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航空自衛隊のイラク派遣に関する質問主意書

参議院 第170回 第136号

提出者
参議院
提出日
2008年12月18日
内閣転送 2008年12月22日
答弁書受領日
2008年12月26日
提出から8日
答弁の項目数
6
質問 1,017字/答弁 1,587字

質問本文

本年十二月十二日、航空自衛隊がイラクでの活動を終え、五年間に及んだ自衛隊のイラク派遣が終了した。しかし、この五年間に及ぶ自衛隊派遣の実態は経緯も含め不透明な点が多い。また、この活動が名古屋高裁から「違憲」とされたように、今後の自衛隊の海外活動に関しては、憲法解釈を含めて議論するべき点が多々あると考える。よって以下質問する。

一 この五年間のイラクでの航空自衛隊の活動にかかった総支出額を内訳とともに明らかにされたい。

二 その総支出額のうち、特に燃料費はいくらになるか。また燃料をどのように調達していたのか明らかにされたい。

三 イラク復興支援特別措置法では、派遣地域を「非戦闘地域」と定めている。しかし、バクダット空港は米軍が厳重に警備し、空自の輸送機は、地対空ミサイルの発射煙がないか、警戒しながら離着陸を行い、ある空自幹部は「これが戦場かと体感した」と述べている。このことからも自衛隊が派遣された地域は「非戦闘地域」という論理は成り立たない。政府の見解を問う。

四 本年四月、名古屋高裁はバクダットを「戦闘地域」と断定したが、政府はこの判決をどう受け止めているか。見解を明らかにされたい。

五 イラク復興支援特別措置法では、武器・弾薬の輸送は、防衛大臣が定める実施要項で禁止されている。しかし、航空自衛隊の空輸対象には、武装した米兵も含まれていた。武器・弾薬を保持した米兵を輸送することは、禁止事項に該当するのではないか。武装した米兵を空輸対象とした理由とともに、禁止事項への該否について見解を問う。

六 名古屋高裁判決では、武装した米兵の空輸は、武力行使と一体化しており「違憲」と判断されたが、政府はこの判決をどう受け止めているか。見解を明らかにされたい。

七 米兵を輸送した空自機は、米軍から見下されているかのように「タクシー」と呼ばれ、「米軍にいいように使われ、コマにすぎなかった」と指摘されている。空自の輸送活動は、政府が誇らしげに主張する「国際貢献」に値する活動だったのかどうか、見解を問う。

八 ブッシュ米大統領は、イラク開戦の根拠とした大量破壊兵器が見つからなかったことを認め「最大の痛恨事」と言及した。政府は、この米大統領発言を受けて、イラク開戦を支持したことについて、反省する気持ちを有権者国民に表明すべきではないか。これについての見解を政府がイラク開戦を支持した理由とともに明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一及び二について

平成十五年度から平成二十年度までの間に行われたイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「イラク特措法」という。)に基づく対応措置(以下単に「対応措置」という。)の実施に係る航空自衛隊の所要経費については、平成二十年度予算から予算項目の組替えを行っているが、比較のため平成十九年度以前についても平成二十年度基準で整理を行ったところ、現段階で整理、集計が終了している平成二十年六月三十日までの実績は、約二百億円である。その内訳は、(組織)防衛本省の(項)防衛本省共通費として約六十八億円、(項)自衛官給与費として約十九億円、(項)武器車両等整備費として約八十三億円、(項)航空機整備費として約二十九億円、(項)人材確保育成費として約二億円である。うち、航空自衛隊がイラク特措法に基づき実施してきた輸送活動に要した燃料費は、約四億円である。

また、当該燃料の調達方法については、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(平成八年条約第四号)等に基づいて調達を行ってきたところである。

三について

政府としては、自衛隊が対応措置を実施してきた区域については、これまでに我が国が独自に収集した情報、諸外国等から得た情報等を総合的に判断し、現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に該当すると考えている。

四及び六について

御指摘の平成二十年四月十七日の名古屋高等裁判所の判決は、控訴人らから被控訴人である国に対する自衛隊のイラク派遣等の違憲確認請求及び差止請求について不適法なものであるとして却下し、損害賠償請求について棄却した第一審判決に対する控訴を棄却する旨の国側勝訴の判決であり、本件判決のうち、首都バグダッドが戦闘地域に該当し、航空自衛隊のイラクでの空輸活動は憲法に違反する活動を含んでいる旨を述べた部分は、判決の結論を導くのに必要のない傍論にすぎず、政府としてこれに従う、従わないという問題は生じないと考える。

政府としては、航空自衛隊のイラクでの活動は、憲法の範囲内でイラク特措法に基づき適法に行われてきたと認識している。

五について

対応措置として実施される業務としての役務の提供について定める実施要項において、航空自衛隊は、武器(弾薬を含む。)の輸送を行わないこととしているところであるが、これは、輸送対象となる人員が通常携行する武器までをも輸送対象から排除する趣旨ではない。

七について

航空自衛隊が行った対応措置は、国家の速やかな再建を図るためにイラクにおいて行われている国民生活の安定と向上、イラク政府による有効な統治の確立等に向けたイラク国民による自主的な努力を支援し、及び促進しようとする国際社会の取組に我が国が主体的かつ積極的に寄与し、イラクの国家の再建を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的として行ったものであり、これは、我が国にふさわしい貢献であったと考えている。

八について

御指摘のブッシュ米国大統領の発言は、イラクの大量破壊兵器に関する米国政府自らの情報が結果として誤っていたことについてであったと承知しており、我が国政府についてはそのような事情が無く、また、我が国の米国等によるイラクに対する武力の行使への支持は、飽くまで累次の関連する国際連合安全保障理事会の決議及び国際連合監視検証査察委員会等の査察報告等に基づいて自主的に判断したものであり、その判断は正しかったと考える。

参議院の原文

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