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観光公害対策に関する質問主意書
参議院 第217回 第192号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×2
質問本文
二〇二四年の訪日外国人旅行者数は約三千七百万人、訪日外国人旅行消費額は約八・一兆円であり、いずれも過去最高を記録した。二〇二五年一月から三月の累計訪日外国人旅行者数は一千万人を超え、前年のペースを上回る勢いである。観光は成長産業であるため、持続的に発展できる環境づくりが急務であると考える。政府は「第五次観光立国推進基本計画」を二〇二五年度末までに策定し、二〇三〇年に訪日外国人旅行者数を六千万人、訪日外国人旅行消費額を十五兆円とする目標を掲げている。
しかし、訪日外国人旅行者を原因とした問題が全国各地で生じている。京都市では、訪日外国人旅行者の過度な集中が原因で市内を走るバス等の公共交通が混雑している。住民が乗車できない状況を改善するため、京都駅と清水寺や銀閣寺を結ぶ観光特急バスの土日祝日の運行が開始された。富士山では、弾丸登山や混雑を避けるために入山規制時間を設け、環境整備・安全対策のために通行料・入山料を徴収している。その他、SNSの投稿を契機に、特定の地域に旅行者が押し寄せる例もある。無断立入り、ゴミの放置、マナー問題など、住民の生活に悪影響が及ぶ観光公害(オーバーツーリズム)が深刻な地域もあることから、対策を本格化させるべきと考える。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 観光庁は、地域で自由に放映できる訪日外国人旅行者向けマナー啓発動画を作成して、活用を推進しているが、当該啓発動画の活用状況及び効果を示されたい。
二 政府は、訪日外国人旅行者の増加に伴う観光公害について、積極的に地方自治体に寄り添い、対策を支援すべきと考える。しかし、過度な規制が訪日外国人旅行者の減少につながらないよう、慎重な対応も求められると考える。以上を踏まえて、現在講じている若しくは今後講ずる予定の観光公害対策について、政府の見解を示されたい。
三 スマホの位置情報を活用し、地域特有のマナーを自動で案内するアプリの提供を推進すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
四 自然保護区や歴史的建造物におけるマナー違反に対して、罰金や罰則を導入すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
観光庁が令和二年一月に公表したお尋ねの「訪日外国人旅行者向けマナー啓発動画」の「活用状況」については、同月から令和七年三月末までの間に、地方自治体等から同庁に対して、当該動画の利用に係る届出が行われた件数は八十四件である。また、お尋ねの「効果」については、一概にお答えすることは困難であるが、訪日外国人旅行者へのマナー啓発に寄与するものと考えている。
二について
御指摘の「訪日外国人旅行者の増加に伴う観光公害」及び「観光公害対策」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」(令和五年十月十八日観光立国推進閣僚会議決定)を取りまとめるとともに、令和五年度補正予算及び令和六年度補正予算において、「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」を措置し、観光客へのマナー啓発や、観光客による混雑状況を緩和するための交通対策などといった地域における意欲的な取組について、総合的な支援を行っているところである。政府としては、観光客の受入れと住民の生活の質の確保の両立が図られるよう、引き続き、必要な対策に取り組んでまいりたい。
三について
観光客へのマナー啓発については、例えば、令和七年三月十三日の参議院国土交通委員会において、平嶋観光庁次長が「観光庁では、旅行者の行動変容の促進、またマナーの啓発を目的といたしまして、未来のための旅のエチケット、それからもう一つ、観光ピクトグラム、こちら、目で見て分かるようにということで、こういったものを作成いたしました。平日朝、夜間の混雑を避けた観光を推奨するなど、旅行者の行動変容の促進にも資するものと思っております。」と答弁したとおり取り組んでおり、政府としては、まずは、これらの取組を進めていくこととしていることから、現時点では、お尋ねの「アプリの提供」については考えていないが、二についてで述べたとおり、観光客の受入れと住民の生活の質の確保の両立が図られるよう、引き続き、必要な対策に取り組んでまいりたい。
四について
お尋ねの「自然保護区や歴史的建造物におけるマナー違反」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、政府としては、優れた自然の風景地の保護等を目的として、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号。以下「法」という。)第二条第二号に規定する国立公園については、法第二十条第三項、第二十一条第三項、第二十二条第三項及び第三十七条第一項の規定等に基づき必要な規制を行っており、法第八十二条において、法第二十条第三項等の規定に違反したときは、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処することとしている等、必要な罰則が規定されている。また、文化財の保護等を目的として、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第百九十五条第一項において、重要文化財に指定した建造物等を損壊等した者は、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処することとしている等、必要な罰則が規定されている。