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オーバーツーリズム対策に関する質問主意書
参議院 第214回 第5号お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×3個別の事案 ×2
質問本文
近年、日本への訪日外国人旅行者は増加傾向にあり、コロナ禍で一時的に減少したものの、おおむねコロナ前の水準まで回復している。従来、政府はインバウンド政策を推進しており、日本経済への貢献や日本の認知度向上など、プラスの効果が期待される側面もある。しかし、同時にオーバーツーリズムと呼ばれる弊害も顕著になっている。訪日外国人旅行者の著しい増加により、国民生活、自然環境や景観に対する負の影響(渋滞、混雑、マナー違反など)が深刻化している。
GDP全体から見れば、訪日外国人旅行者による旅行消費額はGDP全体の一%未満であり、インバウンドによる経済効果は限定的である。このため、オーバーツーリズムによるマイナス面が大きくなるのは割に合わず、社会的コストが経済効果を上回れば本末転倒である。また、訪日外国人旅行者の流れは二国間関係や国際環境などの外的要因に左右されやすく、過度な依存は日本経済の安定的な発展にとってリスクとなる。
観光業の大部分が日本人の国内旅行に依存していることを考慮すれば、対策が日本人の観光を阻害するべきではない。訪日外国人旅行者の旅行消費額は全体の五分の一未満であり、日本人のレジャーや娯楽を重視する必要がある。例えば、宿泊税を国内外問わず一律に引き上げることは、既に増大している税負担を更に増やし、国民に過剰な負担を強いるため、慎重にすべきである。
他方、二〇二四年七月十九日の観光立国推進閣僚会議において、岸田内閣総理大臣は、「全国三十五カ所の全ての国立公園において(中略)、国立公園制度百年を迎える二〇三一年までに、地域の理解と環境保全を前提に、世界水準のナショナルパーク化を実現すべく、民間活用による魅力向上事業を実施していただきたい」と述べ、高級リゾートホテルの誘致を含めた方針が示された。しかし、自然公園法は「優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与すること」を目的としている。国立公園内に大規模な宿泊施設を誘致することは、自然環境や景観の破壊を引き起こす可能性がある。また、外資系ホテルが日本の奥地にまで進出することについて、安全保障上の懸念も指摘されている。
さらに、観光などの短期滞在ビザが免除された外国人が、日本入国後に失踪、不法滞在や不法就労に至るケースや、根拠の薄い難民申請を繰り返す現象も発生している。テロ防止も重要な課題であり、訪日外国人旅行者を受け入れる際には、これらのリスクを十分に考慮する必要がある。
以上を前提に、以下質問する。
一 岸田首相は二〇三〇年に訪日外国人旅行者数六千万人、旅行消費額十五兆円を目指す目標を掲げているが、現在の訪日外国人旅行者数は、二千五百万人である。目標達成のためには、五年程度で約三倍にする必要があるが、オーバーツーリズム対策は十分に取れると考えているか。また、これまでの対策の実績と効果をどのように評価しているか。
二 インバウンド政策において、旅行消費額の増加などプラス面にのみ焦点を当てていないか。社会的・経済的コストや、インバウンドに過度に依存するリスクを十分に検討し、必要な試算を行っているか。
三 オーバーツーリズム対策を進める上で、特に日本人の国内観光への影響について、どのように配慮しているか。また、日本人旅行者が影響を受けないような施策が検討されているか。
四 国立公園内に大規模宿泊施設を誘致する計画があるが、これに伴う自然環境や景観保護については、どのような対策を講じているか。外資による施設建設が進む中、外国人による土地取得に対する規制が不十分な現状において、安全保障上のリスクをどのように考えているか。
五 観光地の環境保護、インフラ維持、地域振興を目的に、訪日外国人旅行者に対して、国立公園や文化財、特定の観光施設での入場時に追加料金を徴収し、その収益を観光地の保全や地域社会への還元に充てることは可能か。制度の導入について政府の見解を示されたい。
六 二〇二四年四月二十四日の衆議院国土交通委員会において、政府は、乗り合いバスの運賃設定について、人種や性別などによる差別的取扱いが禁じられており、インバウンドと他の利用者で異なる運賃を設定する際は、目的と手段の適切性を個別に判断すべき旨の答弁をしている。この点、定住外国人を除く外国人旅行者に対し、他の利用者より高い運賃を設定し、その上乗せ分をオーバーツーリズム対策に限定して使用する場合でも、道路運送法における差別的取扱いに該当するか。また、合理的な政策目的に基づく二重価格設定は、一般的に差別的取扱いに該当するか政府の見解を示されたい。
七 短期滞在ビザ免除の外国人による不法滞在や不法就労に対する対策として、現在どのような取組が進められているか。また、日本版電子渡航認証制度の検討状況及び導入の見通しについて示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「オーバーツーリズム対策」については、「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」(令和五年十月十八日観光立国推進閣僚会議決定。以下「パッケージ」という。)を取りまとめるとともに、令和五年度補正予算において、「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」を措置し、観光客へのマナー啓発等の地域における意欲的な取組について、総合的な支援を開始したところであり、政府としては、観光客の受入れと住民の生活の質の確保の両立が図られるよう、引き続き、必要な対策に取り組んでまいりたい。
また、お尋ねの「実績」については、令和六年三月以降、御指摘の「オーバーツーリズム対策」に先駆的に取り組む二十六のモデル地域を選定し、支援を開始したところであり、お尋ねの「効果」については、現時点でお答えすることは困難である。
二及び三について
お尋ねの「社会的・経済的コスト」、「インバウンドに過度に依存するリスク」、「必要な試算」、「日本人の国内観光への影響」及び「日本人旅行者が影響を受けないような施策」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、「観光客が集中する一部の地域や時間帯等によっては、過度の混雑やマナー違反による地域住民の生活への影響や、旅行者の満足度の低下への懸念も生じている状況であり、適切な対処が必要」との考えの下、令和五年十月十八日にパッケージを取りまとめたところであり、一についてで述べたとおり、引き続き、必要な対策に取り組んでまいりたい。
四について
前段のお尋ねについては、御指摘の「国立公園内に大規模宿泊施設を誘致する計画」の有無を問わず、政府としては、自然の風景地の保護等を目的として、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)第二十条第三項第一号、第二十一条第三項第一号及び第二十二条第三項第一号の規定に基づき、国立公園内における工作物の新築、改築又は増築に対して適切に規制を行っている。
後段のお尋ねについては、お尋ねの「安全保障上のリスク」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和三年法律第八十四号)第五条第一項に規定する注視区域内については、国立公園の区域も含め、重要施設及び国境離島等に対する機能阻害行為を防止するべく、関係法令の規定に基づき、適切に対応してまいりたい。
五について
御指摘の「特定の観光施設」及びお尋ねの「制度」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として、例えば観光の用に供される施設の入場料金の額及び当該料金の使途については、当該施設の管理者が判断するものであり、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。
六について
お尋ねについては、令和六年五月十三日の衆議院決算行政監視委員会第四分科会において、石原国土交通省公共交通政策審議官(当時)が「道路運送法において、特定の旅客に対して不当な差別的取扱いをすることを禁じております。どのような運賃が不当差別となるかについては、個別の事案ごとに判断することになります」と答弁したとおりであり、お尋ねの「道路運送法における差別的取扱いに該当するか」及び「一般的に差別的取扱いに該当するか」については、個別の事案に応じて判断されるべきものと考えており、一概にお答えすることは困難である。
七について
前段のお尋ねについては、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第六条第三項の規定に基づき、本邦に上陸しようとする外国人(乗員を除く。)は、査証が免除される者かどうかにかかわらず、入国審査官に対し、同項に規定する個人識別情報を提供することが義務付けられており、出入国在留管理庁においては、過去に退去強制されたことがありながら偽変造旅券等を行使して不法入国しようとする者等を発見できるようになっている。また、入国審査官による上陸審査においては、同庁が保有する慎重な審査を要する人物のリストと照合を行う等の厳格な審査に努めている。これらの水際対策に加えて、関係機関が緊密に連携を図り、不法就労者、不法滞在者等の取締り等に取り組んでいるところである。
後段のお尋ねについては、令和六年六月二十一日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針二〇二四」において「円滑・厳格な審査に向けた電子渡航認証制度導入の準備」に取り組むこととしており、諸外国の制度について情報を収集する等、導入に向けた検討を行っており、訪日外国人旅行者数について令和十二年に六千万人を目指すという政府目標を踏まえて、適切な時期に導入したいと考えている。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×3個別の事案 ×2
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。