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旅館業法における簡易宿所の課題に関する質問主意書
参議院 第221回 第22号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×1承知していない ×6検討してまいりたい ×1
質問本文
インバウンド(訪日外国人観光)を推進する上で、地域住民の安心・安全の確保は、持続可能な観光地づくりにおける最も重要な前提条件の一つである。地域社会との共生なくして、長期的な観光振興は成り立たないと考える。
観光客の増加は地域経済の活性化に貢献する一方、交通渋滞、公共交通機関の混雑、ゴミのポイ捨て、騒音、マナー違反といった「オーバーツーリズム(観光公害)」の問題を引き起こす可能性が指摘されている。これらの問題は住民の生活に大きな負荷を掛け、観光に対するネガティブな感情や排他的な姿勢を生み出す原因となる。そのため、政府は、改めて地域住民の生活をより丁寧に考慮した長期的な観光振興政策を考えるべきだと認識している。
これらのことについて、以下質問する。
一 マンションの一室や住宅地の戸建てで宿泊業を営む場合、民泊、特区民泊又は簡易宿所という三種類の営業方法が存在すると認識している。民泊は住宅宿泊事業法(平成二十九年法律第六十五号)に基づく届出制であり、年間営業日数の制限や、営業開始前の周辺住民への説明、周辺住民から苦情があった際の深夜早朝問わずの対応、二か月に一度の宿泊状況の報告義務が設けられるなど、一定のルールが課されている。他方、旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)における簡易宿所営業の場合は、平成三十年の旅館業法改正によって最低客室数の撤廃やフロント常駐義務の緩和等がなされた。加えて、建築基準法改正により面積が二百平方メートル未満であれば建築確認申請が不要となったこと等も後押しとなり、簡易宿所営業の新規参入が容易になったと認識している。
前記経緯の結果、届出制の民泊よりも本来は厳格な運用がなされるべき許可制の簡易宿所の規制がむしろ緩くなってしまうという「逆転現象」が生じていると認識している。具体的には、簡易宿所の場合は開設前の近隣説明義務もなく、フロント常駐義務もなく、宿泊者名簿の定期提出義務もないという状況である。加えて、年間の営業が百八十日に限られる民泊と違い、営業日数に制限がないため、三百六十五日営業が可能で、より収益性が高いという利点も簡易宿所には存在している。その結果、近年は民泊ではなく、住宅を利用した旅館業法における「簡易宿所」の許可を取得するケースが増加していると理解している。届出制の民泊と許可制の簡易宿所との間で、規制の強度に逆転現象が生じてしまっている現状に対する政府の認識を示されたい。
あわせて、平成三十年六月十五日(住宅宿泊事業法の施行日)時点、平成三十一年から令和六年までの各三月末時点、令和七年九月末時点における「住宅宿泊事業法に基づく届出住宅数」、「旅館業法に基づく旅館・ホテル、簡易宿所数」、「特区民泊の認定施設数」、「住宅宿泊仲介業者等が取り扱う民泊物件等の合計数」をそれぞれ示されたい。
二 住宅地の簡易宿所が増えた結果、深夜の騒音、敷地・私道の無断利用、誤って隣家の呼び鈴を押す行為、喫煙及び吸い殻のポイ捨て、ゴミ問題等の深刻な生活被害が全国で発生している。これまで閑静な住宅街で心穏やかに暮らしていた環境から、突然居住している家の隣や目の前の道に見知らぬ人物が入れ替わり出入りする環境に変化したことによって、精神に支障を来す事態も発生しており、特に多感な未成年の居住者にとって精神的な負担となってしまっていると認識している。以上の宿泊トラブルを政府は把握しているか示されたい。
また、旅館業法は、旅館の敷地内に対しての法律であり、現在問題になっているような敷地外での宿泊客の迷惑行為については、行政指導をする法的根拠がないと認識している。そのため、都道府県や各市区の保健所は敷地外で宿泊客が起こす迷惑行為や近隣トラブルについて、行政指導や改善命令などの処分をすることができず、近隣住民からの苦情に対し、事業者に情報提供と注意喚起しかすることができない。結果として、迷惑行為が発生した場合であっても、住民が直接宿泊者に注意せざるを得ない状況となってしまっていると理解している。かかる状況は明らかに国の不作為であり、無人型宿泊施設に対応した敷地外も含む事業者責任の範囲拡大や近隣説明義務及びトラブル対応義務の法定化、住宅地などではフロント常駐を義務化する等の旅館業法の見直しをすべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。
三 現行制度では、旅館業法に建物用途変更の登記義務が明確に位置付けられていないため、旅館業の許可を取得しても、建物登記上の用途が「居宅」のまま運用され続けているケースが多いと推定される。建物用途変更の登記が行われない場合、自治体側は実態として宿泊業が営まれていることを把握できず、資産税課として住宅用地特例の対象外であることを認識することが困難となる。その結果、本来であれば旅館業の用途として課税されるべき固定資産税が住宅扱いのまま据え置かれ、実質的に土地の税負担が少ない状態での課税を受け入れるという脱税行為が全国で発生してしまっていると認識している。以上の脱税行為の発生を政府は把握しているか示されたい。また、住宅用地特例が適用されず旅館業の用途として課税された場合、土地の固定資産税は一般的にどの程度高まるのか、見解を示されたい。
建物用途変更の登記を確実に実施するためには、都道府県や各市区の保健所が旅館業の申請の許可後に施設所在地等の情報を資産税課へ提供する体制を構築することが有効だと考える。建物用途変更の登記に対して、国として適時適切な自治体組織内における情報共有の仕組みを全国一律で定めるべき、若しくは旅館業法を改正し建物用途変更の登記義務を明確に位置付けるべきだと認識するが、政府の見解を示されたい。
四 全国各地で発生している宿泊トラブルに対し、現在は各自治体が独自に条例や要綱を定めることで対策を講じている。他方、条例で規制しようにも、法律の委任規定がないと訴訟になりかねないとの指摘が存在する。そのため、旅館業法に関して、宿泊客の迷惑行為が確認された場合、自治体が独自に営業改善命令・営業停止・罰則等を科すことを可能とする法的根拠の創設が必要だと考えるが、政府の見解を示されたい。
五 現状では、家宅捜査を受けた民泊事業者が、営業許可を取り消されても旅館業法による営業申請をし、施設基準を満たせば営業が認められてしまう事態も発生しており、悪質業者による「民泊から旅館業法における簡易宿所への営業形態逃れ」への対応が十分になされていないと認識している。
この原因は、都道府県や各市区の保健所との間で情報共有がうまくいっていないことにある。観光庁は、住宅宿泊事業法、国家戦略特別区域法(平成二十五年法律第百七号)及び旅館業法に基づく三形態の宿泊施設情報を一元的に管理・把握するシステムの構築計画を公表している。しかしながら、現行の旅館業法には住宅宿泊事業法に関する規定や情報連携の根拠が存在しないため、当該システムによる情報共有が機能不全に陥る懸念がある。
そのため、旅館業法の欠格事由に「住宅宿泊事業法違反の有無」を追加すべきだと考える。なお、住宅宿泊事業法の欠格事由には旅館業法で罰金の刑に処された者が含まれているため合理性はあるものと認識している。政府の見解を示されたい。
六 民泊及び簡易宿所に関しては、Airbnb等の仲介プラットフォーム側の課題も指摘されている。多くの自治体では条例により平日の営業禁止などの独自ルールを設けているが、現状、これらの制限が予約システム上で十分に反映されていない場合があり、条例で禁止されている期間であっても予約が成立してしまう事例が確認されている。
本来、仲介業者は、掲載物件の住所と民泊許可番号の情報を保持しているため、自治体ごとの営業可能日をシステム上で自動判定することは技術的に可能と考えられる。それにもかかわらず、その仕組みを導入しないことで、実質的に条例違反となる宿泊予約によって仲介手数料を得ている可能性があり、適切な規制運用を阻害する要因となっている。
かかる状況を踏まえると、合法性を担保する責任は事業者側だけでなく、仲介プラットフォーム側にも一定のコンプライアンス義務を課す必要性が高まっていると認識している。違法又は違法状態を助長する仲介行為に対して、行政指導・改善命令・罰則などの制度的対応を強化すべきと考えるが、これまでの政府による対策を含めて、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一の前段について
簡易宿所営業(旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第二条第三項に規定する簡易宿所営業をいう。以下同じ。)については、同法において、同法第三条第二項に定める施設の構造設備や同条第三項に定める施設の設置場所等に関する要件を満たし、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、その長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならないこととするとともに、所要の罰則等を設けているほか、「旅館業における衛生等管理要領」(平成十二年十二月五日付け生衛発第千八百十一号(令和八年一月二十日最終改正)厚生省生活衛生局長通知別添三。以下「衛生等管理要領」という。)において、「各都道府県等におかれては、地域の実情も踏まえながら、旅館業の適正な運営が確保されることが重要である」とした上で、「周囲の生活環境への悪影響を防止するための一定の規制を条例等で規定することは可能」であり、「条例等において、生活環境への悪影響を防止するための措置を規定している場合、当該措置に違反し、指導を実施しても改善が図られない営業者に対しては、」同法第七条の二第二項の「命令」等「と同様の措置をとることが可能である」としつつ、「都道府県等において定められている条例等の規定の例」として、例えば、「旅館業の許可を受けようとする者は、営もうとする旅館業の内容について、許可を受ける前に、周辺住民に説明すること」、「宿泊者に対し、周辺住民の生活環境の悪化を防止するために、騒音・ごみ処理等に関するルールや施設の使用方法を説明すること」、「宿泊者が騒音等により周囲に迷惑をかける行為を行う場合にあっては、当該宿泊者に対し、当該行為を中止するよう求めること」等と定め、都道府県知事等に示しているところである。これも踏まえ、都道府県又は保健所を設置する市若しくは特別区(以下「都道府県等」という。)においては、地域の実情に応じ、条例等で必要な規制を定めながら対応されているところもあり、必ずしも御指摘のように「規制の強度に逆転現象が生じてしまっている」とは考えていない。
一の後段について
お尋ねの①「住宅宿泊事業法に基づく届出住宅数」、②「旅館業法に基づく旅館・ホテル、簡易宿所数」、③「特区民泊の認定施設数」及び④「住宅宿泊仲介業者等が取り扱う民泊物件等の合計数」のお尋ねの時点における件数は、それぞれ、次のとおりである。なお、①について「平成三十一年から令和六年までの各三月末時点、令和七年九月末時点」の件数は把握していないため、それぞれ平成三十一年三月十五日時点、令和二年三月十一日時点、令和三年三月九日時点、令和四年三月十四日時点、令和五年三月十三日時点、令和六年三月十五日時点及び令和七年九月十六日時点の件数を、②について「平成三十年六月十五日(住宅宿泊事業法の施行日)時点」及び「令和七年九月末時点」の件数は把握していないため、それぞれ平成三十年三月末時点及び令和七年三月末時点の件数を、③について「平成三十年六月十五日(住宅宿泊事業法の施行日)時点」の件数は把握していないため、平成三十年六月末時点の件数を、並びに④について「令和七年九月末時点」の件数は把握していないため、令和七年三月末時点の件数を示すものとする。
「平成三十年六月十五日(住宅宿泊事業法の施行日)時点」 ①二千二百十件 ②八万千四百七十五件(平成三十年三月末時点) ③九百二十三件(平成三十年六月末時点) ④二万四千九百三十八件
平成三十一年三月末時点 ①一万四千五十九件(平成三十一年三月十五日時点) ②八万四千九百五十四件 ③二千三百三十五件 ④七万千二百八十九件
令和二年三月末時点 ①二万千百五十八件(令和二年三月十一日時点) ②八万八千三百十二件 ③三千六百九十二件 ④十二万九千四百四十六件
令和三年三月末時点 ①一万九千五百二十件(令和三年三月九日時点) ②八万八千五百五十件 ③三千四百六件 ④十一万二千八百七十八件
令和四年三月末時点 ①一万八千百九十六件(令和四年三月十四日時点) ②八万九千百十六件 ③三千三百二十九件 ④十万四千三百五十三件
令和五年三月末時点 ①一万八千七百六十件(令和五年三月十三日時点) ②九万百三十二件 ③三千四百四件 ④九万二千四百二十九件
令和六年三月末時点 ①二万三千百四十二件(令和六年三月十五日時点) ②九万二千九百四十七件 ③四千五百二十四件 ④十万二千三百二十七件
令和七年九月末時点 ①三万五千二百四十六件(令和七年九月十六日時点) ②九万七千八百四十七件(令和七年三月末時点) ③七千四百九十二件 ④十六万八千二百七十五件(令和七年三月末時点)
二の前段について
お尋ねについては、網羅的には把握していないが、簡易宿所営業の許可を行う都道府県知事等からの情報や報道等により、御指摘のような「騒音」や「ゴミ問題」等による「宿泊トラブル」があることは承知している。
二の後段及び四について
簡易宿所営業に関する許可等に関する事務については地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第八項に規定する自治事務であり、一の前段についてで述べたとおり、都道府県等においては、地域の実情に応じ、条例等で必要な規制を定めながら対応されているところもあり、御指摘のような「敷地外での宿泊客の迷惑行為」及び「宿泊トラブル」に係る対応も含め、地域の実情に応じた適切な対応を進めているものと承知しており、現時点では、一の前段についてで述べたとおり、衛生等管理要領を示すこと等により、都道府県等におけるこうした対応を推進していくこととしており、御指摘のような旅館業法の見直しの必要があるとは考えていない。
三の前段について
御指摘の「脱税行為」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、御指摘のような「本来であれば旅館業の用途として課税されるべき固定資産税が住宅扱いのまま据え置かれ、実質的に土地の税負担が少ない状態での課税」については、網羅的には把握していないが、地方公共団体の公表資料等を通じて、そのような課税があることは承知している。
三の中段について
お尋ねについては、土地に係る固定資産税の税額は、当該土地の面積や課税標準額等の様々な要素によって決定されるため、一概にお答えすることは困難である。なお、御指摘のように「旅館業の用途として」それに供する土地と異なり、住宅用地に対する固定資産税の課税標準については、専ら人の居住の用に供する家屋の敷地の用に供されており、一定の要件を満たす土地について、その面積が二百平方メートル以下のもの及び二百平方メートルを超えるものにおいて、それぞれ当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の六分の一及び三分の一とする特例措置を講じているところである。
三の後段について
御指摘のように「都道府県や各市区の保健所が旅館業の申請の許可後に施設所在地等の情報を資産税課へ提供する体制を構築することが有効」と考えており、「適時適切な自治体組織内における情報共有」がなされる「仕組み」について、必要な対応を検討しているところである。
五について
御指摘の「民泊」を住宅宿泊事業(住宅宿泊事業法(平成二十九年法律第六十五号)第二条第三項に規定する住宅宿泊事業をいう。以下同じ。)と解すれば、御指摘のような「悪質業者」への対応については、住宅宿泊事業及び簡易宿所営業に係る両方の情報を有する都道府県等において、「悪質業者」の住宅宿泊事業に係る情報も活用し、直ちに簡易宿所事業に関し旅館業法等に違反する行為が認められた場合には、命令等の必要な対応を行うなど、適切に対応されるべきものと考えており、現時点では、政府として、令和八年度予算案において、御指摘の「三形態の宿泊施設情報を一元的に管理・把握するシステムの構築」を図るための事業の経費の計上をするなどにより、都道府県等におけるこうした対応を推進していくこととしており、御指摘のような旅館業法の見直しは検討していない。
六について
御指摘の「仲介業者」については、住宅宿泊事業法第五十八条第二号及び旅行業法(昭和二十七年法律第二百三十九号)第十三条第三項第二号において、違法行為のあっせんが禁止されているところ、政府として、これまでも、都道府県知事等と連携しながら、例えば、御指摘のように「条例により平日の営業禁止」が定められた地域に立地しているにもかかわらず、「仲介プラットフォーム」において「平日」も予約できる物件を把握した場合には、「仲介業者」に対し、行政指導を行うなどしてきたところであり、さらに、令和八年度予算案において、五についてで述べたシステムの構築を図るための事業の経費の計上をし、必要な行政指導等の対応の強化も図ることとしているところであり、現時点で更に御指摘のように「制度的対応を強化すべき」とは考えていない。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×1承知していない ×6検討してまいりたい ×1
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。