臣又は都道府県知事(以下「事業認定庁」という。)による専門的学識及び経験を有する者の意見の聴取又は公聴会の開催(以下「意見聴取等」という。)については、昭和五十八年度以降では、高圧送電線によって生じる電磁界の人体に与える影響に関して専門的学識を有する者の意見の聴取を建設大臣が行った例がある。昭和五十七年度以前の意見聴取等の実施状況については把握していない。
なお、意見聴取等は、事業認定庁が必要であると認める場合に実施されるものであり、その判断は事業認定庁の裁量にゆだねられているところである。
二の2について
土地収用法第二十五条の利害関係人の意見書は、事業認定庁が事業認定に係る審査を行うに当たっての参考資料とされるものであり、このような意見書の位置付けからすれば、事業認定庁が意見書に対して個別に回答することは適当でないと考える。
なお、建設省においては、現在、土地収用制度の見直しを行っており、その中で、事業認定の手続における住民参加や情報公開の在り方についても検討しているところである。
三の1について
御指摘の「事業計画の決定後速やかに申請すべきであるという立場」の意味するところが必ずしも明らかでないが、建設省においては、「事業認定等に関する適期申請のルール化について」(平成元年七月十四日建設省経整発第五十三号・建設省河総発第百八十二号・建設省道一発第三十号)及び「事業認定等に関する適期申請のルール化について」(平成元年七月十四日建設省経整発第五十四号・建設省河治発第四十六号・建設省河都発第三十一号・建設省河開発第九十号・建設省河海発第三十号・建設省河防発第七十八号・建設省河砂発第四十九号・建設省河傾発第四十五号・建設省道一発第三十一号)に基づき、原則として、用地取得率が八十パーセントとなった時又は用地幅杭の打設から三年を経た時のいずれか早い時期(以下「事業認定申請に関する適切な時期」という。)までに事業認定申請に係る準備に着手し、着手後一年以内を目途に当該申請を行うこととしている。
三の2について
建設省において、平成七年度から平成十一年度までの間に、事業認定申請に関する適切な時期までに事業認定申請に係る準備に着手し、着手後一年以内に当該申請を行った事業は、別表のとおりである。また、事業認定申請に関する適切な時期までに事業認定申請に係る準備に着手せず又は着手後一年以内を目途に当該申請を行わない場合としては、例えば、ダム建設事業等の大規模な事業においてなお交渉すべき土地所有者等が多数存在する場合等が考えられる。
三の3について
御指摘の「事業認定取消訴訟を起こしても、事実上、訴えの利益がなく、地権者は対抗できないという問題」の意味するところが必ずしも明らかでないが、一般に、事業に反対する土地所有者の土地だけが未買収である状態で事業認定が行われたとしても、これをもって直ちに当該土地所有者が当該事業認定の取消訴訟に係る訴えの利益を失い、又は訴訟上不利益な取扱いを受けることはないと考える。
なお、御指摘のように事業に反対する土地所有者の土地だけが未買収となるのは、事業者において可能な限り交渉による用地取得を行おうとした結果によることが多いものと考えられる。
四の1について
行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)が採用する「執行不停止の原則」の長所としては抗告訴訟の提起により行政の円滑な運営が不当に阻害されることがないこと、濫訴の誘発を予防することができることが、短所としては執行停止を得るために抗告訴訟の提起とは別個の手続を執る負担を原告に課することが挙げられる。
これに対し、「執行停止の原則」の長所としては執行停止を得るための別個の手続を執ることなく抗告訴訟の提起により処分、処分の執行又は手続の続行による不利益を免れることができるため原告の保護に手厚いことが、短所としては抗告訴訟の提起により行政の円滑な運営が不当に阻害されるおそれがあること、濫訴を誘発するおそれがあることが挙げられる。
四の2について
行政事件訴訟法第二十七条の内閣総理大臣の異議の制度が違憲であるとする説は、執行停止が司法作用に属する事柄であるとの見解を前提とした上で、内閣総理大臣が執行停止の手続に介入することは司法権を侵害するものであること等をその理由としているものと承知している。
しかしながら、執行停止は、本案の訴訟における終局判決と異なり、判決前の暫定措置としてされる行政作用に属する事柄であり、行政事件訴訟法においては、このような行政作用に属する執行停止の許否の判断権を立法政策上裁判所にゆだねたにすぎず、したがって、裁判所による執行停止の決定を覆す権限を内閣総理大臣に認めたとしても、司法権を侵害することにはならず、内閣総理大臣の異議の制度が憲法に違反することにはならない。
別表 1/2
別表 2/2
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