ことばで探す › 参議院 第169回
政府管掌健康保険に対する国庫補助額の特例等に関する質問主意書
参議院 第169回 第181号お答えすることは困難 ×2
質問本文
政府は、第百六十九回国会において、「平成二十年度における政府等が管掌する健康保険の事業に係る国庫補助額の特例及び健康保険組合等による支援の特例措置等に関する法律案」を提出し、平成二十年度において、政府(平成二十年十月一日以後は全国健康保険協会)が管掌する健康保険(以下「政管健保」という。)の事業執行費に対する法定の国庫補助額の削減を図るとともに、一定の要件を満たす健康保険組合、並びに国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団のいわゆる三共済団体から強制的に納付させる「支援金」を原資として、当該国庫補助削減分を「穴埋め」する仕組み等を作ろうとしている。
この特例措置は、当面の財政の収支尻のみに目を奪われた糊塗策であり、国の財政負担軽減を目的とした健保組合等の被保険者への負担の押し付けに他ならず、到底、医療保険制度の改革と言えるものではなく、行財政改革の名にも全く値しないと言わざるを得ない。まさに、本法案の内容に責任を負うべき主任の大臣である舛添厚生労働大臣自らが、「極めて筋が悪い」と評した所以である。
このような見せかけの単なる弥縫策は、国民合意に基づく社会保険制度確立の見地からも、必要な行財政改革推進の見地からも、有害無益なものであり、政府はその内容の非を悟り、その方針を速やかに撤回すべきである。
かかる見地から、以下質問する。
一 政府は、前記の特例措置(以下「今次の特例措置」という。)が何故必要であると判断したのか、その基本的な理由を明らかにされたい。
二 今次の特例措置の検討過程において、厚生労働省は、その提出資料において、「医療保険制度一元化に向けた重要なステップになる」との見解を示しているが、そもそも政府は医療保険制度の一元化をめざしてきたのか。もし、そうであるならば、その証左を示されたい。政府は、一昨年の医療保険制度の抜本改革の議論の際には一元化の方針を全く示さなかったと承知しているが、それにもかかわらず、今次の特例措置の導入の理由として医療保険制度の一元化を持ち出すのは余りにも不見識であり、極めて場当たり的な対応と言わざるを得ないと考えるが、この指摘に対する政府の見解を示されたい。また、今次の特例措置は医療保険制度の一元化に向けた重要なステップになると、現時点においても考えているのか、政府の見解を示されたい。
三 福田総理大臣、舛添厚生労働大臣は、国会審議において、今次の特例措置が「助け合い」だと答弁しているが、その「助け合い」とは誰と誰との助け合いを意味しているのか、政府の見解を明らかにされたい。
四 額賀財務大臣は、国会審議において、今次の特例措置を、政管健保と組合健保の助け合いである旨答弁しているが、今次の特例措置によって、政管健保は組合健保からどのように助けられることになるのか、また、組合健保は政管健保からどのように助けられることになるのか、政府の見解を明解に示されたい。
五 今次の特例措置についての国会審議において、福田総理大臣は、医療保険制度全体の安定的な運営のために必要な措置である旨答弁し、舛添厚生労働大臣は、国民皆保険の維持に資する措置である旨答弁しているが、今次の特例措置は、いかなるプロセスを通じて、医療保険制度全体の安定的な運営に資することになるのか、また、いかなるプロセスを通じて、国民皆保険の維持に資することになるのか、政府の見解を明解に示されたい。
六 今次の特例措置の持つ本質的な意味合いは、単に、国の財政負担の軽減を図るために、政管健保の財政をトンネルにした形で、健康保険組合、及び三共済団体から「上納金」を召し上げる、即ち、健保組合や共済組合が、国を助けるために奔走させられるものに過ぎないのではないか。畢竟、「助け合い」というべきものではなく、助けられるのは国だけであると言わざるを得ないと考えるが、この指摘に対する政府の見解を示されたい。
七 舛添厚生労働大臣は、今次の特例措置を、極めて筋の悪い措置と評したが、いかなる意味で筋が悪いと考えたのか、政府としての見解を示されたい。また、極めて筋の悪い措置であるという本質を十分に自覚・認識していたにもかかわらず、政府として今次の特例措置を最終的に採用しようと決定したのはいかなる理由によるものか、明確に説明されたい。
八 今次の特例措置の検討過程において、政府は、関係する当事者との協議をどのように行い、合意をどのように得てきたのか、具体的な日時、場所、当事者、協議の内容、合意の内容・条件を示されたい。
九 今次の特例措置によって、健康保険組合、三共済団体、国保組合の三者にもたらされる財政負担の増加額の内容と規模は、各々いくらか。また、三者の被保険者・組合員一人当たりの負担増加額の平均はそれぞれいくらか、政府の分析を示されたい。
十 今次の特例措置の採用は、閣議決定されている「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六」によって示された社会保障費の毎年度二千二百億円の削減方針に沿ったものと考えるが、同基本方針においては、国民負担の増加を小さくするための歳出の見直しが謳われている。しかるに、今次の特例措置が、前項で問うたような被保険者・組合員、即ち、国民に対しての負担増をもたらすものであるならば、そもそも今次の特例措置は、同基本方針の精神、目的に全く反する施策と言うべきものと考えるが、この点について、同基本方針と今次の特例措置との関係を整理して、政府の見解を示されたい。
十一 今次の特例措置は、平成二十年度の特例措置とされているが、平成二十年度限りの措置とするとの方針は、政府としての確定した方針なのかどうか、即ち、来年度以降において同様の措置は採用しないとの方針を政府は確定しているのかどうか、その証左と併せて政府の方針を示されたい。
十二 今次の特例措置は、まさに、極めて筋の悪い、見せかけ、ごまかしの帳尻合わせに過ぎず、社会保障の充実、行財政改革の推進のいずれの見地からも有害無益な愚策と言わざるを得ない。早急に方針を撤回し、国会提出した法案についても速やかに取り下げるべきものと考えるが、政府の見解と今後の方針を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの平成二十年度における政府等が管掌する健康保険の事業に係る国庫補助額の特例及び健康保険組合等による支援の特例措置等に関する法律案(以下「特例支援法案」という。)に基づく国庫補助額の特例及び政府又は全国健康保険協会が管掌する健康保険(以下「政府管掌健康保険等」という。)の事業を支援するための特例措置(以下「特例措置」と総称する。)を講ずることとしたのは、当該事業の運営の安定等を図ることが重要であること及び平成二十年度における国の財政収支の状況にかんがみ、同年度の医療保険制度の安定的な運営及び国の適切な財政運営に資するためである。
二について
お尋ねの医療保険の一元化については、まず、平成十八年の医療保険制度改革の基本的な方向を示した「健康保険法等の一部を改正する法律附則第二条第二項の規定に基づく基本方針」(平成十五年三月二十八日閣議決定)が決定されたが、その中で「保険者の自立性・自主性を尊重した上で、医療保険制度を通じた給付の平等、負担の公平を図り、医療保険制度の一元化を目指す」こととされた。その後、当該基本方針を踏まえ、決定された「医療制度改革大綱」(平成十七年十二月一日政府・与党医療改革協議会決定)において、「都道府県単位を軸とする保険者の再編・統合を進め、保険財政の基盤の安定を図り、医療保険制度の一元化を目指す」こととされたところであり、当該大綱に従って医療制度改革を進めてきたところである。また、政府として、御指摘の「今次の特例措置は医療保険制度の一元化に向けた重要なステップになる」との考えを示したことはなく、現時点においてもそのように考えていない。
三から六までについて
お尋ねの助け合いとは、特例支援健康保険組合等(特例支援法案第四条第四項に規定する特例支援健康保険組合等をいう。以下同じ。)が被用者に関する医療保険のセーフティネットの機能を有している政府管掌健康保険等の事業を支援することを意味しており、特例措置によって、政府管掌健康保険等は、特例支援健康保険組合等から徴収した千億円の額の特例支援金が特例交付金として交付されることにより、その安定的な運営が図られることとなる。また、我が国の医療保険制度においては、被用者保険の対象とならない者を地域保険である国民健康保険の対象とすることにより国民皆保険が実現されているが、被用者に関しては、政府管掌健康保険等が、健康保険組合が解散する場合においては当該健康保険組合の権利義務を承継すること等を通じ、被用者に関する医療保険のセーフティネットとしての役割・機能を果たしている。したがって、政府管掌健康保険等の安定的な運営の確保が図られることは、我が国の医療保険制度全体の安定すなわち国民皆保険の維持につながるものであり、助けられるのは国だけであるとの御指摘は当たらないものと考えている。
七について
お尋ねの厚生労働大臣の発言については、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二○○六」(平成十八年七月七日閣議決定)に則った社会保障分野の歳出改革を進めていく上で、被用者保険間の財政調整を前提に政府管掌健康保険等の事業に対する国庫補助を削減することの検討を行っていたところ、関係団体から筋が悪い旨の御意見等があったことを踏まえ、厳しい状況に直面しながらの選択であることを申し上げた趣旨と承知している。また、特例措置を導入することとした理由については、一についてで述べたとおりである。
八について
お尋ねについては、特例措置に係る協議は広範にわたる関係者間で継続的に行われてきたため、すべてについて網羅的にお答えすることは困難であるが、主なものとして、健康保険組合について、昨年十二月十二日に、厚生労働省において、厚生労働大臣から健康保険組合連合会会長に対して特例措置の内容等を説明し御理解を得たほか、共済組合等を所管する関係各省から共済組合等に対して説明し御理解を得たものである。なお、特例措置の内容等を御理解いただくに際し、平成二十年度単年度限りの措置とすべきこと等を条件とすることといった健康保険組合連合会からの御意見等をいただいたところである。
九について
お尋ねの三者に御負担いただく額の内容と規模については、健康保険組合においては、特例支援金として総額七百五十億円の額を御負担いただき、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会及び日本私立学校振興・共済事業団においては、特例支援金として総額二百五十億円の額を御負担いただき、国民健康保険組合においては、所得水準の比較的高い国民健康保険組合の補助金を減額することにより、国庫補助額を総額三十八億円程度減額するものである。また、健康保険組合の被保険者一人当たりの影響額については、特例支援金を御負担いただく健康保険組合の要件が定められていないことからお示しすることは困難であるが、国家公務員共済組合連合会及び地方公務員共済組合連合会を組織する共済組合の組合員並びに私立学校教職員共済制度の加入者一人当たりの平均影響額又は国民健康保険組合(国民健康保険の国庫負担金等の算定に関する政令(昭和三十四年政令第四十一号)第五条に規定する厚生労働大臣が定める組合及び国庫補助額が減額されない国民健康保険組合を除く。)の被保険者一人当たりの平均影響額については、平成十八年度末の当該共済組合の組合員数及び当該制度の加入者数の合計数又は当該被保険者数を用いて機械的に試算すると、それぞれ年間五千七百円程度又は年間四千五百円程度となる。
十について
「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二○○六」においては、優先課題の一つとして財政健全化が挙げられており、後世代に負担を先送りする構造をなるべく早く是正することなどを改革の基本的立場としている。一方、特例措置は、医療保険制度の安定的な運営及び国の適切な財政運営に資するために講ずることとしたものであり、後世代への負担の先送りをしないようにする観点などから、当該基本方針と整合的な措置であると考えている。
十一について
特例支援法案は、平成二十年度における国庫補助額の特例及び政府管掌健康保険等の事業を支援するための特例措置を規定するものであり、平成二十一年度以降については、特例支援法案附則第二条において、「平成二十一年度以降の保険者の費用負担の在り方について速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」としており、これが政府の方針である。
十二について
一についてで述べたとおり、特例措置を講ずることは必要であると考えており、特例支援法案については、国会に対し、引き続き速やかな御審議及び御可決をお願いしてまいりたい。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。