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後期高齢者医療制度に関する質問主意書
参議院 第170回 第106号
質問本文
後期高齢者医療制度が実施されて、各方面から批判が上がっている。これは、高齢者を差別するような制度設計になっているためであり、当然のことと思われる。この制度の根本的な問題は、財政的な側面ではなく、医療の質に差をつけたところであると、私個人は認識している。この制度の改正に関して、舛添厚生労働大臣も言及しているが、今後どの様に制度を変更し、運用していくつもりなのか、その点を中心に以下質問する。
一 後期高齢者医療制度はどのような目的で制定されたのか。また、施行後どのような問題点が生じていると政府は認識しているか。
二 後期高齢者医療制度に問題点があるとすれば、どの点を改善するべきと政府は考えているか。
三 当初の設定では、後期高齢者だけが、延命治療を受けるのか否かを決定しなければならなかった。何故、後期高齢者だけが、そのような意思表示をしなければならないのか。また、延命治療は定義されているのか。定義されているとすれば、具体的に示されたい。
四 人工呼吸器の使用が、延命治療のように言われているが、現場にいた医師の立場からすれば、疾患や患者さんの状態に応じて異なってくる。そうなると、一概に医療器具の使用が、必ずしも延命治療にあたるわけではない。私の経験では、どのような治療を受けるのかということは、患者さんが自分の疾患によって決定している。その点から考えれば、患者さんに対して、病名を告知するかしないのかということが極めて重要なポイントになる。ところが、この国では、癌を告知するべきかという点に関しても十分な理解が得られているとは思えない。延命治療を受けるか否かの問題の前に、癌を告知するべきかを議論するべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
五 後期高齢者に限らず、自分が死に至る病気に罹患した場合、告知を受けるか否かの意思を示しておくことは、本人だけではなく、診療者にとっても重要である。その点を確認する制度を構築するべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
六 厚生労働省のデータによれば、生まれてから亡くなるまでの間に必要な医療費は、平均すると一人当たり二千三百万円であり、その半分近くは七十歳以上で必要となっている。この原因はどこにあると政府は考えているか。
七 健康診断は、早期発見早期治療目的で行われていると承知している。しかし、後期高齢者は、何故検診を受ける必要がないのか。また、平均余命から考えれば、男性と女性を同様に扱うことに問題があると政府は考えないか。
右質問する。
政府答弁書
一及び二について
後期高齢者医療制度については、従来の老人保健制度において、いわゆる現役世代と高齢者世代との費用負担の在り方が不明確であり、今後増加が見込まれる費用の負担について理解を得ることが困難となるおそれがあること、高齢者に対する医療の給付は市町村が行う一方、保険料の徴収は各保険者が行うこととなっており、運営責任が不明確であること、加入者の属する保険制度によって保険料額に格差があることなどの問題点があったことから、七十五歳以上の高齢者等の医療費について、現役世代と高齢者世代との負担割合を明確化すること、都道府県単位の後期高齢者医療広域連合を運営主体とし、責任を明確化するとともに、加入者間の保険料額の格差を縮小することなどにより、国民の高齢期における適切な医療を確保することを目的として創設したものである。
しかしながら、制度の説明が不十分であったことに加え、七十五歳以上ということのみを制度加入の基準としたこと、原則として年金から保険料を徴収することとしたことなど、高齢者の心情にそぐわない点があったものと考えている。
このため、健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号)附則第二条第二項の規定による施行後五年を目途とした検討を前倒しし、高齢者に納得していただけるよう、関係者の意見も聞きながら、今後、一年を目途に必要な見直しを検討することとしている。
三について
お尋ねは、後期高齢者終末期相談支援料の算定に関することと思われるが、後期高齢者終末期相談支援料は、医師、看護師等の医療従事者から病状等について適切な説明がなされ、患者と医療従事者との間で当該病状に対する診療方針について話合いを行い、患者が終末期における療養について十分に理解した上で、患者の自発的意思を尊重して決定された診療方針を文書等により患者に提供する場合に算定できることとなっており、患者が延命治療を受けるのか否かを意思表示することは算定要件とはなっていない。また、診療報酬の算定方法(平成二十年厚生労働省告示第五十九号)においては、延命治療の定義については規定されていない。
なお、後期高齢者終末期相談支援料については、算定凍結の措置を講じたところである。
四について
がんに限らず、死に至る病気に罹患した場合の告知の在り方については、告知を受ける意思があるか否かの確認の在り方を含め、「終末期医療のあり方に関する懇談会」において、平成二十年に行われた「終末期医療に関する調査」の結果を参考にしながら、今後、検討されることとなるものと考えている。
五について
厚生労働省としては、医師は他の医療関係者とともに、患者の年齢、理解度、心理状態、家族や社会的な背景に配慮した上で、患者や家族の要望を踏まえ、適切な時期に、適切な方法で行う必要があると考えているが、お尋ねのような制度を構築することは、現時点では考えていない。
六について
お尋ねについては、若者と比べて高齢者の方が一人当たりの受診日数が多いことが原因であると考えている。
七について
七十五歳以上の高齢者の方においても、早期発見・早期治療のための健康診査は重要であると考えており、実際に、すべての都道府県の後期高齢者医療広域連合において健康診査が行われているところである。
また、男女間で平均余命に違いが見られるが、七十五歳以上の高齢者の健康診査において、男女差を考慮する必要は特にないと考えている。
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