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日本の水道事業の民営化・外資開放への懸念に関する再質問主意書
参議院 第213回 第151号お答えすることは困難 ×1
質問本文
私が提出した第二百十三回国会質問第一一〇号に対して、答弁書(内閣参質二一三第一一〇号。以下「本件答弁書」という。)が送付された。
本件答弁書によれば、「コンセッション方式」による水道事業の民間委託を導入するメリットは、「水道施設の老朽化、人口減少による水道料金の収入の減少等が懸念される中で、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用することにより、水道の基盤の強化が図られる」との答弁であった。他方、デメリットとしては、水道料金の急激な上昇、水質の低下、給水体制の脆弱化、災害時における継続性の確保の懸念が挙げられており、それぞれについて法的枠組みを設定するなどして対応することとなっているとの答弁であった。
この点、単純に民間に任せればすべてうまくいくというわけでないことは、海外の例を見ても明らかである。つい先日も、イギリスのデボンで、水道管の劣化が原因で寄生虫が検出され、安全に水の飲用ができない状態となった水道事業運営を行っていた「サウス・ウェスト・ウォーター」の親会社が株主への配当金を増配したことで、批判が殺到し、民営化は失敗だったと評されている(令和六年五月二十一日ガーディアン紙)。
また、令和六年四月十一日の日経新聞でも、イギリスで水道事業と下水事業を手掛ける「テムズ・ウオーター」の親会社が債務不履行に陥り、資金不足に陥る懸念が報じられている。この事態により、英国の人口の四分の一が利用する生活インフラに支障が出る可能性があるとされている。
このように、諸外国では、民営化の失敗事例によって、再公営化の動きも見られる。我が国でも、同様の問題が発生しないという保証はない。
以下質問する。
一 本件答弁書の一について
1 本件答弁書でメリットとして掲げられた「民間の資金、経営能力及び技術的能力」により、具体的に、何がどのように、どの程度、従前より改善されるのか示されたい。
2 本件答弁書では、デメリットについては、それぞれについて法的枠組みを設定するなどして対応することとなっているとの答弁であった。具体的にどのような法的枠組みを設定しているか。また、政府としては、これらの枠組みが実効性を持つようにするため、また、これらの懸念がないことを担保するために、どのような方策を講じるか示されたい。
3 水道料金の急激な上昇とは、具体的にどの程度の期間で、どの程度の料金の上昇を指すか。
4 民営化された施設における水道料金と、公営化を継続している自治体における水道料金の設定額について、地域差が生じることとなると思われるが、これに対する政府の見解を示されたい。また、この地域差がさらに拡大するような料金設定になる可能性について、政府の見解を示されたい。
二 本件答弁書の二について
本件答弁書によれば、外国企業が水道施設運営権者に一定以上の出資を行うことによるリスクや「経済安全保障上の観点からの得失」については、政府として特段検討を行っていないとのことであったが、政府は、ライフラインである水道基盤の運用を外国企業が担うことについて、経済安全保障上のリスクはないと考えているのか。
水道事業の民間委託導入にあたり、政府は、安全保障上のリスクについてどのような分析・検討を行ったか示されたい。
三 本件答弁書の四について
本件答弁書によれば、関係法令の規定により、清浄かつ豊富低廉な水の安定供給が確保されるためリスクを想定しておらず、また、官民連携の推進等による水道基盤の強化を図ったため問題はないとのことである。しかし、前述の例のように、諸外国では、民営化による問題が発生しており、このような不測の状況が我が国でも生じないとも限らない。万が一に備え、リスクを想定した方策を講じる必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
お尋ねについては、水道施設運営等事業(水道法(昭和三十二年法律第百七十七号。以下「法」という。)第二十四条の四第一項に規定する水道施設運営等事業をいう。以下同じ。)の内容やその業務の範囲が個々の事例により異なるものであり、一概にお答えすることは困難であるが、例えば、水道施設運営権(同項に規定する水道施設運営権をいう。以下同じ。)の設定により、民間の知見を効果的に活用することで、ポンプ設備に係る情報通信機器の導入による業務の効率化や消費電力を抑制できる施設への更新による必要経費の削減等が行われることにより、水道施設の運営に係る費用が削減されると考えている。
一の2について
前段のお尋ねについては、先の答弁書(令和六年四月二十三日内閣参質二一三第一一〇号。以下「前回答弁書」という。)一についてでお答えしたとおりである。
後段のお尋ねについては、前回答弁書一についてでお答えした法を始めとする関係法令の規定の内容等について、「改正水道法等の施行について」(令和元年九月三十日付け薬生水発第〇九三〇第一号厚生労働省医薬・生活衛生局水道課長通知。以下「施行通知」という。)等において都道府県等に対して周知を行うとともに、水道施設運営等事業が適切に行われるよう、「水道事業における官民連携に関する手引き」(平成二十六年三月同省健康局水道課作成、令和六年三月同省健康・生活衛生局水道課改定。以下「手引き」という。)を作成して、水道事業者(法第三条第五項に規定する水道事業者をいう。以下同じ。)である地方公共団体への支援を行っている。
一の3について
お尋ねの「水道料金の急激な上昇」については、前回答弁書一についてにおいて、水道施設運営等事業が適切に行われない場合に想定されるデメリットの一つとして例示したものにすぎず、特定の「期間」及び「程度」を想定したものではない。
一の4について
お尋ねについては、御指摘の「地域差」については、水道施設運営権の設定の有無よりも、それぞれの地域における原水の質の差、地理的条件の差等の様々な要因により生ずるものであると考える。
二について
前段のお尋ねについては、国土交通大臣は、水道事業者である地方公共団体から、法第二十四条の四第一項の規定に基づき、水道施設運営権の設定の許可の申請があった場合には、水道施設運営等事業を実施しようとする者が外国企業か国内企業かにかかわらず、当該申請が法第二十四条の六第一項各号のいずれにも適合していると認められるときでなければ、水道施設運営権の設定の許可を与えてはならないとされている。また、同大臣は、法第二十四条の四第三項に規定する水道施設運営権者が法又は法に基づく命令の規定に違反した場合には、法第二十四条の十二の規定に基づき、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号)第二十九条第一項第一号(トに係る部分に限る。)に掲げる場合に該当するとして、水道施設運営権を設定した水道事業者である地方公共団体に対して、同項の規定による処分をなすべきことを求めることができるとされている。これらの規定により、法第三条第二項に規定する水道事業の適正かつ確実な実施が図られることから、政府としては、外国企業が水道施設運営等事業を実施することによってお尋ねの「経済安全保障上のリスク」が生ずるとは考えていない。
後段のお尋ねについては、水道法の一部を改正する法律(平成三十年法律第九十二号。以下「一部改正法」という。)による法改正時においては、御指摘の「安全保障上のリスク」について、政府として特段分析及び検討を行っていない。
三について
お尋ねについては、海外の事例も参考に、一部改正法等により、官民連携の推進等による水道の基盤の強化を図ったところであり、また、一部改正法の内容等について、施行通知等において都道府県等に対して周知を行うとともに、水道施設運営等事業が適切に行われるよう、手引きを作成して、水道事業者である地方公共団体への支援を行っているところである。