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ローマ教皇の核廃絶演説に対する政府の受け止めに関する質問主意書
参議院 第200回 第78号
質問本文
フランシスコ・ローマ教皇は、日本各地でミサやスピーチを行い、力強いメッセージを発信したのち、本年十一月二十六日、帰国した。
教皇は、「核兵器なき世界」に向けてすべての人が「一致団結」すること、また、特に若い世代に対しては、他者と命を分かち合うことの大切さを説いた。教皇の訪日の意義はとても大きいものと考えられる。
同月二十四日、教皇は被爆地の広島、長崎で行った演説で、「核兵器を所有することは、平和の望みへの最良の答えではない」、「核戦争の脅威で威嚇しながら平和を提案できるのか」と指摘し、特に核兵器による「抑止力」を強く否定した。また、武器開発を「テロ行為」と糾弾し、「戦争のための原子力使用は犯罪」と言い切った。
時事通信によると、長崎大学核兵器廃絶研究センター長の吉田文彦氏は「ここまで強い表現での核兵器批判はあまり目にしない。それを爆心地で言ったのはかなりの決意を持っているからだ」と指摘した。
教皇はカトリックの最高指導者であるとともに、バチカンの国家元首でもある。バチカンは核兵器禁止条約を最初に批准した三カ国の一つである。核兵器禁止条約の発効には五十カ国の批准が必要だが、現時点で批准国は三十三カ国にとどまっている。日本を含む多くの国がロシアと並ぶ核大国である米国の「核の傘」に依存している実情があり、日本も核兵器禁止条約を批准していない。
同月二十五日、菅官房長官は記者会見で、教皇が重視する核兵器禁止条約について「核を含めた米国の抑止力を維持・強化していくことが現実的で適切な考え方」と発言し、その批准に否定的な見解を示した。教皇はその後、安倍総理と会談したが、「核なき世界」の実現をめぐる両者の溝は埋まることはなかったと承知している。
右を踏まえて、以下質問する。
一 バチカンの国家元首でもある教皇の核廃絶を求める演説にかかわらず、「核を含めた米国の抑止力を維持・強化していくことが現実的で適切な考え方」という政府の方針は変わらないという理解でよいか。
二 教皇の「核兵器を所有することは、平和の望みへの最良の答えではない」との演説に対する政府の見解如何。
三 前記一及び二に関連して、「核を含めた米国の抑止力を維持・強化していくこと」は、教皇のいうところの「最良の答えではない」としても、次善策であり、現実的な安全保障政策上の選択肢であると政府は考えているという理解でよいか。
四 前記一から三を踏まえ、日本が核兵器禁止条約の批准を現時点では考えていないことに変わりはないのか。政府の見解如何。
右質問する。
政府答弁書
一から三までについて
我が国は、唯一の戦争被爆国として核兵器使用による惨禍を二度と繰り返してはならないと考え、核兵器のない平和で安全な世界の実現を目指した取組を粘り強く行ってきている。一方、現実の国際社会においては、いまだ核戦力を含む大規模な軍事力が存在しており、そのような厳しい安全保障環境の下で我が国として安全保障に万全を期するためには、核を含む米国の抑止力に依存することが必要であると考えている。我が国としては、核兵器のない世界の実現に向けて、核兵器の非人道性と安全保障の二つの観点を考慮しながら、現実的かつ実践的な核軍縮のための措置を着実に積み上げていくことが重要であると考えている。
四について
我が国は、核兵器禁止条約が掲げる核兵器廃絶という目標は共有している。一方、同条約は、その交渉に当たりいずれの核兵器国等の参加も得られず、また、現実の国際社会における安全保障の観点を踏まえて作成されたものとはいえないことから、核兵器国のみならず、核の脅威に晒されている非核兵器国の支持を得られていない。現実の国際社会においては、いまだ核戦力を含む大規模な軍事力が存在しており、そのような厳しい安全保障環境の下で我が国として安全保障に万全を期するためには、核を含む米国の抑止力に依存することが必要である。我が国としては、核兵器のない世界の実現に向けて、核兵器の非人道性と安全保障の二つの観点を考慮しながら、現実的かつ実践的な核軍縮のための措置を着実に積み上げていくことが重要であると考えている。こうした我が国の立場は、同条約の考え方とは異なるものであることから、同条約に署名する考えはない。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。