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経済連携協定による日本の農林水産物への影響に関する質問主意書
参議院 第204回 第91号
質問本文
安倍政権、それに続く菅政権では、TPP11協定、日EU・EPA、日米貿易協定、日英EPA、RCEP等を推進・締結し、二国間・複数国間での経済連携協定の拡大路線が継続されている。それに伴い、輸入農産品の関税の引下げ等が行われている現状がある。
菅義偉総理大臣は第二百三回国会における所信表明演説で、「世界経済が低迷し、内向き志向も見られる中、率先して自由で公正な経済圏を広げ、多角的自由貿易体制を維持し、強化していきます。日英の経済連携協定を締結し、日系企業のビジネスの継続性を確保します」と述べている。
また、菅総理は第二百四回国会の施政方針演説でも「RCEPの進展や日英包括的経済連携協定の発効は、自由で公正な経済秩序の構築に貢献しました。TPPについても、本年の議長国として、その着実な実施と拡大に向けた議論を主導してまいります」と述べている。
各経済連携協定の経済効果分析では、国内消費(民間・政府)や投資、輸出の増加がGDPにプラスに寄与し、輸入の増加がマイナスに寄与することとされ、いずれも最終的にはGDPは増加すると分析されている。
一方、我が国の農林水産物の輸入額は輸出額のおよそ十倍に上ることから、各経済連携協定により輸出入が促進された場合、農林水産業には輸出増加によるプラス以上に、輸入増加によるマイナスの影響が及ぶことが想定される。
各経済連携協定に関する政府の農林水産物に係る影響試算では、「特段の影響はない」か「国内対策により国内生産量が維持される一方、関税削減等による価格下落で生産額が減少する」との結論が示されている。しかし、その根拠となる貿易協定によるマイナス及び国内対策によるプラスの影響は明らかにされていない。
近年合意・発効した経済連携協定はメガFTAとも呼ばれる大規模なものであって国民生活へ及ぼす影響は大きく、国民への情報提供や第三者による検証を可能とする観点から、農林水産物におけるメリットとデメリット、そして対策により想定される効果について明示するべきである。
これらを踏まえ、以下、政府に質問する。
一 各経済連携協定に関する政府の農林水産物に係る影響試算は、いずれも「国内生産量に影響はない」こととしている。その理由として「関税削減等の影響で価格低下による生産額の減少が生じるものの、国内対策により農家所得が確保されるため、生産が維持される」ことを挙げているが、国内対策を考慮しない場合の生産量及び生産額への影響と、国内対策に見込まれる効果を明示されたい。また、影響がないとする理由に「重要五品目を除外」、「締結済みのEPAと同水準の関税撤廃率」、「長期の関税撤廃期間の確保」等を挙げる場合、なぜそのことにより「影響がない」こととなるのか、説明されたい。
二 令和二年一月一日の日米貿易協定発効後、令和二年度において米国からの牛肉の輸入量が増加した結果、令和三年三月十八日から四月十六日まで三十日間、日米貿易協定に基づくセーフガードが発動された。政府は、米国産牛肉の輸入が増加しセーフガードの発動要件を満たすに至った理由について、日米貿易協定による関税引下げの影響と判断しているのか、判断していないのか。また、そのように判断する理由は何か。
三 各経済連携協定について、協定が合意等された時点における日本の農林水産物への影響試算は公表されているが、貿易環境の変動を踏まえて試算を更新するべきである。特に、近年合意・発効した経済連携協定等はメガFTAとも呼ばれる大規模なものであって国民生活へ及ぼす影響は大きいことから、各経済連携協定による影響の合計を示すべきである。再度試算する考えはないのか伺う。
右質問する。
政府答弁書
一について
前段のお尋ねについては、農林水産物の生産額及び生産量への影響を試算する場合には、現実に起こり得る影響を試算すべきものと考えており、各経済連携協定等自体の発効による効果だけでなく、国内対策の効果も併せて考えることが適切であると考えている。このため、国内対策を講じない場合の試算を行うことは現実に起こり得ることとは異なる場合の試算を行うこととなることから、このような試算を行うことは考えていない。
また、後段のお尋ねの趣旨が必ずしも明らかでないが、仮に地域的な包括的経済連携協定(以下「本協定」という。)についてのお尋ねであれば、本協定については、御指摘の「重要五品目」を関税削減及び撤廃から除外していること、関税撤廃率は近年締結された二国間の経済連携協定並みの水準であること、譲許した品目についても用途や価格面ですみ分けができていたり、締結済みの経済連携協定と同水準の関税率であること、多くの品目で長期の関税撤廃期間が確保されていること等から、国内農林水産業への特段の影響はないと考えており、影響試算を行う予定はない。
二について
日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定(令和元年条約第十号)及び関税暫定措置法(昭和三十五年法律第三十六号)第七条の八第一項の規定に基づき牛肉のセーフガードが令和二年度に発動した理由については、同年度の我が国の牛肉輸入量は対前年度比で五パーセントの減となっていた中で、米国と並ぶ我が国の牛肉の主要な輸入先国であるオーストラリアにおいて、平成三十年から令和元年までにかけて発生した干ばつの影響により減少した牛の飼養頭数の回復を図るため牛肉輸出量が減少し、令和二年度の我が国のオーストラリア産牛肉輸入量が対前年度比で十二パーセントの大幅な減となり、これを補う形で米国産牛肉が輸入されたことが主な要因であると考えている。
このため、同協定発効による関税の引下げの影響が牛肉のセーフガードが令和二年度に発動した主な要因であるとは考えていない。
三について
経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(平成三十年条約第十五号)、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(平成三十年条約第十六号)及び日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定それぞれに係る農林水産物への影響試算は、各協定を提出した国会における審議に資するよう、その協定についてその審議の時点でのデータに基づき算出したものであり、これらを合計することを含め再度の試算を行う考えはない。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。