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放射性物質で汚染された建設資材の流通問題と政府の管理体制に関する質問主意書
衆議院 第180回 第48号
質問本文
福島県二本松市のマンション一階部分から周辺に比較して高い放射線量が計測され、二本松市及び国が調査した結果、同マンションのコンクリートに使用された砕石が原因である可能性が高く、その砕石は福島県浪江町の採石場から平成二十三年四月前半に出荷されたものであることがこれまでに判明している。この問題は、右マンションに住む中学生の個人線量計の積算線量が非常に高い数値を記録したことに端を発したものであるが、政府は、問題の発生や拡大を未然に防げなかったばかりか、平成二十三年十二月二十八日には、二本松市からこの問題に関して報告を受けながらも、政府が事実関係について公表したのは、平成二十四年一月十五日になってからであった。
右を踏まえ、以下質問する。
一 平成二十三年五月に、福島県は、公共事業に使用する石等の建築資材について、放射性物質量の基準を設けるよう、政府に対して要望書を提出しているが、これに対して政府は未だ明確な対応を示していないとされている。
1 右の事実に関して、政府は、何故、石などの建設資材について、放射性物質量の基準を設けてこなかったのか。国民に分かるように、理由を説明して頂きたい。
2 1について、今後、基準を設けるのか。設けるのであれば、何時までに設けるのか。設けないのであれば、その科学的根拠を国民に分かるように示して頂きたい。
3 政府は、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故後、その周辺地域の石について、放射性物質による汚染、及びその出荷と流通の可能性について、予見することは出来なかったのか。
4 東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故を受け、石などの建設資材について放射性物質量の基準の策定や関係事業者に対する適切な情報提供を実施していれば、放射性物質で汚染された砕石の流通やその使用による二次被害の拡大を防ぐことができたのではないかと考えるが、何故、対処しなかったのか。その理由を示されたい。あるいは、そもそも認識が不十分であり対応の必要性を認識することができなかったのか。
5 政府は、何故、二本松市から同市内のマンションで高い放射線量が計測された事実について報告を受けながら、公表を行うまでに半年余りの時間を要さなければならなかったのか。
二 政府は、放射性物質で汚染された砕石の流通や汚染状況の調査を実施するとしているが、具体的な調査内容について伺いたい。
1 政府が行おうとしている調査の対象と地理的範囲を、政府はどのような基準によって決定する予定であるのか。政府が予定する基準について伺いたい。
2 調査の実施は(1)どの機関が行い、(2)何時までに完了させ、その結果は、(3)何時国民の前に公表されるのか。政府の見解を伺いたい。
三 政府は、高い放射線量が計測された二本松市のマンションの住民の健康状態については、どのように認識し、また当該マンション住民の方々への健康への影響をどう評価しているのか。
四 高い放射線量が計測された二本松市のマンションのように、放射性物質で汚染された砕石を使用した建築物の被害に対する補償は東京電力株式会社に求められるのか。その場合、補償の対象には、放射性物質で汚染された砕石を使用した建築物の住民だけでなく、放射性物質で汚染された砕石を出荷した事業者や関連事業者も含むのか。補償対象に関する政府の見解を伺いたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1から4までについて
政府においては、「福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方」(平成二十三年五月十二日原子力災害対策本部策定)等において、脱水汚泥等を含むセメント等に係る放射能濃度の基準等を示しているが、その他の建設資材については、脱水汚泥等のように放射性物質が追加的に混入する経路が、避難が進められていた当時見当たらなかったことから、そのような基準を策定するに至らなかったものである。また、砕石は、岩石を地表の部分だけでなく地中の部分も含めて砕いて採取されることから、砕石に放射性物質が大量に付着しているとは考えにくいため、放射性物質により汚染された採石の出荷及び流通の可能性について、予見することはできなかったものである。砕石の出荷基準については、専門家による検討会を開催し、学識経験者等の意見を聴きつつ、平成二十三年度末までの策定を目指すこととしている。その他の建設資材に係る新たな基準の策定については、今後の調査結果を踏まえ、関係府省が連携して、対応を検討していく所存である。
一の5について
政府においては、平成二十三年十二月二十八日に二本松市から御指摘の報告を受け、高い放射線量が計測された原因を特定すべく、同市と共同で関係者から事情を聴く等の調査を行った。その結果、御指摘のマンションの基礎部分に用いられた砕石が原因となった可能性が高いことが判明したことから、平成二十四年一月十五日に、同市においてその旨公表したものである。
二について
御指摘のマンションの基礎部分に用いられた砕石が採取された採石場において汚染された可能性のある砕石については、原則として全ての流通経路及び汚染状況の調査を実施していく考えであり、当該調査においては、内閣府、経済産業省、国土交通省等の関係府省及び地方公共団体が連携し、これらの砕石が使用されている住宅等であって居住者等の了解が得られたものについて、平成二十三年度末までに放射線量の測定を完了させることを目指している。また、当該調査の結果については、政府において定期的に公表していくこととしている。
三について
二本松市が平成二十三年十二月二十八日に行った測定によれば、御指摘のマンションの一階部分の床上一メートルの高さにおける空間線量率は毎時〇・九マイクロシーベルトから毎時一・二マイクロシーベルトとのことであり、この測定結果から推定される被ばく線量は年間二十ミリシーベルトを下回る。
なお、被ばくによる健康リスクについては、国際放射線防護委員会の平成十九年の勧告等において、放射線による人体への影響について、疫学的な研究では、百ミリシーベルトより高い線量ではがんのリスクの可能性が高くなるとされるが、およそ百ミリシーベルトまでの線量ではがんのリスクが高まることは明らかにされていないとしている。また、原発事故の収束及び再発防止担当大臣の下に開催されている放射性物質汚染対策顧問会議の下で開催された有識者から構成される「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」の報告書においても、「広島・長崎の原爆被爆者の疫学調査の結果からは、被ばく線量が百ミリシーベルトを超えるあたりから、被ばく線量に依存して発がんのリスクが増加することが示されている。」とし、「国際的な合意では、放射線による発がんのリスクは、百ミリシーベルト以下の被ばく線量では、他の要因による発がんの影響によって隠れてしまうほど小さいため、放射線による発がんリスクの明らかな増加を証明することは難しいとされる。」としている。
四について
お尋ねの「放射性物質で汚染された砕石を使用した建築物の被害」については、政府として、現在、汚染された可能性のある砕石の流通経路及び汚染状況の調査を進めており、今回の事態に至った経緯や被害の実態について把握に努めているところである。その結果も踏まえ、被害者に対して適切な賠償を行うよう、東京電力株式会社に対して引き続き促してまいりたい。
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