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豪雪地帯の防災対策に関する質問主意書
衆議院 第112回 第33号
質問本文
衆議院議長 原 健三郎 殿
豪雪地帯の防災対策に関する質問主意書
国土庁の「昭和六十三年版防災白書」によると、六十一年度の自然災害による死者及び行方不明者は全国で七十人前後で、戦後最低であり、その理由として、大災害のなかつたことに加え、「国土保全事業と防災体制の充実によるところが大きい」と報告されている。
しかし、前年の災害の少なかつたことは、当年も平穏ということにはならないばかりか、いつそう気の緩みを戒めるべきである。
同白書でも「局地的に突然発生する土砂災害や雪崩などによる人的被害が目立つてきている」と述べている。いまだ土砂災害危険箇所の多いのも現実であり、特に、積雪寒冷地域における諸課題についても、積極的な対策を進めるべきである。
従つて、次の事項について質問する。
一 豪雪地帯は、国土の約五十二パーセントを占め、第四次全国総合開発計画で示している、国土の均衡ある発展のために、人口と諸機能の分散を推進すべき地域でもある。しかし、毎年恒常的な雪害により、生活環境をはじめ、産業基盤の整備や日常生活条件等で他地域との格差が大きい。今後いつそうの克雪対策の充実を図り、地域の特性、潜在的発展力を生かした活力ある地域づくりを目指すべきである。そのためにも、去る三月二十七日に閣議決定した「豪雪地帯対策基本計画」の実施に当たり、その裏付けとなる財源の確保について積極的に措置すべきであると思うが、今後の対処を伺いたい。
二 毎年積雪に対する除排雪等の対策に莫大な経費を投じているが、雪対策設備を社会資本として整備する考えに立ち、多目的の克雪用水の確保や流雪溝等を積極的に推進すべきである。特に、地方自治体に対しては、それら施設に対し財政措置を大幅に講じ、早期の実現を図るべきであると考えるがどうか。
三 特別豪雪地帯の指定について、昭和五十八年以降、見直されていない。指定基準を緩和し、農山村の克雪対策を推進すべきであると考えるが、政府の見解はどうか。
四 地吹雪対策について
1 局地的(山形県庄内地方、青森県津軽地方、北海道石狩、後志地方)ではあるが、近年交通量の増大に伴い、毎年同じ時季に、同じ場所で、同じ現象による交通事故の多発を繰り返している。科学技術庁はじめ、地吹雪に対する研究依託調査も進んでいると思うが、国は具体的な施策をどのように進めてきたのか伺いたい。
2 地吹雪対策としての防雪柵について、種々の形式が研究されている。しかし、年間の進捗は限られ、特に地方道においては、対策も遅れ、事故も多い。地権者との問題等もあるが、積極的に緊急課題として取り組むべきであると思うがどうか。
五 雪害情報システムについて
1 気象情報は、冬期活動の維持並びに被害の未然防止等のために重要である。特に積雪寒冷地においては、峠やトンネルを抜けると気候が急変していることが多い。局地的予測について、観測点をよりきめ細かく設置すべきであると考えるが、今後の対策について伺いたい。
2 地吹雪については、今日までの研究で、風速と気温と降雪量によつて発生することは確認されている。定量的な研究は今後にまつとして、地吹雪の発生する条件に近づいたら気象業務として予報を報道すべきであり、発生している状況についても、報道すべきと思うがどうか。また、地域によつて実施しているところがあれば、報道している地域と報道の手順、内容等について伺いたい。
3 道路情報については、道路交通の危険防止、異常気象時の通行規制等について、道路標識等、各種の情報で周知徹底を図るとともに、気象の急変する冬期間についてはカーラジオが有効と考える。特に、トンネル内においての非常用施設で、ラジオ再放送設備については重要である。昭和五十六年四月の道路トンネル非常用施設設置基準では、その延長一万メートル以上で、交通量が一日四千台以上に、原則として設置するとなつている。多額の経費を必要としない、重要な情報を提供するラジオ再放送設備について、国は交通量の増大する時代に即して、特に豪雪地帯に対してトンネル、覆道に対する設置の基準を大幅に改正して、設置を推進すべきと考えるがどうか。
六 克雪・利雪対策や、克雪用水を確保する方策等に関する研究など、産・学・官一体の総合的な調査、研究体制を確立すべきである。今後の積極的な取組みを伺いたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
今後とも第四次全国総合開発計画(昭和六十二年六月三十日閣議決定)及び豪雪地帯対策基本計画(昭和六十三年四月五日総理府告示第十号)に基づいて克雪対策の充実を図るとともに、雪国の特性に応じた定住及び交流のための条件整備を進めてまいりたい。また、その推進に当たつては、必要な資金の確保に努めてまいりたい。
二について
克雪用水の安定的な確保のため、雪対策ダム事業等を推進しているところである。また、雪寒事業等の中で流雪溝等の整備を推進しているところである。
地方公共団体の積雪による増加経費については、地方交付税による措置が講じられているほか、特別豪雪地帯の市町村に対しては、一般単独事業債のうちに、特別豪雪対策分として特別の枠を設け、防雪施設等の整備に対する財政措置を講じているところである。
三について
特別豪雪地帯は、豪雪地帯のうち、積雪の度が特に高く、かつ、積雪により長期間自動車の交通が途絶する等により住民の生活に著しい支障を生ずる地域について指定されており、重点的に対策を実施しているところであるが、他の地域とは依然として相当の格差が存在しているのが現状である。したがつて、引き続き現行の指定地域について対策を推進していくことが必要であると考えており、当面は現行の指定基準で対処してまいりたい。
四の1について
地吹雪の発生する地域においては、防雪柵等の設置を促進し、地吹雪の発生の防止を推進している。また、交通安全教室、講習会等における安全教育を通じて、自動車運転者等に対して地吹雪発生時の対応についての指導・教育を推進するとともに、地吹雪に対する安全対策を盛り込んだ各種の広報紙誌を配布する等交通事故の防止のための広報啓発活動を積極的に推進している。
地吹雪が発生し、交通の危険又は障害が生じた場合は、道路交通情報の提供による注意の喚起、危険な道路区間の交通規制、警察車両等による広報・警戒活動等を積極的に推進し、交通事故の防止に努めている。
地吹雪の調査・研究については、地吹雪の発生機構の解明と地吹雪による災害防止技術の開発に関する研究を行つている。
四の2について
道路の地吹雪対策としての防雪柵等の整備については、安全で円滑な冬季の道路交通の確保のための重要な課題と考えており、現地の自然条件、社会条件等に配慮しつつ、今後とも積極的に推進してまいりたい。
五の1について
気象庁は、各気象官署における観測を始め、所要の地点における地域気象観測システム(アメダス)、気象レーダー、静止気象衛星等の総合的な利用により、地域的にもきめ細かな気象観測を実施しており、さらに、これらの観測に加え鉄道会社、電力会社等気象庁以外の者により実施される気象観測の成果の収集にも努めているところである。
なお、降水(雪を含む。)に関しては、よりきめ細かな地域的予測を行うため、各気象官署等の観測成果の高度活用を可能とする高性能電子計算機システムである気象資料総合処理システムの充実に努めているところである。
五の2について
気象庁は、各気象官署において、常時地吹雪を観測し、地吹雪に伴う吹きだまり、視程障害等による災害のおそれが予想される場合は、風雪注意報又は暴風雪警報を発表するほか、必要な情報を発表して、注意又は警戒を呼び掛けているところである。
五の3について
トンネル内のラジオ再放送設備は、トンネル内の火災その他の事故の発生等の緊急時に、道路管理者から運転者に対し必要な情報を伝達するための施設であり、道路トンネル非常用施設設置基準(昭和五十六年四月二十一日付け建設省都市局長・道路局長通達)では、トンネル延長と交通量を勘案してラジオ再放送設備を設置することとしているところである。
今後ともこの基準に基づきラジオ再放送設備の整備に努めてまいりたい。
六について
雪氷害の防止技術に係る調査・研究の重要性にかんがみ、従来から防災に関する研究開発基本計画(昭和五十六年七月二十二日内閣総理大臣決定)の方針に沿い、国立防災科学技術センター等の関係機関の密接な連携の下に、その推進を図つてきたところである。今後とも、豪雪地帯対策基本計画をも踏まえつつ、産・学・官の連携を図り、克雪・利雪対策等に係る調査・研究の一層効果的な推進に努めてまいりたい。
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