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引揚者問題に関する質問主意書

参議院 第2回 第44号

提出者
参議院
提出日
1948年3月29日
内閣転送 1948年3月31日
答弁書受領日
1948年4月6日
提出から8日
答弁の項目数
0
質問 962字/答弁 632字

質問本文

一、「引揚者問題」とは、一は敗戦の結果国土の狭少化と引揚人口の増加によつて生じた人口問題であり、二は戦争犠牲の過重負担による不均等の合理的処理問題であると考えるが、政府は「引揚者問題」を如何に認識しているか。

二、引揚者は物質的に考えるとA級戦犯者よりも比較にならぬ程の苛酷なる待遇を受けているのである。従つて引揚者は老若男女を問わず、一人一人がA級戦犯者以上に責任を追求されている結果になつているが、これは甚だ不合理であり、民主革命完成のための最大の禍根となつていると思うが、政府の見解は何うか。

三、従来の政府は、引揚者問題を処理するに当つて、国民平等無差別待遇ということを信条として、引揚者の特別扱いを避けて来た。これは決して平等無差別待遇ではなくして、差別不平等待遇の結果となつているのが現実である。「引揚者問題」は第一項に述べた通り、敗戦の結果生じた重大問題であつて、引揚者を特別な取扱いをし、一日も速かに正常なる国民生活に復帰せしむべきである。国会はこのために特別委員会を設けたのであるが、政府もこれに同調し「引揚者問題」を特別に取扱いこれが救済をなすべきであると信ずるが、政府の所信如何。

四、「引揚者問題」は最も重大且緊要な問題であつて、労働問題とその比重において異なるところがないのみならず、より緊急を要する問題である。労働問題のために中央労働委員会が設置されているが、団体交渉権も生存擁護のための罷業権も持たない引揚者の問題を処理するために強力なる行政機関(例えば引揚者等戦争犠牲者対策委員会等)を設置することの必要が、特に今日の情勢において痛感されるが政府にその用意ありや。

五、芦田総理大臣は施政方針演説において、引揚同胞の救済に努力すると約束されたが、全国の引揚同胞が、その自立更生と救済について政府に要望しているところは政府の十二分に承知しているところである筈だが何うか。

その要望に対して対策を持つておられることと思うが、その抱懐されるところの対策(即ち総理大臣が約束されんとする救済対策)の大綱について承り度い。

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参議院の原文・経過

政府答弁書

敗戦により海外より引揚げて来られた引揚者、復員者は現在までのところ五百八十余万名の多数に達して居り、尚海外残留の七十五万名の引揚が完了いたしますれば総計六百五十万余名と相成りその重大性につきましては、洵に御指摘の通りでありまして、政府といたしましてもかねてより大いに関心をもつているところであります。而してこれらの引揚者は何れも或は永く海外にあつて粒々辛苦の生活をされ或は家族を置いて異境に転戦された方々でありまして、その並々ならね御労苦に対しましては深甚なる御同情を禁じ得ないのであります。殊に敗戦の結果国土の荒廃の著しい現在内地に定着後もその大部分は不安なる生活を続けられていることと存じその対策の緊要さを痛感いたしているのであります。かかる観点から政府におきましては夙に引揚援護院を設置いたしまして、引揚者の応急援護並に検疫及び定着援護に対する中心機関といたしているのでありまして必ずしも形式的な無差別平等に捉われているものではないことを御了承頂きたいのであります。又国会におかれましても本問題のため特別委員会を設置されて特に御審議願つていることは洵に感謝に堪えないところでありまして今後とも益々御忠告を頂戴いたしまして本対策の充実に努めたいと思うのでありますが目下のところ今年度におきましては上陸地における被服類の増加支給応急援護金の増額並に定着地における生業資金の充実無縁故者住宅の増設等に努力いたして引揚同胞各位の要望に応える心組で居る次第であります。

参議院の原文

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