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イラクにおける航空自衛隊派遣部隊の活動及びその地位等に関する質問主意書

参議院 第169回 第179号お答えすることは困難 ×4承知していない ×1

提出者
参議院
提出日
2008年6月19日
内閣転送 2008年6月20日
答弁書受領日
2008年6月24日
提出から5日
答弁の項目数
10
質問 2,963字/答弁 1,918字

質問本文

米ブッシュ政権が戦争の大義を偽って開始したイラク戦争の開戦から五年以上が経過したが、この間イラクでは、駐留米軍及び有志連合軍が事実上の占領支配を敷き、「テロとのたたかい」の名のもとに多数の無辜のイラク国民の生命を奪い、その生活に甚大な被害をもたらした掃討作戦をはじめとする軍事作戦をイラク全土で繰り広げてきた。わが国も航空自衛隊部隊(以下「空自部隊」という。)を派遣しイラク駐留米軍(以下「米軍」という。)への輸送協力をおこない、これに加担している。こうした外国軍隊による占領支配は内外で激しい反発を呼び、わが国でも先般、名古屋高裁がこうした作戦による被害の実態を認定したうえで、空自部隊の派遣を違憲とする司法判断を下した。それにもかかわらず、日本政府が空自部隊の派遣を継続し米軍への空輸支援を続け、さらにその実態を国民に隠し続けていることは、憲法九条の平和原則を真っ向から無視する態度であり、言語道断であると言うほかない。

イラクでの外国軍隊の駐留は、国連安全保障理事会決議一七九〇号(以下「安保理決議一七九〇号」という。)による委任の失効を前に、新たな状況を迎えている。米国政府はすでに米軍及び有志連合軍による来年一月以降の駐留・活動の継続の必要性を公に言明し、そのために二国間の取り決めを結ぶべくイラク政府との交渉にのりだしたものの、マリキ首相自身が「米側の要求が…イラクに対する著しい主権侵害であることを確認した」と述べ、国内でも占領の永続化につながるとして激しい反発が広がっていることが報じられるなど、米国政府の駐留継続をめざした動きは早くもゆきづまりを見せている。

こうした状況のなか、空自部隊を派遣し米軍に協力する作戦を実施している日本政府の対応も問われている。

そこで、以下、具体的に質問する。

一 空自部隊による米軍への輸送支援及びイラク駐留多国籍軍の状況について

1 空自部隊はイラク特措法にもとづき多国籍軍の兵士及び物資を空輸する活動をおこなってきたと承知しているが、活動開始から現在までの輸送実績について、輸送回数、輸送した兵士の数、物資の総量を明らかにされたい。

2 多国籍軍に対する兵士・物資の輸送協力実績のうち、米兵及び米軍物資が占める割合をそれぞれ明らかにされたい。

3 国連に対しても人員及び物資を空輸する活動をおこなってきたと承知しているが、活動開始から現在までの輸送実績について、輸送回数、輸送した人員の数、物資の総量を明らかにされたい。

4 輸送協力において、米軍が契約した民間警備会社の傭兵の輸送をおこなったことはあるか。また、イラク特措法上それは可能であるか、見解を示されたい。

5 イラク駐留多国籍軍の現在の構成について、軍隊を派遣している国の国名、各国部隊ごとの兵力数を明らかにされたい。

6 多国籍軍に参加し、現在までに撤退した国及び今後における撤退又は兵力削減の計画を表明した国の国名を明らかにされたい。

二 空自部隊の現在の地位、特権免除、及び安保理決議一七九〇号との関係について

1 イラク特措法にもとづき実施している航空自衛隊の空輸活動に関し、イラク政府が日本政府に対し当該活動の実施、及びそのための領域・空域の使用について、同意を与えていることを確認できる文書は何か。具体的に示されたい。

2 安保理決議一七九〇号はイラクにおける多国籍軍の活動の委任に言及し、その期限を二〇〇八年十二月三十一日と定めていると解されるところ、現在イラク特措法に基づき米軍への輸送協力をおこなっている空自部隊は、この決議により活動の委任を受けているか。また、この決議でいう「多国籍軍」の一員であるか。

3 二〇〇四年一月二十一日衆議院本会議での小泉総理大臣(当時)の答弁によれば、イラクに派遣される自衛隊部隊は連合暫定当局施政当局命令十七号(以下「CPA命令十七号」という。)のもと、日本の排他的管轄権に服し、イラクにおいて裁判権免除等の特権免除を享受するとされる。CPA命令十七号にもとづく空自部隊に対する特権免除は、現在も有効であるか。

4 この特権免除は、多国籍軍に対して適用されるものと解されるところ、空自部隊を含む外国軍隊は、安保理決議一七九〇号による委任が失効した場合であっても、その適用の延長についてイラク政府と新たな合意をすることなく、この特権免除を継続的に享受できるか。

三 安保理決議の委任の必要性及び来年以降における活動継続の必要性の認識について

1 イラク政府の要請にもとづき安保理が決定した委任の期限は本年末までである。空自部隊は安保理の委任が失効したもとであっても、米軍への空輸支援活動を継続することは可能であるか。決議による委任が失効すれば、日本政府はこれに代わって、イラク政府より空自部隊による同国内における活動、領域の使用、駐留について新たな同意を得る必要が生じるのか。見解を示されたい。

なお、本質問は、政府が現に実施してきている空自の活動にとって、安保理による委任の存在が不可欠であるかについて政策上の見解を問うものであって、安保理による委任の延長の可能性について見解を問うものでないことに十分留意され、明確に答弁されたい。

2 二〇〇八年四月十日の米上院外交委員会公聴会における米国政府高官の証言によれば、米国政府の認識として、安保理決議が失効した以降もイラクにおける米軍の活動が引き続き必要であり、強力な有志連合軍を駐留させることに強い関心をもっていると言明しているが、日本政府は、来年一月以降も空自の対米軍空輸支援を継続する必要があると考えているか。また、その理由についても明らかにされたい。

3 現在までに米国政府より、空自部隊による米軍への空輸支援の来年以降における継続を求める要望が伝えられているか。また、今後、派遣継続の必要性を判断するにあたっては、空輸支援先であるところの米軍の活動状況と米国政府の要望も判断の要素に含めるか。

4 前記議会証言によれば、米国政府は安保理決議の委任失効後におけるイラク駐留米軍の活動のために、イラク政府との二国間地位協定及び戦略枠組みの取り決めを結ぶための交渉に入っている。日本政府は、来年一月以降空自の活動を継続するために、イラクとの二国間において空自部隊の地位に関する取り決めを検討する必要があると考えるか。また、その取り決めについて、国会承認を得る必要があると考えるか。それぞれ理由についても明らかにされたい。

5 国会審議における累次の政府答弁によれば、空自部隊がイラク特措法にもとづき輸送支援をおこなう支援先であるところの米軍部隊は、安保理決議にもとづき活動する米軍部隊であると解される。イラク特措法は、安保理の委任によらず、米国政府とイラク政府との二国間の取り決めにもとづき駐留し活動する米軍部隊であっても空輸支援の対象とすることを認めているか。

なお、本質問はイラク特措法にもとづく空輸支援の対象となりうる外国軍隊の地位について問うものであり、安保理決議による委任の延長及び米・イラク間の協定締結の可能性について見解を問うものでないことに十分留意され、明確に答弁されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の1から3までについて

イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「イラク特措法」という。)に基づく対応措置の実施に係る航空自衛隊の部隊の活動内容については、国民の理解と協力を得る観点から、できる限り公表したいと考えているが、運航を実施している自衛隊員はもとより、輸送対象となる関係各国、関係機関等の人員の安全確保に十分配慮することが必要であること等から、空輸実績の詳細な内容については公表しないこととし、定期的に、輸送回数、輸送物資等を大別した内容、輸送物資の累積重量をまとめて示しているところである。その上で申し上げれば、航空自衛隊は、派遣当初から平成二十年六月十八日までの間に、合計七百二十三回運航し、約五百九十七・七トンの物資の輸送を行った。このうち、国際連合(以下「国連」という。)への支援の実績については、平成十八年九月の国連に対する支援開始から平成二十年三月末までの間に、合計七十八回運航し、延べ二千二百九十九名の人員及び約四十一・〇トンの物資の輸送を行った。

一の4について

御指摘の「米軍が契約した民間警備会社の傭兵」が何を指すのか明らかではないが、イラク特措法上、我が国が航空機による輸送を実施することができるのは、イラク特措法第三条第一項に規定する人道復興支援活動又は安全確保支援活動として同条第二項又は第三項に定める業務を行う場合である。

一の5について

現在、例えば、アメリカ合衆国、英国、オーストラリア、大韓民国、ポーランド等が、部隊を派遣していると承知しているが、各国部隊ごとの兵力については、確たるところを承知していない。

一の6について

現在までに、例えば、スペイン、オランダ、イタリア等が部隊を撤収させたと承知しているが、現時点において「今後における撤退又は兵力削減の計画を表明した国」については、改めて調査を要するため、お答えすることは困難である。

二の1から3までについて

イラク特措法に基づき活動する航空自衛隊は、国連安全保障理事会(以下「国連安保理」という。)決議第千五百四十六号等に規定される多国籍軍の中でイラクにおける活動を行っているものである。多国籍軍のイラクでの活動については、国連安保理決議第千七百九十号において言及されている二千七年十二月七日付けイラク首相発国連安保理議長あて書簡において、多国籍軍の駐留の維持が要請されていることをもって、イラク政府の同意が得られているものと認識している。また、イラクに派遣された自衛隊員は、連合暫定施政当局命令第十七号の規定により、「多国籍軍の要員」として、その法的地位が確保されているものである。

二の4について

将来における仮定の事実を前提としたお尋ねであり、お答えすることは困難である。

三の1及び5について

将来における仮定の事実を前提としたお尋ねであり、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、イラク特措法上、我が国が航空機による輸送を実施することができるのは、イラク特措法第三条第一項に規定する人道復興支援活動又は安全確保支援活動として同条第二項又は第三項に定める業務を行う場合である。

三の2について

政府は、本年六月十三日にイラク特措法に基づく対応措置に関する基本計画に定める自衛隊の部隊等の派遣期間を延長したところであるが、政府としては、今後のイラクにおける航空自衛隊の部隊の活動については、イラク政府による有効な統治の確立に向けた政治状況の進展、現地の治安に係る状況、国連及び多国籍軍の活動状況及び構成の変化など諸事情を、政府としてよく見極めつつ、イラクの復興の進展状況等を勘案して、適切に対応してまいりたい。

三の3について

外交上の個別のやり取りの詳細について明らかにすることは、相手国との関係もあり、差し控えたい。いずれにせよ、今後のイラクにおける航空自衛隊の部隊の活動については、イラク政府による有効な統治の確立に向けた政治状況の進展、現地の治安に係る状況、国連及び多国籍軍の活動状況及び構成の変化など諸事情を、政府としてよく見極めつつ、イラクの復興の進展状況等を勘案して、適切に対応してまいりたい。

三の4について

多国籍軍の権限は、国連安保理決議第千七百九十号により本年十二月三十一日まで延長されたが、それ以降の多国籍軍の活動の在り方やその権限の延長に関する国連安保理決議の扱いについては、今後のイラク政府と国連安保理理事国及び多国籍軍関係国との間の議論等を踏まえて決定されるものであり、現時点で、お尋ねについてお答えすることは困難である。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×4承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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