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空港における保安業務の国の責任等に関する質問主意書
衆議院 第198回 第215号趣旨が明らかではない ×2
質問本文
政府は、二〇一七年に閣議決定した「観光立国推進基本計画」において、訪日外国人旅行者数を四千万人とする目標を掲げている。日本政府観光局の発表によれば、二〇一八年の訪日外国人旅行者数は前年比八.七%増の三千百十九万人であり、過去最高値となっている。このため、空港における保安業務の必要性とその業務量は急速に増大している。
米国含め多くの先進国では、かつては民間航空事業者が空港における保安業務の責任主体であったが、米国同時多発テロ事件以降、各国において保安警備に関する考え方の見直しが行われ、国(または空港会社)が責任主体となる体制への転換が図られている。
一方、我が国では、空港における保安業務の責任主体は依然として民間の航空事業者とされている。そのため、保安に要する費用についても航空事業者が負担するほか、保安検査場に配置される保安検査員も、航空事業者から委託を受けた警備会社から派遣されている警備員であることが一般的である。
以上を踏まえ、以下質問する。
一 国が航空事業者に対し保安検査機器の導入費用などにつき一定の費用負担をする等の支援を行っていることは承知しているが、航空事業者の負担が残る限り、経営状況によって保安費用の削減がなされる可能性は否定できない。二〇一七年には成田空港の保安検査員の大量離職問題が報じられ大きな話題を呼んだが、この背景としても、航空事業者と警備会社の間の契約料が低く抑えられ、不規則なシフトで拘束時間が長いにも拘わらず、保安検査員の給料が低く抑えられていたこと等が原因として指摘されている。
政府が観光立国を推し進め、訪日外国人旅行者数の増加を目指すのであれば、政府の責任として、危機管理の水準を維持向上させるため、空港における保安に関する費用の国の負担割合についてもより高める必要があると思料するが、政府の見解と取組みを示されたい。
二 警備業法第十五条においては、「警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たつては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない」と定められている。つまり、保安検査員は航空運行の安全に関し重責を負っているものの、その業務は警備業法に基づく警備業務の一つとして、旅客の任意の協力を得て行う検査しかなしえず、警察のような特別な権限での検査を実施することはできないこととなっている。また、諸外国では空港の警備員は銃器を所持しているのが一般的であるが、我が国では、護身具の所持に関しても警備業法およびそれに従い定められる公安委員会規則による厳しい制限が課せられている。
このように空港の保安検査員の権限が限定され、護身具の所持制限がなされている現状では、テロ行為等の重大犯罪を未然に防止することも、起きてしまった事件に迅速適切に対応することも困難であると思料するが、この点、現状のままで保安体制として問題はないと考えているのか政府の見解を示されたい。
三 空港や航空機を標的としたテロ行為は国家を標的としているものであり、国家安全保障上の問題である。それにもかかわらず、航空保安は第一次的に航空事業者の責任としている現在の制度には根本的な問題がある。
航空保安は国家安全保障の問題という認識のもと、航空保安の責任は第一次的に国にあることを明示し、全国一体的な保安体制の整備、保安検査員の待遇改善、人材育成等に努める等、法制度の改正を早急に検討すべきと思料するが政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
定期便が就航する空港においては、空港の保安検査に係る検査機器の整備費及び検査員の人件費の二分の一について、国土交通大臣、地方公共団体等の空港管理者等がその予算の範囲内で航空運送事業者に対し、毎年補助等を行っているところである。また、国際テロの脅威が高まる中で、航空保安対策の強化を速やかに進めることが喫緊の課題となっていることから、先進的な保安検査機器の導入を推進することとしており、平成二十八年度から、ボディスキャナー等の整備費用について、空港管理者等による航空運送事業者への二分の一の補助に加え、国が航空運送事業者に二分の一の補助を行うなど、必要な取組を行っているところである。
二について
御指摘の「空港の保安検査員の権限が限定され、護身具の所持制限がなされている現状では、テロ行為等の重大犯罪を未然に防止することも、起きてしまった事件に迅速適切に対応することも困難」の意味するところが必ずしも明らかではないが、空港の保安検査は、航空機内に凶器等が持ち込まれてハイジャックや航空機に対する破壊行為等が行われることを防止するため、航空機に搭乗しようとする旅客に対して、その手荷物等の検査が行われているものである。この検査は、旅客の同意を得た上で行われているものであるが、同意が得られない場合や、検査で旅客の手荷物等から凶器等が発見された場合には、航空機への搭乗拒否などが行われることとなり、また、凶器等が発見された場合については、必要に応じ、検査員が警察官に通報して対処されることとなる。
また、警備業者及び警備員が業務上携帯する護身用具の制限等については、空港の保安検査を行う検査員に係るものを含め、先の答弁書(令和元年六月十八日内閣衆質一九八第二〇九号)一及び二についてでお答えしたとおりである。
三について
御指摘の「航空保安の責任は第一次的に国にあること」及び「全国一体的な保安体制の整備」の意味するところが必ずしも明らかではないが、空港の保安検査については、従来から旅客や貨物を安全に輸送する責務を有する航空運送事業者が一義的な責任を持って実施しており、政府としても、航空保安の重要性に鑑み、国際情勢を踏まえつつ、航空運送事業者が航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第百条第二項第二号及び第百二十九条第二項の事業計画に記載すべき航空機強取等防止措置の内容に関する基準を不断に見直すとともに、同法に基づき、航空運送事業者に対し、当該基準に基づいて作成された事業計画に従って空港の保安検査を適切に実施するよう指導等を行っている。
また、ハイジャックや航空機に対する破壊行為等を防止するため、航空機の強取等の処罰に関する法律(昭和四十五年法律第六十八号)及び航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律(昭和四十九年法律第八十七号)が定められ、これらの行為を処罰することとされている。
さらに、空港の保安検査を行う検査員の人材の確保や育成等に関する課題に対応するため、国土交通省、航空運送事業者、空港管理者、警備業者等をメンバーとする「保安検査員の人材確保・育成検討WG」を開催し、対応策等について検討しており、その検討を踏まえ、警備業者の採用活動への航空運送事業者等の協力、旅客から検査員への苦情及び相談対応に係る体制の充実、検査員の休憩施設等の充実、空港の混雑時間帯における検査員の配置の改善等、実現できるところから対応がとられているところである。このほか、検査員の処遇の改善についても、関係者間でその必要性について認識が共有されており、航空運送事業者と警備業者との間の契約における検査員の人件費の契約単価は以前に比べて改善の傾向にあると承知している。
今後とも、政府として、航空運送事業者を始めとする関係者との役割分担の下、その連携を深めつつ、航空保安対策に万全を期す所存である。
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