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改正農薬取締法の運用に関する質問主意書
参議院 第196回 第181号お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×2
質問本文
本年六月八日、農薬取締法の一部を改正する法律が成立し、同月十五日に公布された。同法による改正後の農薬取締法(以下「改正農薬取締法」という。)の目的には農薬の安全性の確保が新たに掲げられ、国際的動向等を踏まえ、定期的に安全性等の再評価を行う制度も導入されることとなった。
農薬は、環境や人の健康に大きな影響を与えることから、使用やばく露を減らすことや、農薬に依存しない農業の推進が国際的に推奨されている。その顕著な例として、二〇一二年十一月、米国の小児科学会は、子どもたちが日常的に農薬にさらされており悪影響を受けるおそれがあるため、子どもたちの農薬へのばく露を減らすように求める声明を公表したことが挙げられる。
日本も「気候変動に関する国際連合枠組条約」や、「生物多様性条約」、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」など予防原則を基本とする条約を批准しており、環境影響が懸念される農薬の規制においても、予防原則は重要な柱の一つと位置づけられるべきである。
以上の観点から、改正農薬取締法の運用に関して、以下、質問する。
一 第四次環境基本計画(二〇一二年四月二十七日閣議決定)は、「環境影響が懸念される問題については、科学的証拠が欠如していることをもって対策を遅らせる理由とはせず、科学的知見の充実に努めながら、予防的な対策を講じるという「予防的な取組方法」の考え方に基づいて対策を講じていくべきである」としている。改正農薬取締法第四条に定める農薬の登録拒否事由として、「被害が生じるおそれがあるとき」、「被害が著しいものとなるおそれがあるとき」等が挙げられているが、これらの「おそれ」の有無は前記第四次環境基本計画にいう「予防的な取組方法」によって判断されるのか。
二 EUでは、予防原則に基づき、浸透性があるネオニコチノイド系農薬について暫定的に使用を禁止し、科学的な評価を行った結果ネオニコチノイド系農薬の使用を全廃(温室内を除く。)することとした。改正農薬取締法では、法の目的に、農薬の品質の適正化だけでなく、安全性の確保も含まれた。有害性の評価により有害性が明らかになるまで農薬の使用を認めるのではなく、「予防的な取組方法」として、有害性の評価が終わるまで暫定的に農薬の使用を制限できるよう省令や少なくとも指針で定めるなど、改正農薬取締法の運用のしくみを検討するべきではないか。
三 ネオニコチノイド系農薬は、すでにEU以外の多くの国でも使用が規制されているにも関わらず、日本ではいまだに使用が規制されていない。日本と欧州の農法の違いは以前から指摘されていたが、ネオニコチノイド系農薬についてのリスク評価をこれまで行ってこなかった理由を、EU以外のネオニコチノイド系農薬の使用を規制した国々との比較から明らかにされたい。
四 政府が承知している、国内におけるネオニコチノイド系農薬についてのリスク評価に資する調査や研究について、その内容の概要を明らかにされたい。
五 最新の国際的な科学的知見では、農薬に発達神経毒性や、発達免疫毒性、内分泌かく乱作用があることが指摘されていると承知している。具体的にはEUにおいて、内分泌かく乱作用がある物質を含む農薬の有効成分は、閉鎖された系やヒトとの接触を排除した条件で使用され、かつ食品及び飼料中の残留物が〇・〇一㎎/㎏を超えない場合に限って、承認がなされる。
平成三十年六月七日の参議院農林水産委員会において農林水産省から「試験要求として発達性神経毒性試験を追加する検討を始めている」旨の答弁があったところだが、発達免疫毒性、内分泌かく乱も含め、試験成績を提出するよう製造業者に対して求めていくことについて、現在の検討状況を明らかにされたい。また、試験成績からどのように規制対象の農薬を特定するかについても、現時点での検討状況を明らかにされたい。
六 改正農薬取締法に定められた農薬の安全性等の再評価の実施にあたっては、EUにおいて規制対象となっているネオニコチノイド系の三農薬(イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム)については使用量が比較的多いことから、優先的に再評価を行うということが、前記参議院農林水産委員会における農林水産大臣の答弁や、本年七月六日の農林水産大臣の記者会見で言及された。再評価については、おなじネオニコチノイド系農薬で前記三農薬よりも使用量がはるかに多く、かつ有用生物への影響等が懸念されるジノテフランも優先的に再評価を行うと理解してよいか。
七 農林水産省消費・安全局長及び環境省水・大気環境局長通知「住宅地等における農薬使用について」は、前記参議院農林水産委員会において私が指摘したように、地方公共団体やその委託を受けて農薬を使用する自治会や事業者にその存在が十分周知されておらず、まだまだ農薬の危険な使用方法が絶えない。同通知内容の実施を徹底するために、同通知内容を省令化するべきではないか。
右質問する。
政府答弁書
一について
農薬取締法の一部を改正する法律(平成三十年法律第五十三号。以下「改正法」という。)による改正後の農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号。以下「法」という。)に基づく農薬の登録又は再評価等に当たっては、環境基本計画(平成三十年四月十七日閣議決定)に示されている「「予防的な取組方法」の考え方」も踏まえて、法第四条第一項各号に掲げる場合に該当するかどうかについて審査を行い、その結果に応じて、農薬の登録の拒否、登録の内容の変更又は登録の取消しを行うこととなる。
二について
法第九条第三項においては、農林水産大臣は、再評価を行った場合のほか、現に登録を受けている農薬について、農作物、人畜又は動植物等に害を及ぼすおそれがあると認める場合には、農薬の登録の内容の変更又は登録の取消しを行うことができることとされている。農林水産大臣は、農薬製造者から報告を求めること等により、農薬の安全性に関する科学的知見の収集、整理及び分析を行った上で、必要と認められる場合には、迅速かつ適切にこれらの措置を講ずることとしている。
三について
お尋ねの「EU以外のネオニコチノイド系農薬の使用を規制した国々」が必ずしも明らかではないため、我が国との比較は困難であるが、欧州委員会においてネオニコチノイド系農薬の屋外での使用の禁止が決定された理由である蜜蜂への影響については、我が国では、農薬の登録の審査において、当該影響に関する試験成績の提出を求め、審査を行っている。また、国内における農薬が原因と疑われる蜜蜂の被害事例を調査し、その結果を踏まえて、農薬使用者と養蜂家との間の情報共有及び農薬散布時の蜜蜂の巣箱の退避等の被害軽減対策を講じているところである。
四について
「リスク評価に資する調査や研究」を網羅的に把握することは困難であるが、例えば、農林水産省が平成二十八年七月に公表した「蜜蜂被害事例調査」によると、農薬が原因と疑われる蜜蜂の被害事例の数は、平成二十七年度には五十件であり、被害の多くは水稲を害するカメムシを防除する時期に発生していた。
五について
農薬の登録申請時又は再評価時に提出すべき試験成績に発達神経毒性に関する試験成績を追加することについては、現在、関係府省が連携して検討を進めているところである。発達免疫毒性及び内分泌かく乱に関する試験成績を追加すべきかどうかについては、今後、関係府省が連携し、これらに関する科学的知見及び国際的動向を踏まえて、検討することとしている。なお、全ての農薬は法の規制の対象であるため、お尋ねの「試験成績からどのように規制対象の農薬を特定するかについて」は、その意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。
六について
改正法の施行の際現に登録を受けている農薬と同一の有効成分を含む農薬の再評価は、国内での使用量が多い農薬から優先的に実施することとしており、御指摘のジノテフランを含む農薬については、国内での使用量が多いことから、優先的に再評価を行うこととしている。
七について
住宅地等において農薬を使用する場合の農薬の飛散防止措置については、既に、法第二十五条第一項の規定に基づく農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(平成十五年農林水産省・環境省令第五号)第六条に規定されており、御指摘の通知は、その措置の具体的内容を定めているものである。農薬の安全かつ適正な使用の確保を図るためには、当該省令及び通知の内容が農薬使用者に理解されることが重要と考えており、都道府県による研修、農林水産省等が毎年実施している農薬危害防止運動等の機会を通じて、周知徹底に努めているところである。
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