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自動車通勤者等に対する通勤手当の所得税の非課税限度額に関する質問主意書
参議院 第169回 第151号
質問本文
通勤手当は、通勤に要する費用に充てるために雇用主から被用者に支給されるものであり、まさに、勤務に伴う実費弁償的な性質を有している。そのような判断の下、昭和四十一年の所得税法改正によって非課税所得の位置付けが法制化され、昭和四十二年一月の制度開始以降、今日に至っている。
この非課税とされる通勤手当については、交通機関利用者と自動車・自転車通勤者の二類型に区分され、それぞれに対する限度額が定められ、数次の引き上げが図られてきたところである。
このうち、交通機関利用者に対する非課税限度額については、新幹線通勤の場合を考慮して、平成十年一月から十万円に引き上げられるなど、社会状況の変化に対応した改定が図られてきている。
一方、自動車・自転車通勤者に対する非課税限度額については、この約二十年間、抜本的・本格的な引き上げがなされないままに放置され、特に、昨今の原油高騰を背景としたガソリン価格の著しい上昇が、自動車通勤者の通勤費用の増加を通じて、国民生活に大きな負担を与えているにもかかわらず、据え置かれたままである。
同じ非課税所得として位置付けられた通勤手当の中にありながら、両者の近年の扱われ方の差異については著しく権衡を欠いていると言わざるを得ず、その早急な是正、すなわち自動車・自転車通勤者の通勤手当の非課税限度額の引き上げが緊要となっている。
かかる見地から、以下質問する。
一 自動車・自転車通勤者の通勤手当の非課税限度額については、制度開始以降、いかなる基準に基づいて設定され、また、改定が図られてきたのか、政府の見解を示されたい。
二 自動車・自転車通勤者の通勤手当の非課税限度額を通勤距離に応じて決めている理由は何か、その点についての政府の見解を示されたい。
三 雇用主が、自動車通勤者に対して、ガソリン代として、通勤距離(あるいは、これに代わる運賃相当額)によって設定された非課税限度額を超えて通勤手当を支給する場合に、当該非課税限度額を超える部分の金額が、例え実費相当額であり、月額十万円未満の額であったとしても、給与として課税され、非課税扱いとはならないこととしているのは何故か。また、こうした現行制度における扱いは、法定当初の「勤務に伴う実費弁償は非課税」という基本原則に反するものではないかと考えるが、この点についての政府の見解を示されたい。
四 自動車通勤者の通勤手当の非課税について、通勤距離により一律に定める定額や運賃相当額をもって限度額を定める現在の考え方を改め、「勤務に伴う実費弁償は非課税」という基本原則に、より適合的な考え方を検討する必要があると思われるが、この点についての政府の見解を示されたい。
五 交通機関利用者の非課税限度額は、平成十年に五万円から十万円に引き上げられたものの、自動車・自転車通勤者の通勤距離により設定された非課税限度額はほとんど引き上げられないままに推移する中で、ガソリン価格が平成十年一月の一リットル九十八円から現在の一リットル百七十円以上へと著しく高騰している状況の下においては、自動車通勤者の非課税限度額が大幅に引き上げられてしかるべきものと考えるが、この点についての政府の見解を示されたい。
六 五月二十二日の財政金融委員会における自動車通勤者の通勤手当に対する非課税限度額の引き上げを求める質問に対して、額賀財務大臣は、「ガソリン価格の上昇に伴って最近の民間の通勤手当の支給額が増えているのかどうか、現行の通勤手当の非課税限度額でカバーされない者がどの程度いるのか、それらをよく見ながら総合的な観点で検討すべきである」「実態をよく踏まえて考えさせていただきたい」と答弁したが、その実態調査と検討は既に行われているのか。行われているのであれば、その内容を示されたい。また、未だ実態調査と検討が行われていないのであれば、いつ開始し、いつ頃までに結論を得て対処する予定なのか、政府の今後の方針を明示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一から三までについて
給与所得者がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当については、通勤手当が通勤費用の実費弁償的な性格を有することにかんがみ、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第九条第一項第五号の規定により、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分について、所得税は非課税とされている。
自転車その他交通用具を使用することを常例とする者(以下「自転車等通勤者」という。)が受給する通勤手当については、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分か否かについての客観的な基準として、所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)において通勤距離に応じた基準を定めているところである。
具体的には、所得税法施行令第二十条の二第二号において、基本的には、民間の通勤手当の支給状況等を勘案した人事院勧告に基づいて決定される国家公務員の通勤手当の支給限度額が通勤距離に応じて定められていることを踏まえ、これを参考にして非課税となる通勤手当の基準を定めている。さらに、一定の自転車等通勤者については、支給された通勤手当の金額のうち、通勤のため交通機関を利用したならば負担することとなるべき運賃又は料金で、その者の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法によるものの額に相当する金額(一月当たりの金額が十万円を超えるときは、一月当たり十万円)までの金額は非課税とされている。
この基準については、国家公務員の給与改定の動向等を踏まえ、必要に応じてその引上げが図られてきているところである。
なお、給与所得者が支出する通勤費用については、所得税法第五十七条の二第二項第一号の規定により、特定支出控除の対象とされており、実額で給与収入から控除することも可能とされている。
四について
一から三までについてで述べたとおり、現行制度の考え方は、非課税となる通勤手当の範囲を客観的に画する基準として合理的なものであると考えている。
五及び六について
人事院においては、人事院勧告に向け、自転車等通勤者に係る民間の通勤手当を含め民間給与の支給実態に関する調査を行っているところであり、御指摘の点については、こうした調査の結果等を含め、国家公務員の給与改定の動向等を踏まえて検討すべき事柄と考えている。
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