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安定ヨウ素剤をめぐる政府の混乱に関する質問主意書

参議院 第178回 第33号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×2承知していない ×2検討してまいりたい ×3

提出者
参議院
提出日
2011年9月29日
内閣転送 2011年9月30日
答弁書受領日
2011年10月7日
提出から8日
答弁の項目数
9
質問 2,266字/答弁 3,318字

質問本文

今般の東京電力福島第一原子力発電所事故に際し、子どもたちの内部被曝を予防するための安定ヨウ素剤についての政府の配布・服用指示に混乱があり、全く役に立たなかったとの指摘がなされており、多くの国民は疑念を抱いている。

そこで、以下のとおり質問する。

一 九月十五日付け福島民友新聞によれば、地元市町村の安定ヨウ素剤の配布状況は次のとおり報道されている。

イ 富岡町は、三月十二日、主に四十歳以下の町民に配布。

ロ 双葉町は、三月十二日、町内避難所の子どもに配布。

ハ 南相馬市は、三月十二日、十キロ圏内で管理していた安定ヨウ素剤の配布を決定。しかし、行政区単位で袋詰めしている最中に避難区域が二十キロ圏内に拡大し、配布を断念。

ニ 楢葉町は、三月十五日、いわき市の避難所にいた四十歳以下に配布。

ホ 三春町は、三月十五日、四十歳未満に配布、既に安定ヨウ素剤を所持していた浜通りからの避難者を含め、服用を呼びかけた。

ヘ 大熊町は、避難所単位に安定ヨウ素剤を配備したが、国からの指示がなく配布しなかった。

ト いわき市は、三月十八日に四十歳未満と妊婦に配布。しかし、市から指示があった時以外は絶対に服用しないように呼びかけ、服用指示は出さなかった。

チ 浪江町は、「県から配布しなくてよい指示があった」として配布しなかった。

リ 広野町は、「どこからも指示はなかった」として、配布しなかった。

ヌ 川内町は、県から新品を取り寄せたが配布はしていない。

このような報道に対し、政府として把握している事実関係如何。政府が把握している範囲で、福島県下全市町村別に配布時点・配布者数、服用時点・服用者数を含め、事実関係を明らかにされたい。

二 前記一の新聞に掲載された、原子力安全委員会助言メンバーの鈴木元氏(急性被曝医療)の証言によれば、原子力安全委員会は、三月十二日の一号機のベント開放・水素爆発と半径二十キロ圏の避難指示を受け、三月十三日午前〇時十四分、原子力安全・保安院に安定ヨウ素剤の投与を助言したが政府は何も対応しなかった。再度、同日午前十時三十分に同様の助言が行われたが、やはり、政府は何の指示も出さず、結果として、政府が投与を指示したのは三月十六日午前十時三十五分という、多量の放射性物質が広範囲に排出される二号機での圧力調整室爆発(同日午前六時十五分)以降であり、かつ、二十キロ圏内に残った人が対象であったため、避難所の県民への投与指示はなかったとのことであるが、事実関係如何。三月十三日の二度にわたる原子力安全委員会からの助言を政府は結果として無視をしたのであれば、それは何故か。県民の納得がいく形で、明確にその理由を明らかにされたい。

三 放射性物質の拡散状況が明確となった現時点において、本来、安定ヨウ素剤の配布・服用指示はどの時点で行うべきであったと考えているのか、野田内閣の見解を明らかにされたい。

四 今回の安定ヨウ素剤の配布・服用指示の混乱の背景として、各種の緊急被曝医療マニュアルに基づき、甲状腺被曝が百ミリシーベルトを超える予測がつけば投与することは広く知られているが、それが体表面汚染に換算すると一万cpmになるという情報が周知されていなかったという指摘は事実か。

五 八月二十八日付けの朝日新聞によれば、「三月十七日、十八日に福島県で実施された住民の外部被曝検査の数値から内部被曝による影響を計算すると少なくとも四割が安定ヨウ素剤を飲む基準を超えていた」とあるが、事実関係如何。また、福島県災害対策本部が実施した「緊急被曝スクリーニング」の記録によると、三月十四日時点で三千三十八人を検査したところ二人が十万cpmを超えていたと報道されていたが、体表面汚染が一万cpmを超えていた人は、今までに何人いたと政府は把握しているのか。

六 三月二十五日付け毎日新聞によれば、国の原子力災害対策本部は三月二十一日夜、安定ヨウ素剤を個人の判断で服用しないよう呼びかける指示文書を公表したとあるが、事実関係如何。事実とすれば、その理由を明らかにされたい。

七 政府が三月二十四日から三十日に、〇歳から十五歳の子ども千八十人を対象に実施した甲状腺の放射線ヨウ素測定では、毎時〇・二マイクロシーベルトを超えた子どもがいなかったため、「健康に問題はない」としているが、半減期が約八日のヨウ素131だけでなく、同約二時間と短いヨウ素132や、約三日でヨウ素132に変わるテルル132の影響は政府としてどのように評価しているのか。これらの影響を踏まえた場合、目安とされた毎時〇・二マイクロシーベルトは、子どもたちの累積甲状腺被曝量に換算してどの程度と推定しているのか。また、理化学研究所が三月十六日に三〇キロ圏外の大気を分析した結果、放射性物質の七割以上がこれら半減期の短い物質であったとの報道(前記五の新聞)があるが、その事実関係如何。事実であれば、三十キロ圏外のどの地点でのデータなのか、その他の測定データを含め明らかにされたい。

八 全国の原子力発電所立地自治体などに備蓄してある安定ヨウ素剤の量及びその年間経費を各発電所別に明らかにされたい。

九 今般の事故に際しての安定ヨウ素剤の配布・服用指示に関する混乱を踏まえ、政府として、どのような反省をし、どのような改善を行ったのか。また、原子力発電所立地自治体にどのような周知を行ったのか。いまだ行っていないのであれば、それは何故か。具体的に明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

市町村における安定ヨウ素剤の住民への配布状況及び服用状況については、福島県を通じて各市町村から回答をいただいており、現時点で政府として把握しているものについて、①配布を行った市町村名、②配布を行った日時、③配布された者の数を示すと以下のとおりである。なお、服用者数及び服用された日時に関しては、いずれの市町村においても把握していない。

①いわき市 ②平成二十三年三月十八日以降 ③不明

①三春町 ②同月十五日 ③七千二百四十八名

①楢葉町 ②不明 ③不明

①富岡町 ②同月十二日及び十三日 ③不明

①川内村 ②不明 ③不明

①双葉町 ②不明 ③不明

その他の市町村においては、配布を行っていないと聞いている。

二について

御指摘の平成二十三年三月十三日午前零時十四分及び同日午前十時三十分の助言については、内閣府原子力安全委員会事務局及び経済産業省原子力安全・保安院に置かれている原子力災害対策本部事務局のいずれにおいても記録が確認されていない。また、原子力安全委員会事務局において、同日午前十時四十六分に、スクリーニングレベルを超えた方に対して安定ヨウ素剤を服用させるべきとのコメントを行い、原子力安全委員会において同月十四日付けで「安定ヨウ素剤の内服について」とする助言を行っているが、原子力災害対策本部事務局においてこれらを受けた記録が確認されていない。

なお、原子力安全委員会緊急技術助言組織においては、同月十五日午前三時十分に「避難区域(半径二十キロメートル以内)からの入院患者の避難時における安定ヨウ素剤投与について」、同月十六日午前一時二十五分に「避難区域(半径二十キロメートル以内)の残留者の避難時における安定ヨウ素剤投与について」とする助言をそれぞれ行っており、原子力災害現地対策本部長においては、これらを踏まえ、同日午前十時三十五分に、避難時の住民に対して安定ヨウ素剤を投与するよう、福島県及び関係市町村に要請している。

三について

お尋ねについては、「原子力施設等の防災対策について」(昭和五十五年六月三十日原子力安全委員会決定)において、「安定ヨウ素剤予防服用に係る防護対策の指標として、性別・年齢に関係なく全ての対象者」に対し「一律に、放射性ヨウ素による小児甲状腺等価線量の予測線量百ミリシーベルトを提案する。」としており、また、「本防護対策の効果が限定的であり、屋内退避、避難等の他の防護対策を補完する対策であることを踏まえ、実施に当たっては、技術的観点、実効性、地域の実情を考慮し、他の防護対策とともに判断することが必要である。」としていること等を踏まえ、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所事故への対応においては、住民の避難を最優先としたものであり、また、安定ヨウ素剤の配布・指示に関する適切な方法やタイミングについては、今後検討してまいりたい。

四について

文部科学省において作成し、同省のホームページにおいて掲載している「緊急被ばく医療の知識」において、小児の甲状腺等価線量百ミリシーベルトを体表面汚染密度に換算すると一平方センチメートル当たり四十ベクレルに相当することを示しており、体表面汚染密度を測定できる機器を用いることにより、甲状腺等価線量を把握することは可能であったが、適切な情報の周知については、政府において今後検討してまいりたい。

五について

お尋ねの「安定ヨウ素剤を飲む基準」が何を指すのか必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、平成二十三年三月十七日及び十八日に福島県において実施された住民の外部被ばく検査の公表結果によれば、衣服等も含めた表面汚染の計数値が一分間当たり十万カウントを超えていた人数について、同月十七日の検査においては、一万四千百九十八人中四十三人であり、同月十八日の検査においては、一万四千三百三十六人中三十九人である。

また、福島県からは、外部被ばく検査の結果、衣服等も含めた表面汚染の計数値が一分間当たり一万三千カウントを超えていた人数は同月十三日から同年九月二十八日までの測定で千三人と聞いているが、体表面汚染の計数値が一分間当たり一万カウントを超えていた人数については、把握していないと聞いている。

六について

お尋ねについては、平成二十三年三月二十一日の時点で、福島第一原子力発電所から半径二十キロメートル圏外の地域においては、安定ヨウ素剤の服用が必要とされるほどの放射線は空気中から計測されておらず、また、安定ヨウ素剤については、服用すれば副作用が発生する場合があり、医療関係者の立会いの下で服用する必要があることから、原子力災害現地対策本部において、福島県及び関係市町村に対し、安定ヨウ素剤を個人の判断で服用させないよう要請したものである。

七について

テルル132やヨウ素132といった半減期が短い放射性物質の被ばく初期における影響については、評価することが可能かどうかも含め今後検討が必要と考えている。なお、原子力災害現地対策本部において、平成二十三年三月二十六日から三十日にかけて、甲状腺に集まった放射性物質からの放射線量の測定を実施した際に、一歳児における甲状腺等価線量が百ミリシーベルトを超えるかどうかの指標については、独立行政法人放射線医学総合研究所の研究データ等を踏まえた原子力安全委員会の助言に基づき、甲状腺に集まった放射性物質からの放射線量が正味値毎時〇・二マイクロシーベルトとしている。

また、独立行政法人理化学研究所等に所属する研究者において、平成二十三年三月十五日から十七日まで及び同年四月八日に、福島第一原子力発電所から半径三十キロメートル圏外における放射性物質の飛散状況の調査を行い、その中で、東北自動車道、磐越自動車道及び常磐自動車道において、テルル132、ヨウ素131、ヨウ素132等の放射能の相対的な量を試算していると承知しているが、「放射性物質の七割以上がこれら半減期の短い物質であった」かどうかは、当該調査結果からは判断できないと承知している。

八について

お尋ねの「全国の原子力発電所立地自治体など」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、安定ヨウ素剤の量等に関して、政府として現時点で把握しているものについて、①都道府県地域防災計画の原子力災害対策編を作成している道府県、②これらの道府県が保有している安定ヨウ素剤の数量、③これらの道府県が平成二十二年度に安定ヨウ素剤の購入に充てた金額を示すと以下のとおりである。

①北海道 ②錠剤八万三千錠及び粉末千グラム ③約四十六万六千円

①青森県 ②錠剤三万五千錠及び粉末千五百グラム ③零円

①宮城県 ②錠剤十四万千錠 ③九十五万四千円

①福島県 ②錠剤約四十七万六千錠及び粉末三千七百五十グラム ③約三十八万八千円

①茨城県 ②錠剤五十五万二千錠及び粉末六千五百グラム ③約二百八十七万千円

①神奈川県 ②錠剤五万三千錠及び粉末百五十ミリグラム ③約十七万千円

①新潟県 ②錠剤十六万八千錠及び粉末千グラム ③約四十六万七千円

①石川県 ②錠剤八万八千錠及び粉末五千グラム ③約五十三万五千円

①福井県 ②錠剤十万八千錠及び粉末千五百グラム ③約五十二万千円

①静岡県 ②錠剤二十四万錠及び粉末五千五百グラム ③約百三十七万六千円

①京都府 ②錠剤二万六千錠及び粉末五百グラム ③約十九万九千円

①大阪府 ②錠剤三千錠 ③約一万八千円

①岡山県 ②錠剤千錠 ③約九千円

①島根県 ②錠剤五十四万錠及び粉末千百グラム ③約二百八十五万千円

①鳥取県 ②錠剤三千錠 ③約五千円

①愛媛県 ②錠剤十一万錠及び粉末二千グラム ③零円

①佐賀県 ②錠剤三十三万錠及び粉末五千五百グラム ③零円

①長崎県 ②錠剤三万三千六百錠及び粉末二十五グラム ③零円

①鹿児島県 ②錠剤八万千錠及び粉末三百グラム ③約四十三万六千円

九について

お尋ねの安定ヨウ素剤の配布・服用指示に関する改善については、原子力防災体制の見直しの中で検討してまいりたい。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×2承知していない ×2検討してまいりたい ×3

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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