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イラクにおける自衛隊の活動に関する質問主意書
衆議院 第166回 第172号趣旨が明らかではない ×5
質問本文
平成十九年三月三十日、政府はイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(イラク特措法)の効力を二年間延長する改正案を閣議決定した。イラク特措法は、航空自衛隊がイラクで活動を行うにあたっての根拠法であるが、すでに終了した陸上自衛隊を含め、その活動の実態について政府はこれまで説明責任を果たしてこなかった。
従って、次の事項について質問する。
一 航空自衛隊の活動について
1 航空自衛隊の対応措置、即ち人道復興支援及び安全確保支援活動各々に係る所要経費の実績及び科目別内訳を明らかにされたい。また、平成十九年度予算についても同様に明らかにされたい。
2 防衛省資料(平成十九年二月二十一日、衆議院イラク特別委員会へ提出)によると、「航空自衛隊の部隊については、クウェートのアリ・アルサレム飛行場を拠点とし、イラク国内のアリ(タリル)飛行場、バグダッド飛行場、エルビル飛行場に対し、C−一三〇H機による物資・人員の輸送を継続」とある。また、航空自衛隊ホームページには、平成十六年三月三日から平成十九年四月五日までのイラク復興支援派遣輸送航空隊による輸送活動実績は、輸送回数が四百九十回、輸送物資重量が五百二十二・三八四トンとある。航空自衛隊がこれまでに輸送した物資・人員、運航経路等の活動内容の詳細を明らかにされたい。
3 防衛省資料(同右)によると、「昨年九月の国連支援開始以降の航空自衛隊の輸送実績は月あたり十七〜二十回程度であり、このうち四〜五便が国連支援」とあるが、この国連支援、即ち国連の物資・人員の輸送業務は人道復興支援活動と安全確保支援活動のいずれに該当するものか。
4 国連支援以外の輸送業務は多国籍軍支援、即ち多国籍軍の物資・人員の輸送であると考えられるが、間違いないか。また、これは人道復興支援活動と安全確保支援活動のいずれに該当するものか。安全確保支援活動に該当する場合、それは多国籍軍の軍事的活動に対する後方支援と考えてよいか。
5 航空自衛隊の活動は、いかなる目標・目的が達成されれば、あるいは、いかなる状況・状態となれば終了するのか。その出口戦略、イラクからの撤退条件を明らかにされたい。
二 陸上自衛隊の活動について
1 陸上自衛隊の活動はすでに終了したが、その対応措置、即ち人道復興支援及び安全確保支援活動各々に係る所要経費の実績及び科目別内訳を明らかにされたい。
2 陸上自衛隊の人道復興支援活動について、その活動内容の詳細を明らかにされたい。また、活動にあたって、いかなる費用対効果の算定を行ったのか。算定を行っていない場合、その理由は何か。
3 陸上自衛隊は安全確保支援活動を行ったのか。行った場合、その活動内容の詳細を明らかにされたい。また、それは多国籍軍の軍事的活動に対する後方支援と考えてよいか。
三 自衛隊の活動全般について
1 イラク特措法第三条は、対応措置として人道復興支援活動及び安全確保支援活動を規定しているが、両者に該当しない自衛隊の活動はあったか。
2 平成十八年八月二日の衆議院外務委員会において、井上源三政府参考人は、「多国籍軍の活動に対する支援は、当該支援の対象でございます活動の内容いかんによって、安全確保支援活動にも人道復興支援活動にも当たり得るというふうに考えている」と答弁している。この答弁によると、多国籍軍に対する支援が人道復興支援活動と安全確保支援活動のいずれに該当するか判断するためには、多国籍軍の活動内容を知り得なければならないことになる。誰が、いかにして多国籍軍の活動内容を確認しているか明らかにされたい。
3 イラクにおける自衛隊の活動について、イラク政府、多国籍軍又は国連と我が国との間で合意書又は協定は存在するか。
4 自衛隊のイラク派遣について、いかなる基準・方法で事前・事後の評価を実施し、どのような評価結果となったか明らかにされたい。評価を実施していない場合、その理由及び今後評価を実施する予定があるか否かを明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「法」という。)に基づく対応措置の実施に係る航空自衛隊の所要経費について、現段階で集計が終了している平成十八年十二月三十一日までの実績は、約百三十三億円であり、その内訳は、(組織)防衛本庁の(項)防衛本庁として約五十五億円、(項)武器車両等購入費として約十六億円、(項)装備品等整備諸費として約六十三億円である。
また、法に基づく対応措置の実施に係る航空自衛隊の所要経費について、平成十九年度予算におけるその内訳は、(組織)防衛本省の(項)防衛本省として約八億円、(項)武器車両等購入費として約三千万円、(項)装備品等整備諸費として約七億円である。
なお、人道復興支援活動及び安全確保支援活動それぞれに係る所要経費については、分離して算出することはできない。
一の2について
航空自衛隊の部隊は、クウェートのアリ・アルサレム飛行場を拠点とし、イラク国内のアリ(タリル)飛行場、バグダッド飛行場、エルビル飛行場に対し、C−一三〇H型機による輸送を行ってきた。現在、輸送回数はおおむね週四、五回程度であり、このうち、バグダッドへの運航(平成十八年七月三十一日開始)がおおむね週一回程度、バグダッド経由のエルビルへの運航(同年九月六日開始)がおおむね週一回程度となっており、その余はアリ(タリル)飛行場への運航である。なお、同年九月の国際連合(以下「国連」という。)に対する支援開始以降、おおむね月四、五回程度が国連支援のための運航である。
また、派遣当初から平成十九年四月五日までの間に総計四百九十回運航し、約五百二十二・四トンの物資の輸送を行った。輸送の内容は、我が国からの人道復興関連の物資、陸上自衛隊の人員・生活物資その他の補給物資、関係各国・関係機関等の物資・人員、国連支援活動関連の物資・人員である。なお、このうち、平成十八年七月十七日に陸上自衛隊派遣部隊のサマーワからの撤収以降は、運航回数が百四十五回、輸送した物資の量が約四十六・五トンとなっている。
航空自衛隊の部隊の活動内容については、国民の理解と協力を得る観点から、できる限り公表したいと考えているが、運航を実施している自衛隊員はもとより、輸送対象となる関係各国、関係機関等の人員の安全確保に十分配慮することが必要であること等から、空輸実績の詳細な内容については公表しないこととし、定期的に、輸送回数、輸送物資等を大別した内容、輸送物資の累積重量をまとめて示しているところである。
一の3について
我が国が実施している国連の物資及び人員の輸送は、法が規定する人道復興支援活動に該当する。
一の4について
航空自衛隊は、国連及び多国籍軍の物資及び人員の輸送を実施しているが、その他、法に基づき、我が国の人道復興関連物資等の輸送も実施している。
多国籍軍が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するために我が国が実施する輸送は、法が規定する安全確保支援活動に該当する。一方、多国籍軍の権限にはイラクの復興を支援する活動も含まれており、多国籍軍が実施しているかかる活動を支援するために我が国が実施する輸送は、法が規定する人道復興支援活動に該当する。
なお、御指摘の「後方支援」の意味が必ずしも明らかではないが、安全確保支援活動は、法第三条第一項第二号に規定されているとおり、イラクの国内における安全及び安定を回復するために貢献することを国連加盟国に対して要請する国連安全保障理事会決議(以下「安保理決議」という。)第千四百八十三号又はこれに関連する政令で定める国連の総会若しくは安全保障理事会の決議に基づき、国連加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するために我が国が実施する措置である。
一の5について
法に基づき派遣されている航空自衛隊の部隊等の活動については、イラク政府による有効な統治の確立に向けた政治状況の進展、現地の治安に係る状況、国連及び多国籍軍の活動状況及び構成の変化等の諸事情を、政府としてよく見極めつつ、イラクの復興の進展状況等を勘案して、適切に対応してまいりたい。
二の1について
法に基づく対応措置の実施に係る陸上自衛隊の所要経費について、現段階で集計が終了している平成十八年十二月三十一日までの実績は、約七百二十一億円であり、その内訳は、(組織)防衛本庁の(項)防衛本庁として約四百八十二億円、(項)武器車両等購入費として約九十三億円、(項)装備品等整備諸費として約百四十七億円である。
なお、人道復興支援活動及び安全確保支援活動それぞれに係る所要経費については、分離して算出することはできない。
二の2について
陸上自衛隊が人道復興支援活動として実施した主な活動は、次のとおりである。
1 医療に係る活動については、ムサンナー県内四か所の病院の医師等に対する診療・治療技術の助言・指導、サマーワ救急車センター要員に対する搬送技術指導、県医薬品倉庫及び県保健局に対する医療技術指導等を合計二百七十七回実施した。
2 給水に係る活動については、平成十六年三月二十六日から平成十七年二月四日までの間、合計約五万三千五百トン、延べ千百八十九万人分の水を供給した。
3 公共施設の復旧・整備に係る活動としては、ムサンナー県内の三十六校の学校の整備、三十一か所・合計約八十キロメートルの生活道路の整備のほか、ウルク遺跡、オリンピック・スタジアム、ルメイサ浄水場、ワルカ浄水場、低所得者用住居等六十六か所の補修を実施し、延べ約四十九万人、一日最大約千百人程度の現地雇用を創出した。
お尋ねの「費用対効果の算定」の意味が必ずしも明らかではないが、陸上自衛隊派遣当時、自己完結能力があり自ら身を守ることができる自衛隊以外に、現地において安全に活動を実施し得る主体はなかったと認識しており、このような現地の治安情勢等を踏まえれば、陸上自衛隊の活動は、十分な効果を挙げ、イラクの復興に大きく貢献したものと考えている。
二の3について
陸上自衛隊は、安全確保支援活動として、平成十六年五月十六日から同年六月十日までの間及び同年六月二十五日から同年七月一日までの間、陸上自衛隊サマーワ宿営地において、オランダ軍に対し、合計約千百七十トンの水の補給を実施し、また、平成十七年五月五日、負傷した韓国軍兵士に対し、クウェートのアリ・アルサレム基地からクウェート国際空港までの間の輸送を実施した。
なお、御指摘の「後方支援」の意味が必ずしも明らかではないが、安全確保支援活動は、法第三条第一項第二号に規定されているとおり、イラクの国内における安全及び安定を回復するために貢献することを国連加盟国に対して要請する安保理決議第千四百八十三号又はこれに関連する政令で定める国連の総会若しくは安全保障理事会の決議に基づき、国連加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するために我が国が実施する措置である。
三の1について
御指摘のような活動はない。
三の2について
多国籍軍の活動は、安保理決議第千七百二十三号を始めとする安保理決議に基づきイラクの安全及び安定の回復や人道復興支援に係る活動を実施するものであり、これら安保理決議に基づく活動を行う多国籍軍の要員等の輸送等は、政府として、法に規定する人道復興支援活動又は安全確保支援活動のいずれかに該当するとの認識の下、これを行っている。
三の3について
お尋ねの「合意書又は協定」等の意味が必ずしも明らかではないが、国連との間では、政府は、自衛隊による国連イラク支援ミッションを支援するための空輸に関する交換公文を締結している。
三の4について
御指摘の「評価」がどのようなものを想定しているのか必ずしも明らかではないが、政府は、自衛隊のイラク派遣に当たっては、政府調査チームの派遣結果や、累次イラクを訪問した内閣総理大臣補佐官の調査結果を含む諸情報を総合的に分析した結果、ムサンナー県を中心としたイラク南東部等で、自衛隊の部隊等が法に基づく対応措置を実施することが可能であり、かつ適当であると判断した。
また、法第四条の基本計画に定める対応措置が終了したときは、政府は、法第五条第二号に基づき、その結果を国会に報告することとしている。
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