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土砂災害防止対策に関する質問主意書
参議院 第187回 第28号趣旨が明らかではない ×3
質問本文
昨年の伊豆大島における土砂災害に引き続き、平成二十六年八月には広島で豪雨による土砂災害が発生し、死者七十四名にも上った。これらの土砂災害が発生した場所においては、避難勧告の遅れや土砂災害危険箇所の土砂災害警戒区域等への指定の遅れなどの問題点が指摘されている。
平成十一年六月豪雨の際の広島市における土砂災害をきっかけに、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(以下「土砂災害防止法」という。)が制定され、政府は、同法改正案を今国会に提出しているが、それだけでは十分とは言い難い。
国民の生命・財産を守るため、政府は地域の自然災害の特性を踏まえたまちづくりを推進するとともに、住民に土地の危険性を正しく理解していただくよう努めるべきである。右の点を踏まえて、今後の土砂災害対策の在り方等について、以下質問する。
一 法施行から十三年以上経過するにもかかわらず、土砂災害危険箇所のおよそ三割では、土砂災害防止法第四条に定められる基礎調査がいまだ一度も行われていない。政府の提出している土砂災害防止法改正案では、都道府県に対し基礎調査の結果を公表することを義務付けているが、そのためには、土砂災害防止法に定められている都道府県による基礎調査の実施を確実なものとする必要がある。基礎調査の実施促進に向けた具体策について明らかにされたい。
また、土砂災害警戒区域に指定されても土砂災害ハザードマップ等の印刷物を配布している市町村は約半数にとどまるとされているが、市町村による土砂災害ハザードマップ等の印刷物の作成及び配布の促進に向けた具体策について明らかにされたい。
二 土砂災害ハザードマップをはじめとする各種のハザードマップが、今後のまちづくりにおいても十分に活用されていく必要がある。特に、人口減少社会の進展とともに、集約都市(コンパクトシティ)を形成していくに当たっては、自然災害の発生するような場所に、人口を集中させず、自然災害を極力回避できるようなまちづくりを進めていく必要があると考える。
国土交通省による集約都市形成支援事業の実施に当たっては、防災的観点を踏まえた支援体制も確立していくべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
三 平成二十六年十月六日、平成二十六年台風第十八号によって、静岡市の由比地区で地すべりが発生し、JR東海道線や国道一号などが不通となり、物流や人流の大きな障害となった。
同地区のうち、地すべり等防止法に基づく「地すべり防止区域」に指定された箇所については、直轄で地すべり対策が行われているが、今回被災した箇所については、「地すべり防止区域」に指定されていなかったと報じられている。今回の被災箇所が「地すべり防止区域」に指定されていなかった理由について明らかにされたい。また、今回の土砂災害を受けて、「地すべり防止区域」の指定基準の見直しを検討しているか明らかにされたい。加えて、今後の由比地区における土砂災害防止対策について示されたい。
四 「土砂災害危険箇所」は、「土石流危険渓流」、「急傾斜地崩壊危険箇所」及び「地すべり危険箇所」からなっている。このうち地すべり危険箇所については、法指定による「地すべり防止区域」となっているものもあるが、その指定基準は、面積とともに、鉄道、道路等の重要な公共施設の存在が要件として定められている。しかし、土石流危険渓流及び急傾斜地崩壊危険箇所については、鉄道や道路の存在は指定要件とはされていない。
今回の由比地区で発生した土砂災害に見られるように、土砂災害によって主要な鉄道や道路が寸断されると、非常に大きな影響が生じることから、鉄道や道路が寸断しないようハードの土砂災害対策を推進していくため、土石流危険渓流及び急傾斜地崩壊危険箇所についても、鉄道や道路の存在を指定要件とするよう改めるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
基礎調査(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成十二年法律第五十七号)第四条第一項に規定する基礎調査をいう。以下同じ。)については、その進捗状況を把握し、公表すること等により、都道府県による実施を促進するとともに、防災・安全交付金により、その実施を積極的に支援してまいりたい。なお、都道府県による基礎調査の結果の公表の義務付け等を内容とする土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を第百八十七回国会に提出したところである。
また、土砂災害ハザードマップについては、都道府県に対し、電子地図の提供等の市町村への支援を行うことを要請するとともに、都道府県を通じて先進的な取組事例を収集し、対応が遅れている市町村への周知及び助言を行うこと等により、市町村による作成及び配布を促進してまいりたい。
二について
集約都市形成支援事業は、地方公共団体等が行う、集約型の都市構造の形成を促進するためのまちづくりに関する計画の作成、実施等に対して支援するものである。
御指摘の「防災的観点を踏まえた支援体制も確立していくべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、集約型の都市構造の形成に当たっては、併せて都市の防災に関する機能の確保が図られる必要があると認識しており、地方公共団体等による当該機能の確保が図られることとなるよう、本事業を適切に実施してまいりたい。
三について
御指摘の「静岡市の由比地区」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十六年十月六日に静岡県静岡市清水区興津東町において発生した斜面崩壊の箇所においては、これまでに地滑りに特有の地形及び痕跡が確認されていないことから、地すべり等防止法(昭和三十三年法律第三十号)第三条第一項の規定による地すべり防止区域の指定を行っていないところである。また、当該斜面崩壊は、大雨に起因する表層崩壊であり、地滑りではないと考えられることから、当該指定の基準の見直しは検討していない。
静岡県静岡市清水区由比西倉澤・興津井上町においては、地滑りに特有の地形及び痕跡が確認され、同法第二条第四項に規定する地すべり防止工事を実施する必要性が認められたことから、平成十七年に同法第三条第一項の規定による「静岡県西倉沢地すべり防止区域」の指定を行っており、当該区域内においては、今後とも引き続き地滑りの監視及び観測を行うとともに、地下水を排除する排水トンネル工事の実施等を推進し、地域の安全を確保してまいりたい。
四について
御指摘の「土石流危険渓流」及び「急傾斜地崩壊危険箇所」に係る「指定要件」の意味するところが必ずしも明らかではないが、砂防指定地(砂防法(明治三十年法律第二十九号)第二条の規定により指定された土地をいう。)については、「砂防指定地指定要綱について」(平成元年九月十二日付け建設省河砂発第五十八号建設省河川局長通達)により「公共施設又は人家等の保全のため、砂防設備の設置又は一定の行為の禁止若しくは制限が必要と認められる区域」等について同条の規定による指定を行うものとされており、この「公共施設」には鉄道及び道路が含まれることから、これらを土石流等から保全すべき区域について同条の規定による指定を行うことは可能である。
また、急傾斜地崩壊危険区域(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和四十四年法律第五十七号)第三条第一項の急傾斜地崩壊危険区域をいう。)については、「急傾斜地崩壊危険区域の指定について」(昭和四十四年八月二十五日付け建設省河砂発第五十四号建設省河川局長通達)により「急傾斜地の崩壊により危害が生ずるおそれのある人家が五戸以上あるもの、又は五戸未満であつても、官公署、学校、病院、旅館等に危害が生ずるおそれのあるもの」等について同項の規定による指定を行うものとされているが、鉄道及び道路の区域については、それぞれの管理者において安全対策等を実施することとなるため、鉄道及び道路の存在を、同項の規定による指定の要件とすることは検討していない。
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