Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 参議院 第217回

原発作業員の安全管理及び労災認定基準に関する質問主意書

参議院 第217回 第109号

提出者
参議院
提出日
2025年4月30日
内閣転送 2025年5月7日
答弁書受領日
2025年5月13日
提出から13日
答弁の項目数
4
質問 1,682字/答弁 1,801字

質問本文

二〇一一年十月から東京電力福島第一原子力発電所の事故収束作業に従事していた北九州市の男性作業員(五十歳)が白血病を発症した問題で、二〇二五年一月、東京都労働委員会は、事故収束作業を担っていた共同企業体(JV)の代表である竹中工務店に対し、二次下請であった当該作業員が所属する労働組合である原発関連労働者ユニオンとの団体交渉に誠実に応じるよう命令を出した。このように、当時の元請企業であった竹中工務店によるずさんな安全管理が問題になっている。

胃がん・食道がん・結腸がん(以下「固形がん」という。)等の労災補償の考え方では、百ミリシーベルト以上の被曝量、被曝開始から五年以上経過後のがん発症等を判断基準としている。しかし、同基準は八十年前の原爆被爆者の偏ったデータに基づく、十年以上も前に示されたものであり、原発作業員等に当てはめることについて、多くの専門家から問題点が指摘されている。私は、これらの問題について参議院環境委員会(二〇二五年三月二十四日)で取り上げ、政府から今後の検討や対応を約束する答弁を得た。

以上を踏まえて、以下質問する。

一 私は参議院環境委員会(二〇二五年三月二十四日)で、「作業員の安全管理、健康管理に対して、直接雇用関係になくても、元請事業者が一義的な責任を負うように制度を見直すべきだとお考えになりますか。」と質疑し、田中仁志政府参考人から「しっかりとした労働安全衛生体制を構築していくということは重要」、鰐淵厚生労働副大臣から「しっかり私自身ももう一度精査もさせていただきたい」との答弁を得た。

「しっかり精査」して得られた結論はどのようなものか示されたい。そして、その精査を踏まえ、福岡厚生労働大臣は制度見直しに向けてどのような指示を出したか示されたい。

二 私は参議院環境委員会(二〇二五年三月二十四日)で固形がんの労災認定基準について、「八十年前の原爆被爆者の偏ったデータに基づく十年以上も前の基準を直ちに見直すべきではないかと思いますが、副大臣、いかがお考えですか。」と質疑し、鰐淵厚生労働副大臣から「現場で活躍していただいている、活動していただいている方々の安心、安全を守ることも重要な課題でございますので、しっかりと必要に応じて検討させていただきたい」との答弁を得た。

「しっかり検討」して得られた結論はどのようなものか示されたい。そして、その検討を踏まえ、福岡厚生労働大臣はどのような対応を指示したか示されたい。

三 私は参議院予算委員会(二〇二五年三月二十七日)に向け、「二〇二三年INWORKS調査結果も踏まえて、どのように、いつ固形がんの被曝労災基準の見直しを検討していくのか、その検討結果をいつ示すのか、お答えください」と質疑通告したところ、厚生労働省から、「ご指摘の調査結果については、既に把握し、専門家の御意見もお聞きしたところであるが、国際的に合意されている科学的知見と相違していること等もあり、現段階では労災補償の考え方の変更には至っていない」との回答(二〇二五年三月二十六日)があった。

二〇二三年INWORKS調査結果と相違する「国際的に合意されている科学的知見」とはどのようなものであるか示した上で、その知見が示された資料の出典を示されたい。

四 私は環境委員会(二〇二五年三月二十四日)で、「八十年前の原爆被爆者のデータに基づく十年以上も前の基準を、これ見直すということは必要だというふうに私は思うんですけれども、必要あると思うか、ないと思うか」と質疑し、山中伸介原子力規制委員長から「私ども規制委員会でも、新知見については十分検討し、規制に反映すべきところは反映してまいりたいというふうに考えております。」との答弁を得た。

原子力規制委員会として、固形がんの労災補償の考え方における百ミリシーベルト以上の被曝量、被曝開始から五年以上経過後のがん発症等の判断基準を、最新の医学的知見を踏まえて見直すことについて、いつから検討を開始し、その検討結果をどのように公表するか示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

令和七年三月二十四日の参議院環境委員会における御指摘の鰐淵厚生労働副大臣の答弁は、御指摘の東京都労働委員会の「命令」を踏まえ、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第一条に規定する「労働災害の防止のための・・・責任体制の明確化・・・等その防止に関する・・・対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保する」ために、御指摘の「制度見直し」が必要かどうかについて精査を行う趣旨で述べたものであるところ、厚生労働省において、当該精査を行った結果、「命令」を受けた「元請企業」については、同法第十五条第一項に規定する特定元方事業者として、例えば、同法第二十九条第一項及び第二項の規定に基づき、当該特定元方事業者の労働者のみならず、関係請負人(同法第十五条第一項に規定する関係請負人をいう。以下同じ。)及び関係請負人の労働者が、労働安全衛生関係法令の規定に違反しないよう必要な指導を行わなければならないとされ、また、当該関係法令の規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行わなければならないとされているとともに、同法第三十条第一項の規定に基づき、当該特定元方事業者の労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、作業間の連絡及び調整等の必要な措置を講じなければならない等の責任が課されているところ、これらを遵守することにより、これらの労働者の安全及び健康の確保が図られるものと考えられることから、御指摘の「制度見直し」が必要との結論には至っておらず、また、御指摘のような「指示」はない。

二について

御指摘の「固形がんの労災認定」に係る考え方については、令和七年三月二十四日の参議院環境委員会において、鰐淵厚生労働副大臣が、「定期的に最新の医学的知見を収集して専門家による検討会等も行っておりますけれども、・・・現場で活躍していただいている、活動していただいている方々の安心、安全を守ることも重要な課題でございますので、しっかりと必要に応じて検討させていただきたいと思います。」と答弁しているとおり、厚生労働省においては、こうした考え方の下、検討を行うこととしているところ、現時点では、当該「専門家による検討会等」において、三で御指摘の「二〇二三年INWORKS調査結果」については、国際的に合意されている科学的知見と相違している等と確認されていることから、当該認定に係る考え方の変更には至っておらず、また、御指摘のような「指示」はない。

三について

お尋ねについては、例えば、平成二十四年九月に、厚生労働省労働基準局労災補償部長が参集を求めて開催していた、放射線に係る医学等の専門家等により構成される「電離放射線障害の業務上外に関する検討会」が取りまとめた報告書において、「UNSCEARは、二千六年及び二千十年に報告書を取りまとめており、二千六年報告書を要約したものとして発表された二千十年報告書では、固形がんについて「百から二百ミリグレイ以上において、統計的に有意なリスクの上昇が観察される。」と述べている。百ミリシーベルト未満の被ばくによるがんのリスクの増加については、ICRPが、二千七年勧告で、「がんリスクの推定に用いる疫学的研究方法は、およそ百ミリシーベルトまでの線量範囲でのがんのリスクを直接明らかにする力を持たないという一般的な合意がある。」としている。」と示されているとおりであり、これらについては、独立行政法人放射線医学総合研究所監訳「原子放射線の影響に関する国連科学委員会UNSCEAR二千十年報告書」及び社団法人日本アイソトープ協会が翻訳し、発行した「国際放射線防護委員会の二千七年勧告」に記載されているところである。

四について

令和七年三月二十四日の参議院環境委員会における御指摘の山中原子力規制委員会委員長の答弁は、答弁を求められた事項が原子力規制委員会の所管外であったことから、一般論として、原子力規制に反映すべき新たな知見が得られた場合には、当該知見を踏まえて対応を検討するという同委員会の基本的な姿勢を述べたものであるが、いずれにせよ、御指摘の「判断基準」を「見直すこと」については、同委員会の所管外の事項であり、お尋ねについて同委員会としてお答えする立場にはない。

参議院の原文

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる