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観光地における旅館業界の再生のための政府の施策に関する質問主意書
衆議院 第166回 第226号お答えすることは困難 ×1承知していない ×1個別の事案 ×1
質問本文
観光地にある旅館は、バブル崩壊後、長引く経済の不況と、過大な設備投資による債務負担のため、経営が困難な状況にある。旅館業界の不況は、地域経済へ深刻な影を落としている。
地域経済の活性化のためには、旅館業界の再生へ向けた実効性ある対策が緊急に必要である。
そこで、政府の観光地における旅館業界の再生のための施策について、質問する。
1 新聞報道によれば、金融機関から旅館に対する債権の譲渡を受けた整理回収機構が、破産手続きによる事業再生と称して、旅館業者について破産申立をしているケースが五例報道されている。
これまでに、整理回収機構が、破産手続きを利用して事業再生を目指したケースは、どのくらいあるのか。時期ならびに、地域、業種別に明らかにされたい。
2 旅館は、サービス業種であり、サービスの質が大事である。従業員のマナーにしても、一朝一夕には教育できるものではないし、とりわけ集客には、旅館の顔である社長や女将の力が大である。破産という「敵対的な」強引なやり方では、旧経営者や従業員、取引先の反発を買って、とうてい事業再生ができるとは思われない。
政府は、破産手続きを利用した企業再生を奨励しているのか。
3 地域の経済の活性化につながる企業再生のためには、事業譲渡先の選定は、重要である。たんなる投資目的で旅館を買い取るのでは、地域経済にはなんらプラスにはならない。整理回収機構が行った破産申立において、事業譲渡を受けた企業は、どのような企業か。どのような基準で選定されたのか。
4 現行破産法は、旧法と違って、破産手続きがきわめて迅速化されている。政府は、破産手続きを迅速化した立法趣旨について、自己破産が増大している現状をふまえ、債務者の迅速な救済をはかるためと説明している。
ところが、新破産法は、和牛商法などのように、多くの国民から詐欺的手段でお金を集め、集めたお金を海外に持ち出されたりして、被害者の被害回復が困難になるような特殊なケースを別にして、迅速な審理手続きで、破産開始が決定されることは、想定していなかったのではないか。
5 ところで、日光川治温泉の柏屋ホテルのケースでは、本年二月十五日に整理回収機構は、柏屋ホテルについて、宇都宮地方裁判所に破産申立を行ったところ、宇都宮地裁は、1週間もしない二月二十一日に整理回収機構の申立を認め、破産開始決定を出している。
1の報道にあった外の四件の旅館ホテルについて整理回収機構が行った破産申立では、破産申立から、破産開始決定までに、どのくらいの審理回数と審理日数を経ているか。
6 整理回収機構は、柏屋ホテルの連帯保証人である社長ならびに八十五歳になる女将についても、破産申立を行っている。これらの連帯保証人は、私財を処分して、六億円もの債務を弁済しているにもかかわらずである。
連帯保証制度の悪弊に大きな批判が強まっている折から、連帯保証人についての破産申立は、少なくとも原則禁止とすべきではないか。
7 整理回収機構は、「新破産法には、切れ味がある」と言って、温泉ホテルだけではなく、他業種でも積極活用する方針であることが報道されているが、このような破産手続きの濫用は、会社更生法の脱法行為ではないか。
8 整理回収機構は、抵当権を持っている一債権者にすぎない。
本来であれば、整理回収機構は、抵当権を実行して債権を回収するしかない。
しかし、温泉地にある旅館ホテルは、不動産だけで評価するならば、それほど価値はないから、不動産を競売にかけても回収できる金額はそれほど大きくはない。整理回収機構は、旅館ホテルは、のれんや顧客など付加価値があって価値があるため、旅館ホテルの総体を売却すれば、高額での売却が可能であることから、有力債権者の地位を利用して、旅館ホテルを破産に追い込み、実質、租税や、一般債権者への配当を削減して、旅館ホテル売却代金のほとんどの独り占めをねらって破産の手法を使ったことは明らかである。
整理回収機構が、企業再生をうたっても、整理回収機構は、売却代金から配当を得れば、整理回収機構の目的は達成される。整理回収機構は、もともと企業再生について責任を負える立場にはない。
整理回収機構の手法が、まかりとおることになれば、債権者による企業乗っ取り(売却)が可能となる。
政府はこのような現状についてどう認識し、今後どの様に対応するお考えか。
右質問する。
政府答弁書
1について
株式会社整理回収機構(以下「RCC」という。)が確認している範囲では、RCCが事業再生を目的として破産手続開始の申立てを行った件数については、平成十七年四月から平成十八年三月までの間に六件、平成十八年四月から平成十九年三月までの間に六件及び平成十九年四月に二件であり、その業種については、建設業が一件、医療業が四件及び旅館業が九件であり、その地域については、東北地方(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県及び福島県)が三件、関東地方(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県)が五件、北陸地方(新潟県、富山県、石川県及び福井県)が一件、中部地方(山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県及び三重県)が一件、関西地方(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県及び和歌山県)が二件及び中国地方(鳥取県、島根県、岡山県、広島県及び山口県)が二件であると承知している。
2について
破産手続は、債務者の資産を処分し、換価して債権者に平等に配当することを目的とするいわゆる清算型の手続であり、債務者である企業の再生を目的とするものではないが、清算の一手段として、債務者の事業を譲渡し、その事業の再生を図る例はあると承知している。なお、破産手続を含む各種の倒産手続のうち、どの手続を利用するかは、個別の事案に応じた債権者、債務者等の関係者の選択に委ねられているところであり、破産手続を利用した事業再生を政府として奨励した事実はない。
3について
破産法(平成十六年法律第七十五号)上、破産者の営業又は事業の譲渡は、破産財団に属する財産の処分に該当し、その権限は、裁判所が選任した破産管財人に専属しているが、その営業又は事業の譲渡をするについては、裁判所の許可が必要とされている。
1についてで述べたRCCが破産手続開始の申立てを行った事例のうち、事業の譲渡が行われたものについては、破産管財人が選定した事業譲渡先に譲渡されたものと承知している。事業譲渡先の選定は、総債権者の利益のために活動する職務を有する破産管財人がその裁量で行うものであるが、破産管財人は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならないこととされている。
4について
破産法は、債務者の申立てによる破産手続に限らず、破産手続一般について、公正さを確保しつつ、その迅速化及び合理化を図ること等を目的として制定されたものであり、すべての事案について、このような目的に沿った手続が行われることを想定している。
なお、御指摘のような事案は、迅速な手続が必要とされるものであると考えている。
5について
RCCが確認している範囲では、御指摘の「外の四件の旅館ホテル」のうち、一件については、民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)に基づき、再生手続廃止の決定の確定後、裁判所が職権で、破産手続開始の決定をしたものであり、他の三件における破産手続開始の申立てがあった日から破産手続開始の決定があった日までの日数は、一件が即日、二件が七日であると承知している。RCCによると、審理回数については把握していないとのことである。
6について
破産者の債務に係る連帯保証人についても、財産の適正かつ公平な清算を行う必要性があるため、支払不能その他の破産手続開始の原因がある場合には、その連帯保証人の債権者は、破産手続開始の申立てを行うことができることとされているところであり、御指摘の「原則禁止」は困難であると考えている。
7及び8について
RCCにおいては、種々の事情により民事再生手続若しくは会社更生手続によることが困難な場合、又は、債務者による不正、財産の隠ぺい等が行われるおそれがあることなどから、RCCと債務者の間では解決が困難な場合に、手続の公平性及び透明性を確保し、貸付債権等について最大限の回収を図るため、破産手続開始の申立てを行うことがあるものと承知しており、「破産手続きの濫用」との御指摘は当たらないと考える。また、RCCにおいては、回収指針として「「契約の拘束性の追求」、「人間の尊厳の確保」、「企業再生の追求」という三つの指針の交点を求める」を定めているところであり、関係法令及び自らの回収指針に従い、個々の債務者の実情等を十分に把握し適切な対応に努めているものと承知している。
なお、破産法上、破産手続開始の決定後は、裁判所が選任した破産管財人が破産財団に属する財産の管理及び処分を行い、別除権の目的である財産の受戻しについては、破産管財人が裁判所の許可を得て行うこととされ、破産債権者に対する配当については、破産管財人が同法に定められた順位に従って行うこととされているところであり、RCCが「実質、租税や、一般債権者への配当を削減して、旅館ホテル売却代金のほとんどの独り占めをねらって破産の手法を使ったことは明らかである」との御指摘は当たらないと考える。
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