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災害発生時における保健師の役割に関する質問主意書

参議院 第192回 第49号

提出者
参議院
提出日
2016年12月5日
内閣転送 2016年12月7日
答弁書受領日
2016年12月13日
提出から8日
答弁の項目数
3
質問 1,351字/答弁 1,844字

質問本文

各地方公共団体に所属する保健師(以下「自治体保健師」という。)は、平時においても保健指導等を通じて地域住民の健康を守る大きな職責を有しているが、ひとたび災害が発生した際には最優先で避難所に駆けつけて被災者の生活環境の整備を行い、被災者が仮設住宅に移転してからもその心の安寧を保てるようにするなど、長期にわたり被災者の身体及び精神の健康状態を管理するというきわめて重要な役割を果たす。このことは、東日本大震災や熊本地震など、近年発生した大規模災害の経験を通じて被災地においては認識されつつあるものの、一般的には未だ知られていない。

自治体保健師が災害発生時に避難所等においてその役割を発揮できる体制を構築するためには、災害という非常事態に直面した際に速やかに地域住民の生活・衛生環境を整えることができる訓練を受けた自治体保健師の人材育成が必要である。加えて、平時から自治体保健師の役割に対する国民の理解を得て、その認知度を上げることが必要であると感じている。

その意味で、近年になって、全国保健師長会等による「大規模災害における保健師の活動マニュアル」が東日本大震災を踏まえて改訂されたり、厚生労働省が開催している保健師中央会議において実際に災害対応に当たった保健師による事例発表がしばしば行われたりするなど、災害発生時における自治体保健師による健康危機管理体制の在り方とそれぞれの経験を基にした情報の共有が進められていることは望ましいものと考える。さらに、平成二十八年度から、厚生労働省が保健師、公衆衛生医師等により構成される災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)の養成を開始したことは、災害対応に特化した保健師の役割を明確にし、災害発生時における保健師の活動を体系化する新たな試みとして大いに期待できると考える。

そこで、前述のような自治体保健師の体制強化の取組を加速させ、よりよい制度を構築する観点から、以下質問する。

一 現状の災害時健康危機管理支援チーム養成研修は、必ずしも多数の保健師等は受講できない。今後、より多くの自治体保健師に災害発生時の緊急対応とその役割を習得してもらうために、研修の質と受講者の量の確保が課題になると思われるが、この点についての政府の方針はいかがか。

二 災害対応に関する研修や訓練に参加して必要な知識及び技術を習得した自治体保健師が増加すれば、当該地方公共団体において災害が発生した場合の活動はもちろんのこと、当該地方公共団体の周辺地域で災害が発生した場合の応援等の際にも有効な活動が期待できる。一方で、自治体保健師がこうした研修等に参加するためには、本務から一定期間離れざるを得ないことから、各地方公共団体の首長や所属長を始めとする周囲の理解が欠かせない。災害発生時における自治体保健師の役割についての理解を広げ、自治体保健師がこうした研修等に積極的に参加できるような環境を整えるために、政府として取り組んでいる内容を示されたい。

三 将来的には、保健師として就業した後の研修等だけでなく、大学や養成所等の保健師養成課程の中に、災害発生時における保健活動を学ぶ機会を設けることも検討すべきであると考えるが、この点についての政府の認識はいかがか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

政府としては、地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)第四条第一項の規定に基づき策定した地域保健対策の推進に関する基本的な指針(平成六年厚生省告示第三百七十四号。以下「基本指針」という。)において、都道府県及び市町村(特別区を含む。)(以下「都道府県等」という。)が行う地域保健対策において都道府県等が取り組むべき方向の一つとして、大規模災害への備えを含む地域における健康危機管理体制の確保を示しているところである。御指摘の災害時健康危機管理支援チーム養成研修は、自然災害に伴う重大な健康危機が発生した場合に対応するためには被災した都道府県、保健所設置市及び特別区に設置される健康危機管理組織による指揮調整機能を支援する体制を充実強化する必要があることから、御指摘の災害時健康危機管理支援チームの構成員を養成するため、平成二十八年度から開始したものである。今後は、災害対応に関係する厚生労働科学研究の結果やこれまでの災害対応の経験等を踏まえて、当該研修の内容を随時見直していくことで、当該研修の質の改善や受講者数の確保に努めてまいりたい。

二について

お尋ねの「災害発生時における自治体保健師の役割についての理解」を広げるための取組については、厚生労働省としては、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十五条の四第一項の規定に基づく技術的助言である「地域における保健師の保健活動について」(平成二十五年四月十九日付け健発〇四一九第一号厚生労働省健康局長通知。以下「保健活動通知」という。)において、都道府県等に対して、保健師の保健活動において災害時支援、健康危機管理等を実施できるような体制を整備することを求めているところである。また、御指摘の「自治体保健師がこうした研修等に積極的に参加できるような環境を整えるため」の取組については、基本指針において都道府県等が健康危機に対する迅速かつ適切な危機管理を行うことができる人材の育成を行う必要があることを示すこと、保健活動通知において研修を含む保健師の現任教育の体系的な実施等を都道府県等に求めること、国や都道府県等が実施する研修に参加する際の経費等を補助すること等に取り組んでいるところである。

三について

保健師が御指摘の「災害発生時における保健活動」(以下「災害時保健活動」という。)について学ぶことは重要であると認識している。政府としては、こうした認識の下、御指摘の「大学や養成所等の保健師養成課程」における教育の内容の見直しを行い、平成二十三年度から、健康危機管理を含む「公衆衛生看護学」を保健師助産師看護師学校養成所指定規則(昭和二十六年文部省・厚生省令第一号)第二条に規定する保健師学校養成所の教育の内容の一つに定めているところである。

大学における災害時保健活動に関係する具体的な教育の内容については、平成二十三年三月十一日に文部科学省の「大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会」が取りまとめた最終報告の中で、学士課程修了時までに身に付けるべき看護実践能力として「地域ケアの構築と看護機能の充実を図る能力」が挙げられており、そのための教育の内容として「災害看護活動」及び「被災者に対する安全な環境」が例示されている。同省から保健師等を養成する各大学に対しては、この最終報告の内容を踏まえ、看護学教育の改善充実に努めるよう求めている。

また、保健師養成所(保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第十九条第二号に規定する保健師養成所をいう。以下同じ。)については、厚生労働省が、地方自治法第二百四十五条の四第一項の規定に基づく技術的助言である「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドラインについて」(平成二十七年三月三十一日付け医政発〇三三一第二十一号厚生労働省医政局長通知。以下「ガイドライン通知」という。)の別紙「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)において、保健師養成所の卒業時の到達目標として「広域的な健康危機(災害・感染症等)管理体制を整える」、「健康危機(感染症・虐待・DV・自殺・災害等)に迅速に対応する」等を定めるとともに、ガイドライン通知において、保健師養成所に対するガイドラインを踏まえた指導及びガイドラインの周知を各都道府県知事に対して求めているところであり、災害時保健活動に関係する教育が行われているものと認識している。

参議院の原文

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