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北朝鮮によるミサイル実験及び核実験と日朝平壌宣言等との関係等に関する質問主意書
参議院 第165回 第9号趣旨が明らかではない ×1
質問本文
北朝鮮による本年七月五日のミサイル実験及び十月九日の核実験は、世界の平和と安定に対する重大な挑戦であり、断じてこれを看過することはできない。日本はこれまで二〇〇二年の日朝平壌宣言に基づき北朝鮮との関係を捉えてきたところであるが、過去二回の実験を踏まえて次のとおり質問する。
一 ミサイル実験について
ミサイル実験を受け、本年七月十五日、国際連合安全保障理事会は決議一六九五(以下「本決議」という。)を採択しているが、本決議の解釈について以下の質問をする。なお、答弁に際しては、解釈権の有無を理由に答弁を控えることなく、政府としての解釈をそれぞれ明らかにされたい。
1 本決議は、拘束力のある決議か。
2 本決議は、国連加盟国に拘束力ある形で国連憲章第七章に基づく強制的措置を採ることを求めたものか。
3 本決議採択の際、伊藤外務大臣政務官(当時)はそのスピーチにおいて、「・・・agreed on a set of binding measures that both the DPRK and Member States are obliged to comply・・・」と発言しており、国連加盟国すべてが遵守する義務を有する一連の拘束力ある措置に合意したと宣言している。この認識は今でも有効か。
4 本決議においては「要求する(require)」という単語が多用されているが、これは国連安保理決議において拘束力を持つ言葉として理解されるものか。
5 現時点において、本決議の規定をすべての国連加盟国が拘束力ある形で実施しているのか。遵守していない国があるとすれば、把握している限りにおいて明らかにされたい。
6 日本は本決議の提案国として、決議の理念及び規定を実現する推進力となるべきであると考えるが、日本はすべての国連加盟国が決議を遵守するようどのような働きかけを行ったのか。
7 ミサイル発射は日朝平壌宣言違反ではないのか。政府としては、同宣言中の「ミサイル発射のモラトリアム」をどのように解釈しているか。同宣言中の「ミサイル」には、七月に発射されたミサイルは含まれるという理解でよいか。
二 核実験について
十月九日北朝鮮が核実験を行ったことに関し、日朝平壌宣言との関係、周辺事態に関する認識等について、政府としての解釈をそれぞれ明らかにされたい。
1 日朝平壌宣言は条約であるのか。
2 核実験は日朝平壌宣言に違反したのか。
3 違反したとする場合、宣言のどの部分にどのような形で違反したのか。
4 仮に北朝鮮が日朝平壌宣言を遵守している部分があるとすれば、該当する部分はどこか。
5 2に対する答弁を踏まえ、日朝平壌宣言はすべてが無効となるのか。それとも、同宣言の一部又は全部が有効なのか。将来、仮に日朝国交正常化交渉が行われる場合、日朝平壌宣言は引き続き交渉の基盤になり得る余地があるか。
6 条約法に関するウィーン条約(以下「本条約」という。)第六十条1においては、「二国間の条約につきその一方の当事国による重大な違反があつた場合には、他方の当事国は、当該違反を条約の終了又は条約の全部若しくは一部の運用停止の根拠として援用することができる。」と規定されている。また、同条3においては、「この条の規定の適用上、重大な条約違反とは、次のものをいう。(a)条約の否定であつてこの条約により認められないもの、(b)条約の趣旨及び目的の実現に不可欠な規定についての違反」と規定されている。
(一) 仮に日朝平壌宣言が条約である場合、政府としては、現時点において本条約の規定にある重大な条約違反がないと判断しているのか。
(二) 仮に日朝平壌宣言が条約でない場合であっても、二国間の重要な文書として、本条約の規定が一定程度類推適用可能ではないかと考える。政府としては、現時点においては、日朝平壌宣言の否定、宣言の趣旨及び目的の実現に不可欠な規定についての違反は存在しないと判断しているのか。なお、日朝平壌宣言が条約であるかないかの事実のみを示すのではなく、同宣言が無効でないことについての政府の認識に踏み込んで明らかにされたい。
7 今回の核実験は「周辺事態」に該当するか。仮に該当しないとする場合、政府としては今回の核実験を「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」と考えていないということか。
8 今後の安保理における議論では、臨検(船舶検査活動)の可能性も検討することになるのではないかと思われる。現行法において、「周辺事態」以外のケースで、日本がその隣接した公海で臨検(船舶検査活動)を行うことは認められているのか。
右質問する。
政府答弁書
一の1及び2について
国際連合安全保障理事会決議第一六九五号(以下「本件決議」という。)は、国際連合憲章第七章への明示的な言及はないが、国際連合加盟国に対して、拘束力のある決議であると理解している。
一の3について
御指摘の発言に示された認識に変わりはない。
一の4について
本件決議文中の御指摘の語は、国際連合加盟国に対して、拘束力を有するものであると理解している。
一の5について
外務省としては、現在までに少なくとも米国、豪州及び韓国は、本件決議に基づく措置を講じている旨を対外的に説明しているものと承知している。他方、北朝鮮は、本件決議の採択直後にその受入れを拒否する旨を表明したことからも明らかなように、本件決議を遵守していないものと理解している。
一の6について
政府としては、本件決議を踏まえ、外交経路等を通じ、精力的に各国に働きかけを行っているところである。
一の7について
日朝平壌宣言に明記されたミサイル発射のモラトリアムについては、累次の国会答弁において述べてきているとおり、我が国の安全に直接かかわるミサイルの発射を対象とするものであり、七月五日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、同宣言に違反するものである。
二の1並びに6の(一)及び(二)について
日朝平壌宣言は、条約法に関するウィーン条約(昭和五十六年条約第十六号)第二条1(a)に規定する条約ではないが、日朝双方の首脳の議論の結果として日朝関係の今後の在り方を記したものであると認識している。外務省としては、北朝鮮による本年七月五日の弾道ミサイルの発射及び北朝鮮による核実験は、同宣言に違反するものであると認識しているが、同宣言において確認された事項が誠実に実施されることが重要であると考えており、北朝鮮に対し、引き続き、同宣言を遵守するよう求めてまいりたい。
二の2から4までについて
日朝平壌宣言においては、我が国及び北朝鮮は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認したこと、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認したこと、核問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認したこと等が明記されている。北朝鮮による核実験は、このような同宣言に違反するものであり、北朝鮮が同宣言を遵守しているものとは考えられない。
二の5について
外務省としては、日朝平壌宣言において確認された事項が誠実に実施されることが重要であると考えており、北朝鮮に対し、引き続き、日朝双方の首脳の議論の結果として日朝関係の今後の在り方を記した同宣言を遵守するよう求めてまいりたい。
二の7について
ある事態が、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(平成十一年法律第六十号)第一条に規定する周辺事態に該当するか否かについては、その時点の状況を総合的に勘案して判断すべきものである。先般の北朝鮮による核実験実施の発表を踏まえて、政府として今後いかなる対応をとるかについては、あらゆる観点から検討していきたいと考えている。
二の8について
御指摘の「臨検(船舶検査活動)」がどのようなものを意味するか必ずしも明らかではないが、少なくとも、周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律(平成十二年法律第百四十五号)第二条に規定する船舶検査活動は、周辺事態に際し、実施されるものであり、周辺事態以外の場合において実施されることはない。
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