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戦後処理問題としての戦時遭難船舶犠牲者に関する質問

参議院 第150回 第3号承知していない ×19検討してまいりたい ×1

提出者
参議院
提出日
2000年10月5日
内閣転送 2000年10月11日
答弁書受領日
2000年10月31日
提出から26日
答弁の項目数
4
質問 2,290字/答弁 3,607字

質問本文

戦後処理問題としての戦時遭難船舶犠牲者に関する質問主意書

戦時遭難船舶遺族会(島袋林功会長)は、第二次大戦中、米国潜水艦等の攻撃を受け撃沈された対馬丸を除く戦時遭難船舶二十五隻の犠牲者遺族らによって組織された団体である。

戦時遭難船舶遺族会は、結成以来今日まで十七年余、犠牲者の遺骨収集、遺族補償及び国による洋上慰霊祭の実施等の要求実現を目指しているが、戦後五十五年余が経過し、遺族も高齢化している。

戦時遭難船舶犠牲者の遺骨収集、遺族補償及び洋上慰霊祭の実施等の問題は、優れて戦後処理問題であり、政治の責任において速やかに解決を図るべき重要問題と考える。

今年七月二十一日から二十三日まで沖縄県で「九州・沖縄サミット」が開催され、G8の首脳が沖縄を訪れた。戦時遭難船舶遺族会は、今世紀最後の慰霊祭、サミットが沖縄で開かれる意義ある年の慰霊祭で、サミット参加国首脳らにメッセージを発出した。

メッセージは、各国首脳に対し「戦争が終わって五十五年、沖縄県には残された戦後処理問題があります。戦時遭難船舶犠牲者に対する日本政府の補償が促進されますように、戦後処理問題を積極的にすすめてこられたサミット参加の首脳の皆様がそれぞれの国の経験を日本政府に教えて頂きますように、戦時遭難船舶犠牲者の慰霊祭の名において強く要請いたします。」と呼び掛けている。

また、クリントンアメリカ大統領に対しては「アメリカは、戦時中における日本商船の無線傍受暗号解読の記録を公開しました。沖縄・鹿児島間において非戦闘員が乗船した定期航路船舶を何故標的にしたか解明するために同暗号解読記録の提供を求めます。」と要請している。

戦時遭難船舶遺族会の声がサミット首脳らに届いたかどうか、私は知らない。届いた上でしかるべき対応を望む気持ちと戦後処理問題として解決しようとする日本政府の熱意のなさに失望する気持ちで複雑である。

戦時遭難船舶遺族会の皆さんに残された時間は多くない。政府は、一刻も早く遺族会の諸要求を実現すべきである。私は、戦後処理問題としての戦時遭難船舶遺族会の要求実現こそが、二十一世紀の新時代に平和国家日本の未来を拓くことになると信じる。

よって、次の点について質問する。

一、私は、平成十年八月十二日付けで「戦時遭難船舶犠牲者の洋上慰霊祭・遺族補償等に関する質問主意書」を提出した。その中で「対馬丸以外の戦時遭難船舶の犠牲者についても、洋上慰霊祭の開催、その他の慰霊事業等を実施すべきと考えるが、所信を明らかにされたい。」と問うたのに対し、政府は、九月八日付けの答弁書(以下「答弁書」という。)において「沈没艦船に係る洋上慰霊については、海域ごとにその海域で亡くなられた方々を対象としてこれを行ってきたところであるが、(中略)他の戦時遭難船舶については、既に過去に洋上慰霊の対象となったものもあると考えられるが、今後関係遺族の要望等を踏まえながら、海域ごとに行う方式による洋上慰霊の実施を検討してまいりたい。」と回答している。

そこで、平成十年度以降実施した洋上慰霊祭の実施年月日、慰霊祭参加者、実施場所、対象遺族及び慰霊祭執行予算額を明らかにされたい。

二、戦時遭難船舶遺族会が求めている国主催の洋上慰霊祭をいつ、いかなる規模と予算で実施するのか明らかにされたい。

三、私は、国が主催し実施する洋上慰霊祭は、各戦時遭難船舶ごとに沈没地洋上で実施すべきと考える。それが困難であれば、せめて湖南丸や開城丸が沈没した「沖縄-鹿児島間」海域とその他の沖縄関連戦時遭難船舶が沈没した中部太平洋海域での合同慰霊祭として実施すべきと考えるが、政府の対応を明らかにされたい。

四、私は、戦時遭難船舶犠牲者は、被害の特殊性等に照らし、国が戦争を遂行する過程で強いた「特別の犠牲」であり、その遺族等に対しては、国の責任において現行法令上、又は新規特別立法等の措置により、十分な補償がなされるべきものと考えている。ところが、政府は、答弁書の中で、「対馬丸遭難学童遺族特別支出金の支給は、沖縄戦が目前に迫った時期に政府の軍事政策に協力するという形で対馬丸による学童疎開が行われ、その途中で遭難したという特別の事情を考慮して、このような特別な状況下で死亡した対馬丸遭難学童の遺族に対し、国として弔意を表す措置として支給しているものであるが、御指摘の戦時遭難船舶犠牲者については、対馬丸遭難学童を除き、特別支出金を支給すべき特別の事情はないものと考えている。」と回答している。政府の右答弁は、とても納得できるものではない。

政府が掌握している沖縄関係戦時遭難船舶のうち、対馬丸を除く二十五隻の船舶について、船舶名、船舶会社名、航行目的、船の管理主体、護衛の有無、沈没原因、出港地、遭難年月日、遭難海域、乗船人員、船客死亡者数、生存者数、事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無を明らかにされたい。

五、戦時遭難船舶のうち第一千早丸及び第五千早丸は、政府の軍事政策に協力する形の疎開船であり、その他の戦時遭難船舶には、阪神方面の軍需工場へ赴く徴用工や女子挺身隊の犠牲者、召集令状を受けて自宅から出征しようと帰省の途上の犠牲者、定期客船に便乗した少年航空兵の犠牲者などの乗船が確認されている。まさに「政府の軍事政策に協力」した「特別の事情」による犠牲ではないか。これらの者が「政府の軍事政策に協力するという形で遭難したという特別の事情」に該当しない、すなわち国家補償の対象に該当しないとする理由を明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

お尋ねの平成十年度以降実施した洋上慰霊の実施年月日等は、次の表のとおりである。

図 表

二及び三について

国が主催する洋上慰霊については、関係遺族の要望等も踏まえながら、海域ごとに行う方式による実施を引き続き検討しているところである。

四について

関係省庁が保有する資料を調査するとともに、関係海運会社に対して照会を行った結果により承知している範囲内では、戦時遭難船舶遺族会の資料「沖縄関係戦時遭難船舶一覧表」に掲げられた船舶のうち対馬丸を除く二十五隻の遭難当時の所有者、管理主体等は、次のとおりである。

1 波上丸

所有者は大阪商船株式会社、管理主体は陸軍、出港地は香港、航行目的は軍務、遭難年月日は昭和十七年十月七日、遭難海域はラバウル南方海域、沈没原因は潜水艦による攻撃、船客死亡者数は二名である。

護衛の有無、乗船人員数、生存者数、事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

2 近江丸

所有者は日本郵船株式会社、管理主体は船舶運営会、出港地はクサイエ、航行目的は貨客の運送であり、護衛はなく、遭難年月日は昭和十七年十二月二十七日、遭難海域はポナペ周辺海域、沈没原因は潜水艦による攻撃、乗船人員数は百二十四名、船客死亡者数は百二十四名、生存者数は零名である。

事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

3 嘉義丸

所有者は大阪商船株式会社、管理主体は船舶運営会、遭難年月日は昭和十八年五月二十六日、遭難海域は奄美大島北方海域、沈没原因は潜水艦による攻撃である。

出港地、航行目的、護衛の有無、乗船人員数、船客死亡者数、生存者数、事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

4 湖南丸

所有者は大阪商船株式会社、管理主体は船舶運営会、遭難年月日は昭和十八年十二月二十一日、遭難海域は薩南諸島周辺海域、沈没原因は潜水艦による攻撃である。

出港地、航行目的、護衛の有無、乗船人員数、船客死亡者数、生存者数、事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

5 赤城丸

所有者は日本郵船株式会社、管理主体は海軍、出港地はトラック、航行目的は軍務であり、護衛はあり、遭難年月日は昭和十九年二月十七日、遭難海域はトラック諸島周辺海域、沈没原因は飛行機による攻撃、乗船人員数は八百六十一名、船客死亡者数は七百八十八名、生存者数は七十三名である。

事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

6 夕映丸

所有者は栗林商船株式会社、管理主体は陸軍、出港地は門司、航行目的は軍務、遭難年月日は昭和十九年二月十七日、遭難海域はトラック諸島周辺海域、沈没原因は飛行機による攻撃、乗船人員数は百八十三名、船客死亡者数は二名である。

護衛の有無、生存者数、事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

7 亜米利加丸

所有者は大阪商船株式会社、管理主体は海軍、出港地はサイパン、航行目的は軍務であり、護衛はあり、遭難年月日は昭和十九年三月六日、遭難海域は硫黄島南東方海域、沈没原因は潜水艦による攻撃、乗船人員数は六百四十二名、船客死亡者数は五百九十九名、生存者数は四十三名である。

事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

8 台中丸

所有者は大阪商船株式会社、管理主体は船舶運営会、遭難年月日は昭和十九年四月十二日、遭難海域は奄美大島北西方海域、沈没原因は潜水艦による攻撃である。

出港地、航行目的、護衛の有無、乗船人員数、船客死亡者数、生存者数、事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

9 美山丸

所有者は日本郵船株式会社、管理主体は海軍、出港地はパラオ、航行目的は軍務であり、護衛はあり、遭難年月日は昭和十九年五月十四日、遭難海域はパラオ北西方海域、沈没原因は潜水艦による攻撃、乗船人員数は千五十七名、船客死亡者数は八十五名、生存者数は九百七十二名である。

事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

10 ジョクジャ丸

所有者は南洋海運株式会社、管理主体は海軍、出港地はパラオ、航行目的は軍務であり、護衛はあり、遭難年月日は昭和十九年五月十五日、遭難海域はパラオ北西方海域、沈没原因は潜水艦による攻撃である。

乗船人員数、船客死亡者数、生存者数、事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

11 千代丸

所有者は栃木商事株式会社、管理主体は海軍、出港地はサイパン、航行目的は軍務であり、護衛はあり、遭難年月日は昭和十九年六月二日、遭難海域はマリアナ諸島周辺海域、沈没原因は潜水艦による攻撃である。

乗船人員数、船客死亡者数、生存者数、事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

12 白山丸

所有者は日本郵船株式会社、管理主体は海軍、出港地はサイパン、航行目的は軍務であり、護衛はあり、遭難年月日は昭和十九年六月四日、遭難海域は硫黄島南西方海域、沈没原因は潜水艦による攻撃、乗船人員数は六百四十五名、船客死亡者数は三百二十五名、生存者数は三百二十名である。

事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

13 神島丸

所有者は栗林商船株式会社、管理主体は海軍、出港地はサイパン、航行目的は軍務であり、護衛はあり、遭難年月日は昭和十九年六月十二日、遭難海域はサイパン島北北西方海域、沈没原因は飛行機による攻撃である。

乗船人員数、船客死亡者数、生存者数、事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

14 宮古丸

所有者は大阪商船株式会社、管理主体は船舶運営会、遭難年月日は昭和十九年八月五日、遭難海域は徳之島伊仙崎沖海域、沈没原因は潜水艦による攻撃である。

出港地、航行目的、護衛の有無、乗船人員数、船客死亡者数、生存者数、事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

15 広順丸

所有者は広海商事株式会社、管理主体は海軍、出港地はパラオ、航行目的は軍務であり、護衛はあり、遭難年月日は昭和十九年八月十三日、遭難海域はミンダナオ島周辺海域、沈没原因は潜水艦による攻撃、乗船人員数は九百六十二名、船客死亡者数は六百二十八名、生存者数は三百三十四名である。

事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

16 開城丸

所有者は大阪商船株式会社、管理主体は船舶運営会、遭難年月日は昭和二十年三月二十四日、遭難海域は東シナ海、沈没原因は飛行機による攻撃である。

出港地、航行目的、護衛の有無、乗船人員数、船客死亡者数、生存者数、事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

17 第一千早丸

遭難年月日は昭和二十年七月三日、遭難海域は尖閣諸島周辺海域である。

所有者、管理主体、出港地、航行目的、護衛の有無、沈没原因、乗船人員数、船客死亡者数、生存者数、事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

18 第五千早丸

遭難年月日は昭和二十年七月三日、遭難海域は尖閣諸島周辺海域である。

所有者、管理主体、出港地、航行目的、護衛の有無、沈没原因、乗船人員数、船客死亡者数、生存者数、事故報告書の有無及び死亡者名簿の有無については、把握していない。

19 朝日丸、広善丸、栄丸、千鳥丸、照国丸、八重丸及び横山丸

所有者、管理主体等は把握していない。

五について

戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号)は、国家補償の精神に基づき、国と雇用関係又は雇用類似の関係にあった軍人等が戦争公務等により障害の状態となり、又は死亡した場合に、これらの戦傷病者や戦没者遺族等に対し年金等を支給することを規定している。これに加えて、同法第二条第三項第二号は「もとの陸軍又は海軍の要請に基く戦闘参加者」を同法に基づく年金給付等(以下「年金給付等」という。)の対象としており、沖縄戦においては我が国で唯一民間人を巻き込んだ地上戦が行われ、その際、民間人が軍の要請により戦闘に参加したことから、これらの民間人が年金給付等の対象とされているところである。しかしながら、御指摘の戦時遭難船舶に乗船していた民間人については、このような事情がないことから、年金給付等の対象とはされていないものである。

なお、対馬丸遭難学童は、年金給付等の対象ではないが、沖縄戦が目前に迫った時期に、政府の軍事政策に協力するという形で学童疎開が行われ、その途中で米軍の攻撃により遭難したという特別の事情を考慮し、その遺族に対して対馬丸遭難学童遺族特別支出金を支給することとしているものである。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

承知していない ×19検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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