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日米防衛協力のための指針及び周辺事態安全確保法に関する質問主意書
参議院 第181回 第41号
質問本文
「日米防衛協力のための指針」(以下「指針」という。)は、平成九年に改定され、その目的を、周辺事態に際してより効果的で信頼性ある日米協力を行うこととし、そのために必要な措置として、平成十一年、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(以下「周辺事態安全確保法」という。)等の法整備が行われた。
一方、南西諸島方面での動き、北朝鮮の核・ミサイル開発の動き、及びサイバーテロ対処等、我が国を取り巻く安全保障に係る周辺環境が変化しているのも事実であり、指針や周辺事態安全確保法などの見直しのため、議論を行うべきとの意見がある。
右の点を踏まえ、以下質問する。
一 指針改定当時と現在の我が国を取り巻く安全保障環境における相違点は何か、政府の見解を明らかにされたい。またそのうち、日米の防衛協力に影響を与える分野は何か、明らかにされたい。
二 平成二十四年九月の日米防衛相会談においては、我が国のRMC(役割・任務・能力。以下同じ。)及び指針に関する研究・議論の重要性について再確認し、今後必要な研究・議論を行っていくことで一致したとされている。即ち、日米両政府は、指針再改定を視野に入れ、研究・議論を進めていくと考えられるが、我が国を取り巻く周辺環境や在沖縄海兵隊の再編見直しを受け、日本のRMCは変化せざるを得ないと考える。このため、できるだけ早期に再改定についての具体的方向性を示すべきだと考えるが、政府の見解如何。
三 指針を再改定する場合、実効性を高めるための具体的措置として、周辺事態安全確保法や周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律等の法的基盤を見直す必要があると想定されるが、政府の見解如何。
四 周辺事態安全確保法では、後方地域支援として物品役務の提供が可能であるが、同法別表第一の備考に「物品の提供には、武器(弾薬を含む。)の提供を含まないものとする。」、「物品及び役務の提供には、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備を含まないものとする。」、「物品及び役務の提供は、公海及びその上空で行われる輸送(傷病者の輸送中に行われる医療を含む。)を除き、我が国領域において行われるものとする。」と規定されている。これらの規定が、同法別表第一に記載された理由について、政府の見解如何。また、今後、指針再改定議論の中で米軍から要望があった場合、または日本が各種支援を行うことが想定される場合は、憲法との整合性を図りつつ、周辺事態安全確保法を改正する必要があると考えるが、政府の見解如何。
五 周辺事態安全確保法においては、公海上における物品及び役務の提供は認められていないが、過去にあったテロ対策特措法や補給支援特措法では、公海上における物品・役務の提供を認めていた。周辺事態安全確保法における「後方地域」は「戦闘地域」と区分されており、また「武器弾薬の提供や戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備」を除く物品及び役務の提供であれば、その行為自体が武力の行使にあたらず、憲法上の問題はないと考えるが、政府の見解如何。
また、森本防衛大臣は、本年七月二十六日、参議院外交防衛委員会において、公海上での補給について、「現在の安全保障環境に照らして、その前提が妥当であるか議論していく」、「今後の日米同盟の下で一層多くのリクワイアメントが出てくる」旨答弁している。これらの答弁を政府見解ととらえてよいか、明らかにされたい。政府見解である場合には、周辺事態安全確保法を改正すべきだと考えるが、政府の見解如何。
六 周辺事態安全確保法は、武器弾薬の提供や戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備に関して、規定を設けていないが、その理由について、政府の見解を明らかにされたい。また、この給油及び整備は、憲法第九条に定めるところの「武力による威嚇又は武力の行使」にあたるのか、政府の見解如何。さらに、急迫不正の侵害に対処するため、自衛権の行使上、憲法上許される範疇に該当すると認められるケースは全くないと言えるのか、政府の見解如何。
七 周辺事態安全確保法は、情報提供に関して規定を設けていないが、周辺事態が認定された後についても、日本政府から米国への情報提供には制約がないと考えてよいのか、政府の見解如何。また、憲法の枠を超える情報提供が生起することが想定されるならば、周辺事態安全確保法の改正を行う必要があると考えるのか、政府の見解如何。
右質問する。
政府答弁書
一について
我が国を取り巻く安全保障環境については、日米防衛協力のための指針(以下「指針」という。)が改定された平成九年以降、国際テロ組織等の活動を含む新たな脅威や海洋、宇宙、サイバー空間の安定的利用に対するリスク等の新たな課題にも直面しており、こうした課題も、日米防衛協力の在り方に影響を及ぼし得るものと考えている。
二及び三について
日米両政府の間では、平素から、安全保障分野での幅広い協力について議論を行ってきているところであり、平成二十四年九月に行われた日米防衛相会談においては、日米間で新たな安全保障環境を踏まえた日米の役割・任務・能力に関する協議を推進し、指針についても、必要な研究及び議論を行っていくことが日米同盟を深化させていくことにつながるとの認識で両閣僚が一致したところである。
指針について、現在、日米間で必要な研究及び議論を行っているところであり、お尋ねの指針の改定等の必要性については、当該研究及び議論も踏まえつつ判断すべきものと考えている。
四から六までについて
周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(平成十一年法律第六十号。以下「周辺事態安全確保法」という。)別表第一の備考は、周辺事態安全確保法の立案に当たり、後方地域支援として我が国が実施する支援措置の内容を検討する過程において、米側から我が国に対する協力の要請の内容として想定していないとの説明があった事柄について、そのような支援措置は実施しないことを規定上明らかにしたものである。
我が国の行う活動と憲法との関係については、個別の状況に応じて判断することが必要であると考えられるところ、周辺事態安全確保法の立案過程において、これに基づき実施することが想定されない具体的な態様の行為について憲法上の実施の可否を検討したものではない。
二及び三についてで述べたとおり、指針について、現在、日米間で必要な研究及び議論を行っているところであり、指針の改定等の必要性については、当該研究及び議論も踏まえつつ判断すべきものと考えている。御指摘の森本防衛大臣の答弁は、この趣旨を述べたものである。
七について
一般論として言えば、自衛隊がその任務を遂行するために行う情報収集活動により得られた情報を米軍に対して一般的な情報交換の一環として提供することは、実力の行使に当たらず、周辺事態(周辺事態安全確保法第一条に規定する周辺事態をいう。以下同じ。)に際して行われるものであっても、憲法上の問題はないと考えているところ、周辺事態に際して我が国が行う情報提供について、憲法との関係で問題となるような状況は想定していない。
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