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私立学校法人の収益事業およびその監督に関する質問主意書

衆議院 第145回 第43号お答えすることは困難 ×1承知していない ×1

提出者
衆議院
提出日
1999年8月3日
内閣転送 1999年8月4日
答弁書受領日
1999年8月31日
提出から28日
答弁の項目数
15
質問 3,328字/答弁 3,149字

質問本文

バブル経済が我国社会に重大なる傷跡を残し、我国の金融システムが未曾有の危機に直面していることは、広く国民大衆の知るところである。昨年の臨時国会では、銀行への公的資金注入を軸に不良債権処理を進め、銀行経営の安定化と中小企業への銀行の貸渋り解消のため、いわゆる「金融再生関連法案」の成立をみた。しかし、国民世論はバブルに狂奔した借り手および貸し手の法的責任追及また大蔵省への行政責任の追及不徹底に疑義を抱いていると言わざるを得ない。

こうした中で、バブル期には公益法人たる私立学校法人も投機的事業に業容を拡大し、経営破綻に陥っている事実が明らかになっているが、学校法人・駿河台学園および同南学園で生起している事態はとうてい看過し得ない。駿河台学園および同南学園について、学校法人が関連企業による「豪州のホテル・ゴルフ場事業」に巨額の債務保証を与えている事実や同南学園が共同経営する「神戸のホテルの閉鎖」などが昨年来報道され、駿河台学園、同南学園、同西学園が経営する駿台予備学校の経営危機が伝えられている。これらはバブルの傷跡が我国の教育界にも影を落としていることの明確な証左である。また学問の自由を逆手にとり極めて不透明な運営がなされている一部私立学校法人と銀行や金融機関が結託できる法制度上の問題点を指摘する声も大きい。

駿河台学園および同南学園については、その教育事業体は駿台予備学校として我国受験教育の根幹をなしたことが広く一般に知られている。受験教育事業の是非は別として、駿台予備学校はその高い公共性を認められたが故に学校法人として認可され、安定的な教育内容と条件の実現のために、税制上およびその他の優遇措置の対象となったはずである。しかるに学校法人が前記のような収益事業をなし学校経営を逼迫させているとの巷間伝わる事態は、教育行政のみならず大蔵・金融行政から労働行政などにわたる深刻な課題となっていると考える。よって以下のとおり質問する。

一 学校法人・駿河台学園および同南学園の収益事業と債務保証に関する政府の見解および東京都学事部への指導について

(1) 私立学校法第二六条一項ないし二項に言う収益事業の目的と種類とは何か。政府の見解を問う。

(2) 学校法人・駿河台学園および同南学園が大半を出資する国内法人および豪州現地法人による「豪州でのホテル・ゴルフ場事業」などの収益事業は、前記(1)の収益事業の範囲に含まれるのか。また私立学校法人の収益事業として適法か。

(3) 学校法人・駿河台学園および同南学園による(2)の収益事業に対する東京三菱銀行への三〇〇億円と言われる債務保証に、教育行政の統括者として文部省はいかなる見解を有するのか。

(4) 学校法人・駿河台学園および同南学園の収益事業の実情が、私立学校法第六一条一項の一ないし三に該当するか否かの調査報告書を、私立学校法第六条に基づき両学校法人に求めるように文部省は東京都学事部を指導したか。また指導予定がないのならば、それは何故か。

(5) 文部省は、学校法人・駿河台学園および同南学園の理事会および評議会が(2)の収益事業への出資および(3)の債務保証について、いかなる経過で決定するに至ったのかを把握しているか。また私立学校法第三六条および第四二条五項の遵守確認のための議事録および報告書を、私立学校法第六条に基づき両学校法人に求めるように東京都学事部を指導したか。また指導をする予定があるか。また指導予定がないのならば、それは何故か。

(6) 先に通産省の諮問委員会は「公益法人の財務・情報の開示」に積極的な内容を示したが、私立学校法人の「財務・情報開示」について政府はいかなる見解を有するのか。

二 私立学校法人を含む公益法人およびその関連企業への銀行等金融機関の融資の不良債権化に関する政府の見解について

(1) 大手ゼネコン等への銀行等金融機関の融資の不良債権額は公表されているが、私立学校法人を含む公益法人およびその関連企業への銀行等金融機関の融資の不良債権額の実情を、政府は調査・把握の上で公表の用意はあるか。

(2) 政府は学校法人とその関連企業への銀行等金融機関の融資の不良債権額について、来年三月期よりの金利減免債権の厳格基準を前倒しして、銀行等各金融機関に報告を求め指導をする予定があるか。また指導予定がないのならば、それは何故か。

三 学校法人・駿河台学園および同南学園の収益事業への東京三菱銀行の融資、また両学校法人による東京三菱銀行への債務保証に関する政府の見解について

(1) 学校法人・駿河台学園および同南学園とその関連企業への銀行等金融機関の融資は、巷間前記二の(1)に該当すると言われているが、金融当局はこうした私立学校法人への銀行等金融機関の融資の不良債権について報告を求める予定があるか。また指導予定がないのならば、それは何故か。

(2) 学校法人・駿河台学園および同南学園が出資し経営する現地法人、サン・ホールディングス社が豪州証券監視委員会(現ASC)に提出した会計報告によれば、同会社が恒常的赤字経営で債務超過を急増させているにも拘らず、東京三菱銀行は九八年度より駿河台学園の債務保証を条件として同会社に追加融資をしていることが記載されている。かかる銀行融資や債務保証は銀行および学校法人の公共性に鑑みて許されざるものではないのか。政府の見解を問う。

(3) 前記(1)の融資および債務保証の内容と経過について、金融当局は東京三菱銀行に報告を求め、指導する予定があるか。また指導予定がないのならば、それは何故か。

四 いわゆる予備校事業および学校法人理事、関連企業役員の便宜供与への課税について

(1) 八四年の税制改正において大蔵省主計局は、予備校の「収益事業」の範囲を見直して「短期間の授業」を課税対象とした。更に主税局は「収益事業の範囲」の拡張に前向きであったと聞くが、この問題の経過と現状認識を尋ねる。

(2) 学校法人・駿河台学園および同南学園では理事に対する居宅の提供が行われている。両学園の関連子会社からの理事居宅の借上げ家賃は、一例では月額で一一〇〇万円に上る。これらは昨今の「日銀問題」でも「報酬」と世論に指弾され、課税対象との論議がなされたものと内容を一にする。税務当局においては、学校法人・駿河台学園および同南学園の理事そして両学園の関連子会社の役員の「居宅便宜供与額」を過去にわたって調査し、課税を検討する考えがあるか。またないのならば、それは何故か。

五 駿河台学園・理事長の豪州現地法人との金銭バーター取引きについて

(1) 三の(2)に述べたASC調査資料によれば、学校法人・駿河台学園の理事長でありサン・ホールディングス社の取締役会長である人物が、九八年三月期には七〇億円近い債務超過を起こしているサン・ホールディングス社との間で、金銭のバーター取引きを行い、その利率の差額を八年にわたり総額約七千万円を受領している事実が記載されている。こうした取引きは豪州国内法では明確な背任となると豪州の現地弁護士は述べている。我国の法務当局は、こうした事案についていかなる見解を有するか。

六 学校法人・駿河台学園および同南学園および同西学園の経営するいわゆる「駿台予備学校」の教員に対する雇用保険の適用に関する政府の見解について

(1) 駿台予備学校は実質一つの事業体だが、学校法人は三つに分かれている。それ故に講師の就業時間数も三分され、職業安定所が言う週二〇時間の継続雇用の要件を逃れ、本来なら雇用保険の対象となるべき非常勤講師の保険適用が妨げられている。これらは明白な学校法人による脱法行為ではないのか。政府の見解を問う。

(2) また教員という職業上からは週二〇時間との就業時間基準の短縮も考慮されるべきではないのか。労働省においては高校・予備校・短大・大学などの非常勤講師の雇用保険適用について、その就業時間数の短縮を含めて指導する予定があるか。指導予定がないのならば、それは何故か。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の(1)について

私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第二十六条の収益事業については、学校法人がその設置する私立学校の教育に支障のない限り、その収益を私立学校の経営に充てるため行うことができることとされており、また、その種類については、所轄庁が定め、公告しなければならないこととされている。

なお、文部大臣を所轄庁とする学校法人が行うことができる収益事業の種類は、文部省告示(昭和二十五年文部省告示第六十八号)において物品販売業、物品貸付業等三十四種類とされている。

一の(2)について

私立学校法第四条に基づき御指摘の両学校法人の所轄庁は東京都知事であることから、これらの事業が学校法人が行うことができる収益事業に当たるか否かは、東京都において判断すべきものである。

なお、東京都からは、これらの事業は学校法人が自ら実施しているものではないため、学校法人が行う収益事業には当たらないものと聴いている。

一の(3)について

御指摘の両学校法人の所轄庁は東京都知事であることから、両学校法人による債務保証については、東京都において必要に応じて事実関係の把握や適否の判断を行うべきものと考えている。

一の(4)について

御指摘の両学校法人の所轄庁は東京都知事であり、東京都において必要に応じて具体的な指導等を行うべきものであることから、収益事業の停止命令に該当するか否かの調査報告書を求めることについて文部省において東京都を指導していない。

なお、東京都からは、御指摘の事業は学校法人が自ら実施しているものではないため、学校法人の収益事業には当たらず、私立学校法第六十一条第一項各号に当たるものではないと聴いている。

一の(5)について

御指摘の両学校法人の所轄庁は東京都知事であり、東京都において必要に応じて具体的な指導等を行うべきものであることから、御指摘の事項に関し、文部省において詳細な経緯を把握していないが、東京都からは、両学校法人は必要な手続を経ているとの経緯を把握しているものと聴いている。また、これらのことから、議事録及び報告書を求めることについて文部省において東京都を指導していない。

一の(6)について

学校法人における財務情報の開示については、それぞれの学校法人の判断にゆだねるべきものではあるが、文部省においては、学校法人の公共性にかんがみ、財務状況を関係者に開示することは望ましいものと考えており、従来から文部大臣を所轄庁とする学校法人及び都道府県知事に対してその旨周知を図っているところである。

二の(1)について

金融機関の不良債権額の公表については、平成十一年三月期から、各金融機関において、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)等に基づき、破綻先債権、延滞債権、三か月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権(以下まとめて「リスク管理債権」という。)の額を開示することが義務付けられており、政府としては、各金融機関が公表したリスク管理債権の額を集計し、その総額を公表しているところである。

個別業界等貸出先ごとのリスク管理債権の額の公表については、金融機関の経営実態の開示の観点から重要なのはリスク管理債権の総額であり、また、仮に、個別業界等貸出先ごとのリスク管理債権の額を公表した場合には当該貸出先に不測の不利益を与えるおそれがあること等から、銀行法等において特に義務付けておらず、政府においてもこれを集計し、公表することはしていない。したがって、学校法人を含む公益法人及びその関連企業への銀行等金融機関の融資の不良債権額を、政府が集計し、公表することは考えていない。

二の(2)について

金融機関の不良債権額の開示については、政府としては、従来からその拡充を促してきたところであり、全国銀行については、平成十年三月期決算から米国証券取引委員会基準と同様の基準によるリスク管理債権額の開示を開始した。また、平成十一年三月期からは、銀行法等に基づき、全金融機関に対し、連結べースでのリスク管理債権額の開示を罰則付きで義務付けたところである。

このリスク管理債権は、平成九年九月期まで適用されていた全国銀行協会連合会統一開示基準による公表不良債権、すなわち、破綻先債権、六か月以上延滞債権及び金利減免等債権と比べ、対象範囲が大幅に拡大されている。例えば、リスク管理債権のうちの貸出条件緩和債権については、貸出金利を公定歩合以下に減免した債権等のみを対象とする、従来の金利減免等債権の対象範囲を大幅に拡大し、厳格化したものであり、債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として金利減免や返済期限猶予など元利支払条件を緩和したすべての債権を含む広い概念となっている。

このように金利減免等債権の対象範囲の拡大及び厳格化は既に図られており、十分な開示が進んでいると考えられることから、御指摘のような報告の求め及び指導を行うことは考えていない。

三の(1)について

個別業界等貸出先ごとのリスク管理債権の額の集計公表を政府として行う考えはないことは、既に、二の(1)についてで述べたとおりである。

なお、金融監督庁においては、金融機関の経営実態を的確に把握する観点から、必要に応じ、個別の貸出債権の債務者の状況や償却、引当の状況等についても、検査等により実態把握に努めているところである。

三の(2)及び(3)について

お尋ねの点については、個別金融機関の個別取引に関する事項であることから、政府としては答弁を差し控えたい。

四の(1)について

御指摘の点を含め、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)上の収益事業の範囲については、これまでも課税の公平性及び中立性の観点から、その見直しに努めてきているが、近年、公益法人等が行う事業がますます拡大し、かつ、多様化してきている中で、営利法人が行う事業との間に大きな違いがなくなってきているのではないかとの指摘もあり、今後とも、公益法人等が行う事業の実態を踏まえつつ、法人税法上の収益事業の範囲の適正化について検討する必要があると考えている。

四の(2)について

お尋ねの課税上の問題については、個別的かつ具体的な事柄であるので、答弁を差し控えたい。

五の(1)について

犯罪の成否は、捜査機関が収集した証拠に基づき個々に判断すべきものであるから、答弁を差し控えたい。

六の(1)について

雇用保険の適用に関しては、事業主と労働者との間に雇用関係があるか否かで判断している。さらに、同時に二以上の事業主との間に雇用関係がある労働者については、原則として、当該二以上の事業主との間にある雇用関係のうち主たる一の事業主との間にある雇用関係において、一週間の所定労働時間が二十時間以上であること等の適用基準を満たすか否かで、雇用保険の適用の有無を判断することとしている。

御指摘の非常勤講師については、事業主と労働者との間に雇用関係があるか否か等を調査しているところであり、雇用保険の適用の有無については、その結果を踏まえ判断してまいりたい。

六の(2)について

雇用保険の適用については、社会通念上、通常の労働者を基準とした場合、その所定労働時間の二分の一未満の者についてまで雇用保険による保護を与えることは、雇用保険制度の趣旨に照らして適当ではないこと、国際的にみても通常の労働者の所定労働時間の二分の一程度以上である場合に適用する扱いが一般的であることから、一週間の所定労働時間が二十時間以上であることを適用基準の一つとすることが妥当であると認識しているところであり、特定の者について例外を認めることは、公平性の観点からみて困難である。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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