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六ヶ所再処理工場に関する質問主意書

参議院 第204回 第18号趣旨が明らかではない ×2

提出者
参議院
提出日
2021年2月17日
内閣転送 2021年2月24日
答弁書受領日
2021年3月2日
提出から13日
答弁の項目数
9
質問 3,276字/答弁 2,621字

質問本文

福島原発事故からまもなく十年になろうとしている。当時、総理大臣であった菅直人氏は「いくつかの幸運な偶然という「神のご加護」があって、紙一重で東京を含む五千万人の避難が必要となる最悪の事態は回避されました。」、「日本という国が成り立たなくなるという、本当の意味での恐怖を感じました。」と著書で述べている。

昨年七月二十九日、原子力規制委員会は日本原燃株式会社六ヶ所再処理工場の事業変更を許可した。しかし、私は、原発を遥かに上回る放射能を有し、その複雑なプロセスにより更に危険性が高い再処理工場の安全について危惧をしている。適合性審査においては「未審査の事項」や「技術的能力に関わる評価」等についての審査が不十分であったと考える。また、今後行われる「使用前事業者検査」やその後の国による「確認」についても、二〇一一年の原発事故前の使用済燃料の再処理の事業に関する規則(以下「再処理規則」という。)第六条の二(性能の技術上の基準)が二〇一二年に削除され、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「原子炉等規制法」という。)第四十六条(使用前検査)が二〇一七年に同法第四十六条(使用前事業者検査等)へと変更されるなど段階的に大きく変更されており、国の責任ある公正で厳重な審査が行われるのか不安の声が聞かれている。

この国で原子力施設において二度と重大事故を発生させないために、徹底した規制の強化を求め、以下質問する。

一 新規制基準適合性審査

1 「重大事故」として、「冷却機能の喪失による蒸発乾固」が挙げられている。二〇二〇年五月十三日第五回原子力規制委員会資料一―二の三十一ページに、蒸発乾固の定義として、「高レベル廃液等の冷却機能が喪失した場合に、高レベル廃液等の沸騰により溶液中の水分が蒸発し、やがて水分が無くなり、最終的には溶質が乾燥・固化に至るまでの一連の現象をいう。」とあるが、あたかも乾固し、事故が収束するかのようである。

高レベル廃液が蒸発乾固後含有核種の自己崩壊熱により溶融、そして揮発、さらに場合により硝酸塩爆発により環境へ放射性物質が拡散する事態こそ想定されるべき重大事故なはずである。また、蒸発乾固で収束するのならば高レベル廃液のガラス固化は不要になると考えられるが、これらの点について政府の見解を示されたい。

2 一九七七年一月十五日の毎日新聞で「核再処理工場の重大事故」として報じられた旧西ドイツ政府のシミュレーションや一九五七年九月実際に起きた再処理施設の大事故「ウラルの核惨事」では蒸発乾固後の揮発や爆発によるものであった。蒸発乾固で食い止めるのでそれ以降の不都合な事象から目をそむけることは、根拠のない安全信仰による福島原発事故と同じ道をたどり始めたのと同じと考える。高レベル廃液は福島原発以上の大事故を起こす可能性があることをきちんと認識し、蒸発乾固後の対策を講じさせるべきではないか。この点についてどのような対策を講じているのか、あるいはどのような理由で講じていないのかを含めて、政府の見解を示されたい。

3 「重大事故」として、「臨界事故」が挙げられている。高レベル廃液貯槽(百二十立方メートル)や不溶解残渣廃液貯槽(七十立方メートル)には臨界量を超えるプルトニウム239(Pu比重一九・九)が含まれることが、二〇一五年十二月二十一日付けの第八十九回核燃料施設等の新規制基準適合性に係る審査会合資料二(二)の三十八ページ等により判明した。これらの貯槽で冷却が止まった場合、沸騰濃縮、乾固後の溶融時の形状により臨界を超え事故が起きる可能性があるのではないか。具体的に両貯槽について臨界の審査がなされたのか。審査された場合はその会合名と開催日時、会議録を示されたい。審査がなされていないのならば実施すべきではないか。政府の見解を示されたい。

4 二〇二〇年十二月八日、大阪地裁は大飯原発三、四号機の設置許可取消判決を下した。その判断の根拠となった国の審議判断過程の「過誤、欠落」の内容には「平均値としての地震規模をそのまま用いており、ばらつき効果を上乗せする要否の検討がなされていない」ことがあった。六ヶ所再処理工場は重大事故の外部事象として、地震の基準地震動(七百ガル)の一・二倍(八百四十ガル)を考慮し耐震設計することになっているが、これらの数値は「ばらつき効果」が配慮された数値なのか、どのような根拠により設定されたものか、見直しはされないのか、具体的な説明を示されたい。

5 重大事故の外部事象として、火山の降灰量は五十五センチメートルまで想定され、建屋は耐えることになっている。しかし、三ミリメートルの降灰で停電、十センチメートルの降灰で道路は通行不能、上下水道も処理能力や目詰まりが起こり、目、鼻、のど気管支に異常が現れると言われている。富士山では十六日間噴火が続いた例があるという。五十五センチメートルもの降灰環境下で人は生きていけるのか、実証試験が行われたのかを示されたい。

6 前記一の5で述べたような五十五センチメートルの降灰環境下では各種フィルターが目詰まりを起こし電力や水源の確保ができず、人や物資の移動もできず、高レベル廃液や使用済燃料プールの冷却が正常に行われるとはとても考えられない。非常用発電機で備蓄燃料により七日間の連続運転が可能とのことだが、二〇二〇年十一月二十七日の参議院議員会館集会の追加質問に対する原子力規制庁からの川田龍平参議院議員宛の回答書(十二月四日付)では、七日間を超えて外部電源喪失した場合、「施設外からの燃料補給等により連続運転できる」との回答であった。しかし、五十五センチメートルもの降灰環境下、燃料の輸送をどのように行うのか、冷却ができると判断した理由は実証試験に基づくものか、具体的に示されたい。

二 再処理工場規制法事業指定の改正

福島第一原発事故前の原子炉等規制法第四十六条(使用前検査)には「及び性能について経産大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、再処理施設を使用してはならない。」とあった。また、同条第二項第二号には「その性能の基準が経済産業省令で定める技術上の基準に適合するものであること」とあった。これを受けて、当時の再処理規則第六条の二(性能の技術上の基準)には、第一項から第七項まで基準が定められていた。いずれも、事業申請書及びその添付書類に記載した能力、性能や値等を満足することとされていた。

ところが、原発事故後、平成二十四年に原子炉等規制法が改正され、再処理規則第六条の二の二(性能の技術上の基準)が削除され、さらに平成二十九年に原子炉等規制法第四十六条(使用前検査)も削除されてしまい、「使用前事業者検査」に変更されている。当時の再処理規則第六条の二(性能の技術上の基準)に定められていた第一項から第七項までの基準が現行のどの規則のどこにどのように具体的に担保されているのか示されたい。もし担保されていないのならば国による公正で厳重な事業指定検査がなされず、「事業者による使用前検査」で済ませることになり、性能の技術上の基準検査の骨抜きであり、容認できない。「使用前検査」を「使用前事業者検査」に変更した趣旨も示し、見解を示されたい。

三 再処理工場の重大事故防止

1 再処理工場の重大事故として、一九五七年九月に旧ソ連で起こった「ウラルの核惨事」が銘記されなければならない。このような人々の生活を根底から覆し、難民にするような大事故を起こした場合、監督官庁である原子力規制委員会はどう責任をとるのか。見解を示されたい。

2 人々は日本原燃株式会社の従業員ともども、この国で未来永劫平和に暮らしていきたいと願っている。そのために国は絶対に再処理工場で大事故を起こさせない確固たる姿勢が求められる。福島原発事故のような人々を難民にする重大事故を絶対に二度と繰り返さない厳重審査を行う決意を示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

使用済燃料の再処理の事業に関する規則(昭和四十六年総理府令第十号)第一条の三に定める重大な事故(以下「重大事故」という。)のうち、お尋ねの「冷却機能の喪失による蒸発乾固」については、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第四十四条の四第一項の規定に基づき、日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)から平成二十六年一月七日付けでなされた、再処理事業に係る変更の許可を求める申請に対する審査(以下「本件審査」という。)において、再処理施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第二十七号。以下「事業指定基準規則」という。)及び「再処理施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈」(平成二十五年十一月二十七日原子力規制委員会決定。以下「事業指定基準規則解釈」という。)に基づき、高レベル放射性液体廃棄物(以下「高レベル廃液」という。)等の沸騰を未然に防止するための対策、高レベル廃液等の沸騰を未然に防止できなかった場合に乾燥及び固化に至ることを防止するための対策並びに高レベル廃液等の温度を低下させ沸騰しない状態を維持することで事態を収束させるための対策が有効に機能するかを原子力規制委員会で確認したものであり、御指摘のように「乾固し、事故が収束する」とは認識していない。

一の2について

本件審査は、事業指定基準規則及び事業指定基準規則解釈に基づき、高レベル廃液等の沸騰を未然に防止するための対策、高レベル廃液等の沸騰を未然に防止できなかった場合に乾燥及び固化に至ることを防止するための対策並びに高レベル廃液等の温度を低下させ沸騰しない状態を維持することで事態を収束させるための対策が有効に機能するかを原子力規制委員会で確認したものであり、御指摘の「蒸発乾固後の揮発や爆発」の対策については対象としていない。

一の3について

高レベル廃液貯槽及び不溶解残渣廃液貯槽では、臨界事故が発生しないこと及び冷却機能の喪失による蒸発乾固や放射線分解により発生する水素による爆発の発生を仮定した場合においてもこれらの重大事故から臨界事故が連鎖して発生しないことについては、令和元年九月十一日開催の第三百一回核燃料施設等の新規制基準適合性に係る審査会合を始めとする一連の会合において確認している。

一の4について

お尋ねの「「ばらつき効果」が配慮された数値」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本原燃の再処理事業所再処理施設(以下「六ヶ所再処理施設」という。)の基準地震動(七百ガル)は、敷地に大きな影響を与えると予想される地震として選定された「出戸西方断層による地震」等の「応答スペクトルに基づく地震動評価」により、各種の不確かさを考慮して策定された基準地震動の最大加速度であり、原子力規制委員会は、事業指定基準規則解釈別記二の規定に基づいて適切に策定された地震動であることを確認している。

なお、御指摘の「地震の基準地震動(七百ガル)の一・二倍(八百四十ガル)」は、事業指定基準規則第三十一条において、事業指定基準規則第一条第二項第六号に規定する重大事故等対処施設の要件として、基準地震動による地震力に対して重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものであることを規定していることに対し、申請者である日本原燃が基準地震動の一・二倍を考慮して設計するとの方針として示したものである。

一の5について

本件審査において、お尋ねの「五十五センチメートルもの降灰環境下で人は生きていけるのか」に関して、御指摘の「実証試験が行われたのか」については確認していない。

一の6について

本件審査において、お尋ねの「燃料の輸送をどのように行うのか」の具体的な手法については確認していない。また、お尋ねの「冷却ができると判断した理由は実証試験に基づくものか」については、本件審査において、日本原燃による「実証試験」の実施は確認していない。

二について

お尋ねの「当時の再処理規則第六条の二(性能の技術上の基準)に定められていた第一項から第七項までの基準」に規定されていた、安全上必要な事項については、現在、再処理施設の技術基準に関する規則(令和二年原子力規制委員会規則第九号)に規定されている。

また、原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律(平成二十九年法律第十五号)第三条の規定による原子炉等規制法第四十六条第一項の改正により、原子力規制委員会による検査(使用前検査)が使用前事業者検査へ改められたが、その趣旨は、安全確保の第一義的な責任は事業者にあるという基本的な考え方を徹底するものである。なお、同条第三項において、使用前事業者検査についての原子力規制検査により、設置又は変更の工事が認可された設計及び工事の計画に従って行われたものであること並びに原子炉等規制法第四十六条の二の技術上の基準に適合するものであることについて同委員会の確認を受けた後でなければ、再処理事業者は再処理施設を使用してはならないこととしている。

三の1について

御指摘の「一九五七年九月に旧ソ連で起こった「ウラルの核惨事」が銘記されなければならない。」及び「このような人々の生活を根底から覆し、難民にするような大事故を起こした場合、」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に六ヶ所再処理施設において事故が起きた場合、原子力災害の拡大の防止等に必要な措置の実施や原子力損害の賠償等について、その第一義的な責任は、事業者が負うこととなる。さらに、原子力規制委員会を含め、政府としても、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)等の関係法令に基づき、緊急事態応急対策等の実施のために必要な措置を講ずる等の責務を有するものと認識している。

三の2について

東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の事故のような事故を二度と繰り返さないという覚悟の下、原子力規制委員会は、最新の科学的知見や国際原子力機関等の規制基準を参考にしつつ再処理施設の規制に必要な基準を設定し、六ヶ所再処理施設がその基準に適合しているか否かを本件審査で確認したものである。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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