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準備期間が極めて短い中で執行された衆議院議員総選挙に関する質問主意書
参議院 第221回 第26号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×7
質問本文
第五十一回衆議院議員総選挙(以下「第五十一回総選挙」という。)は、準備期間が極めて短い中、厳冬期の二月に執行された。特に、豪雪地域においては選挙資材の輸送、投票所の設営、除雪、投票所までの交通確保など、これまでの選挙に比べて多大な準備と追加的経費が必要になったとの指摘がある。また、選挙事務の実施主体である地方自治体においては、短い準備期間だったことによる職員の過剰な業務負担を指摘する声が上がっている。さらに、第五十一回総選挙の影響により、令和八年度予算は年度内に成立せず、国民生活に大きな影響を及ぼすこととなった。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 第五十一回総選挙の執行について、政府は予備費から約八百五十六億円の支出を決定した。現時点の支出済額について、速報値その他政府が把握している数値を示されたい。また、令和六年十月に執行された第五十回衆議院議員総選挙(以下「第五十回総選挙」という。)の経費と比較してどの程度の差があるか示されたい。
二 第五十回総選挙から一年半に満たない間に第五十一回総選挙が執行されたことについて、政府は国費の観点からどのような認識を有しているか示されたい。また、仮に、第五十一回総選挙に係る経費が約八百五十六億円である場合、国民一人当たり約七百円の負担が生じた計算となる。物価高が続く中で国民負担を増大させた側面があるとの指摘について、政府はどのように受け止めるか示されたい。
三 第五十一回総選挙は、衆議院解散から四日後に公示という極めて短期間で執行された。そのため、短期間での契約・発注等により、投票所・ポスター掲示場の設営、選挙公報の発行等の経費がこれまでの選挙よりも割高となったと考える。第五十一回総選挙における短期間での契約・発注等により、第五十回総選挙と比較して、どの程度経費が上昇したか、政府の見解を示されたい。
四 厳冬期以外における選挙執行と比較し、厳冬期における選挙執行によってどのような追加的負担が生じたと政府は認識しているか示されたい。
五 前記のとおり、第五十一回総選挙は、短い準備期間での執行により、地方自治体職員の業務負担が極めて大きかったとの指摘がある。令和八年三月二十七日の参議院予算委員会において、都道府県選挙管理委員会事務局職員の一月の時間外労働が最長二百四十四時間だったと政府が答弁したことからも明らかである。第五十一回総選挙においては、選挙管理委員会の職員だけでなく、休暇を取得していた職員や他の部門の職員も総動員して土曜日や日曜日にも準備を行わせるなど、長時間労働を強いることになったことについて、政府は事前に想定していたか示されたい。また、同選挙後に調査等を行い、長時間労働の実態を把握しているか示されたい。
六 第五十一回総選挙は、全国的な受験シーズンと重なった。選挙期間中においては、街頭演説や選挙カーからの連呼などが各地で行われるため、受験への影響があったと思料する。また、選挙権を有する十八歳の若者の多くが受験を控えていたことにより、勉強のために期日前投票の時間を確保できないケースや投票日と受験日が重複したケースもあったと承知している。第五十一回総選挙の執行時期は適切であったと考えるか、政府の見解を示されたい。
七 高市内閣総理大臣は、令和八年一月十九日の解散表明の記者会見において、「なぜ、今なのか。高市早苗が、内閣総理大臣で良いのかどうか、今、主権者たる国民の皆様に決めていただく、それしかない。そのように考えたからでございます。」と解散の理由を説明した。前記のように、第五十一回総選挙は、①第五十回総選挙から一年半に満たない時期であったこと、②衆議院解散から極めて短期間で執行されたこと、③厳冬期の二月に執行されたこと、④地方自治体職員に過剰な業務負担を強いたこと、⑤全国的な受験シーズンと重なったことなど、多方面にわたり大きな負担を強いることになった。同時期に第五十一回総選挙を緊急的に執行した理由をより具体的に示されたい。また、その具体的理由について、政府は、国民負担の増加や国会の審議時間短縮など、悪影響に値する緊急性があったという認識か示されたい。
八 高市内閣総理大臣は、前記七の記者会見において、「暫定予算の編成が必要になるかもしれません。」との懸念も示していた。第五十一回総選挙について、国民に信を問うべき政策の緊急性が明らかでないだけでなく、高市内閣総理大臣自身が、令和八年度予算の成立が遅れるというリスクを事前に見込んでいたとの理解でよいか示されたい。
九 令和八年度予算は年度内に成立せず、暫定予算を編成する結果となった。長年にわたる国会における予算審議の慣例を踏まえれば、当該事態は事前に予測されたことである。高市内閣総理大臣の解散時期の判断は、国会を軽視した極めて不見識なものであったと言わざるを得ない。令和八年度予算が年度内に成立しなかったことに対する責任について、政府はどのように受け止めているか示されたい。
十 前記のとおり、第五十一回総選挙の影響により、衆議院予算委員会における審査時間が大幅に短縮され、物価高対策等の議論に十分な時間を充てることができなかった。また、令和八年度予算の成立が四月にずれ込み、新たな物価高対策等を講ずるタイミングも後ろ倒しとなったと考えるが、政府の認識を示されたい。
十一 近年、諸外国においては、首相等による議会解散権の行使について一定の制約を設ける制度が議論又は導入されていると承知している。政府はこうした国際的動向をどのように認識しているか示されたい。また、我が国における衆議院解散の在り方について制度的検討を行う考えはあるか示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一及び三について
お尋ねの「速報値その他政府が把握している数値」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「第五十一回総選挙」の執行に係る経費については、国及び地方公共団体において、現在会計処理を進めているところであり、現時点で具体的な金額をお答えすることは困難であり、また、お尋ねの「第五十回総選挙」の執行に係る経費と比較して、「どの程度の差があるか」及び「どの程度経費が上昇したか」についてお答えすることは困難である。
二について
お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第二百六十三条の規定により、衆議院議員又は参議院議員の選挙に関する費用は国庫の負担とすることとされているところ、選挙は、民主主義の根幹をなすものであり、御指摘の「第五十一回総選挙」の執行に係る経費については、その選挙を適正に行うために必要なものである。
四について
御指摘の「厳冬期以外における選挙執行と比較」及びお尋ねの「追加的負担」の意味するところが必ずしも明らかではないが、総務省においては、御指摘の「第五十一回総選挙」に際して、「第五十一回衆議院議員総選挙及び第二十七回最高裁判所裁判官国民審査の投票日等における降積雪対策について」(令和八年一月十九日付け総行管第四十八号総務省自治行政局選挙部長通知)により、「ポスター掲示場の埋没・倒壊、投票用紙・投票所入場券・選挙公報・審査公報等の配布遅延等、予想される積雪による管理執行上の支障に対する措置について、事前に十分検討する」ことを各選挙管理委員会に対し、要請したところである。
五について
御指摘の「短い準備期間での執行」及び「選挙管理委員会の職員だけでなく、休暇を取得していた職員や他の部門の職員も総動員して土曜日や日曜日にも準備を行わせるなど、長時間労働を強いることになったこと」の意味するところが必ずしも明らかではないが、選挙に関する事務の性質上、「第五十一回総選挙」に限らず、平日夜間や休日も含め、選挙管理委員会の職員に時間外労働が一定程度生ずるものと認識している。
お尋ねの「実態」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、選挙管理委員会の個々の職員の状況について網羅的に把握しているものではないが、都道府県選挙管理委員会の職員のうち、令和八年一月の時間外労働が最も多い職員の時間外労働の時間数は二百四十四時間であることは把握している。
六及び七について
お尋ねについては、令和八年三月三十日の参議院予算委員会において、高市内閣総理大臣が「解散・総選挙の時期につきましては、物価高対策などについて令和七年度補正予算で当面の対策を措置し、その後順次執行が進んでいたこと、そしてまた、重要な政策転換は主に今年の国会で御審議いただくものが多かったことから、その前に国民の皆様の信を問うべきだと考えたこと、さらには、一月一日の能登半島地震、また奥能登豪雨の犠牲者追悼の日ですとか、一月十七日の阪神・淡路大震災追悼の日を静かな環境で迎える必要があったことなどを考慮したものでございます。その上で、できるだけ早く国会を開会させ、今年度末までの成立が必要な法案や令和八年度予算の早期成立を図り、国民生活への影響を最小限にするために、総選挙を速やかに実施をいたしました。」と答弁しているとおりである。
八について
お尋ねの「令和八年度予算の成立が遅れるというリスクを事前に見込んでいた」の意味するところが必ずしも明らかではないが、暫定予算については、令和八年三月三十日の参議院予算委員会において、高市内閣総理大臣が「予算及び予算関連法案の年度内成立というのは、これは国民の皆様の生活を守っていくためにも、また産業を守っていくためにも大事だということで、この認識は与野党共に同じだと私は考えてまいりました。解散の時点でそのような前提では考えておりません。」及び「年度内の成立はお願いしつつも、可能性としては、そしてまた制度、そういった方法があるということは理解をいたしておりました。」と答弁しているとおりである。
九について
お尋ねについては、令和八年三月三十日の参議院予算委員会において、高市内閣総理大臣が「これまで、国民生活に支障を生じさせないよう、令和八年度予算の年度内成立を目指したいと申し上げてまいりました。結果的に、令和八年度予算関連法案については例年になくスピーディーに御審議いただいており、衆議院では三月十三日に可決いただいており、現在参議院でも精力的に審議をいただいております。これは、政府として令和八年度予算の年度内成立を目指す方針を一貫して申し上げ、与党の皆様に御尽力いただき、野党の皆様にも御協力をお願いしつつ、国会での御審議に誠実に対応してきた成果であると思います。他方、国会審議の進め方は国会で決めていただくものでありますから、年度内の成立が不可欠な予算関連法案もある中で、国会運営上、野党の皆様から今後の予算審議日程をお決めいただく前提として暫定予算の編成が必要とのお話もあり、予算の空白は一日も許されないということから、今般暫定予算を編成することとしたということでございます。」と答弁しており、また、同月三十日の記者会見において、尾﨑内閣官房副長官が「国会において、年度内成立をお認めいただけなかったことは大変残念だと、そのように考えております。」及び「政府としては、引き続き、令和八年度予算を一日でも早く成立させることが、国民生活に影響を生じさせないための最善の策であると考えておりまして、誠実な対応を行ってまいりたいと、そのように考えています。」と述べているとおりである。
十について
国会における予算委員会等の開催については、国会の運営に関することであり、政府としてお答えする立場になく、また、御指摘の「新たな物価高対策等」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、令和八年三月十一日の記者会見において、高市内閣総理大臣が「今後、原油価格が上昇した場合には、ガソリン価格の上昇が見込まれますが、そうした中にあっても、小売価格を全国平均で百七十円程度に抑制するとともに、軽油、重油、灯油などについても同様の措置を講じることとしました。・・・さらに、その後、中東情勢の動向や、それを受けた原油価格の水準も見極めながら、必要な手を打ってまいります。中東情勢の先行きは、いまだ予断を許さない状況でありますことから、事態が長期化する場合にも、息切れすることなく持続的に国民の皆様の生活をお支えするべく、今後とも、支援の在り方は柔軟に検討してまいります。」と述べているとおりであり、今後も適時適切に対応してまいりたい。
十一について
前段のお尋ねについては、例えば、令和七年五月に衆議院憲法審査会事務局が作成した「「衆議院の解散」に関する資料」において、「諸外国の解散制度」について紹介されていることは、承知している。
後段のお尋ねについては、「制度的検討」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、政府として、衆議院の解散の在り方について検討を行うことは考えていない。