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食中毒事件としての水俣病における政府の対応に関する質問主意書
参議院 第170回 第93号
質問本文
水俣病は昭和三十一年五月に公式に確認された公害事件ではあるが、その発生メカニズムが政府によって特定されるに至るまでには長い年月を要した。すなわち、チッソ水俣工場から排出された有機水銀を含む廃液によって魚介類が汚染され、その魚介類を摂食した地域住民が神経症状を主訴とする水俣病に罹患したとの政府統一見解が発表されたのは、昭和四十三年九月のことであった。
しかし、「奇病」水俣病は、公式確認直後の早い時期から伝染性の疾患ではなく、ある種の重金属による中毒と考えられ、水俣湾の魚介類を食べることによって引き起こされた食中毒との共通認識はあった。そこで、水俣病が食中毒事件としてのどのように対処されたのか、事実関係及び法解釈を明確にするため、以下のとおり質問する。
一 政府は水俣病事件を食中毒事件と認識しているか。食中毒事件と認識しているのであれば、いつの時点で認識したのか。
二 水俣病が食中毒だとすると食品衛生法の適用を受けることになるが、政府は食品衛生法に基づく対処をいつからいつまで行なってきたのか。同法の適用を受けないというのであれば、それはなぜか、根拠を示されたい。
三 食品衛生法の適用を前提とすると、水俣病が公式確認された当時の食品衛生法第二十七条によれば、食品等に起因して中毒した患者等を診断した医師は、直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならないが、この点は実行されているか。保健所長は、この届け出を受けたときには調査し、かつ都道府県知事に報告をしなければならないが、この点は実行されているか。都道府県知事は、この報告を受けたときには厚生大臣に報告をしなければならないが、この点は実行されているか。
それぞれ実行されているとするならば、具体的に誰から誰に対していつどのような形で実行されたか明らかにされたい。またその実行の結果、どのような処理がされたかも併せて明らかにされたい。
四 同様に、当時の食品衛生法第四条によれば、「有毒な、又は有害な物質が含まれ、又は附着している」食品等については、採取や販売等が禁止されているが、この点は実行されているか。実行されているとすれば、具体的にどのような形で実行されたか明らかにされたい。
もし実行されていないとすれば、食品衛生法に違反することになるのではないかと思われるが、その通りか。その通りだとすれば、食品衛生法違反としてどのような罰則規定の適用その他の違反者に対する処理がなされたか明らかにされたい。また違反者に対する処理がなされなかったとすれば、その理由、根拠を具体的に明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
旧厚生省において、水俣病が「水俣湾及びその周辺に棲息する魚介類を多量に摂食することによっておこる主として中枢神経系統の障害される中毒性疾患」であるとの結論に達したのは、食品衛生調査会がその旨を「昭和三十四年十月二日「厚生省発衛第五七二号」に対する答申」として提出した昭和三十四年十一月十二日の時点においてである。
二及び四について
水俣病が公式に確認された昭和三十一年五月から新たな同病の発症者をみなくなった昭和三十五年までの時期においては、有毒な物質の含まれる食品については食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第四条(現第六条。以下同じ。)第二号の規制対象となっていたが、その疑いのある食品についてはいまだ同号の規制対象とはなっていなかったところ、水俣湾内の特定地域に棲息する魚介類のすべてが有毒化しているという明らかな根拠は認められなかったことから、当該魚介類のすべてが有毒な物質の含まれる食品として同法第四条第二号に該当するとは判断しなかったものである。
なお、同法第四条各号に該当する食品等については、行政庁の命令等を要するまでもなく、当然にその販売等が禁止されるものである。
三について
水俣病が御指摘のとおり公式に確認された当時、それが一についてで述べたような疾患であるかどうかは明らかでなかったことから、食品衛生法第二十七条(現第五十八条)の規定に基づく届出は行われていなかったものと認識している。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。