ことばで探す › 衆議院 第134回
人種差別撤廃条約(第一条)に関する質問主意書
衆議院 第134回 第8号
質問本文
一九六五年十二月二十一日、国際連合第二十回総会において採択された「人種差別撤廃条約」における第一条(人種差別の定義)について、次の諸点について質問する。
一 この条約の日本語訳における一般的な名称は、「あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約」とされているが、政府もこの名称を使用されるのか。条約の精神が「前文」とも言われる文面において「すべての人がいかなる差別」などの文言をしきりに使っていることに鑑み、部落差別のような現実も含め、広義に解釈すべきものと判断するが、政府の見解をお尋ねしたい。
二 次に、実体規定の第一条に、この条約において「人種差別」とは「人種、皮膚の色、門地又は民族的もしくは種族的出身に基づくあらゆる区別、除外、制約又は優先をいう」とあるが、条約の批准を政府は決意し、国会に提案されたかぎりは、「北海道旧土人保護法」という差別法を廃し、アイヌに関する「平等」を実現する国内法整備をいつごろまでに実現しようとされているのか。
三 この条約の文言のうち「Descent」なる単語は日本においては一般的に「門地」と訳されているが、中国では「世系」、韓国では「家門」と訳されている。政府はどのような訳語を使われるか。わが国には、今もなお、部落差別に見られるような人が人を差別する前近代的で不合理な現実がある。この「門地」なる言葉の精神に部落差別は含まれていると国連の「人種差別撤廃委員会」の関係者は解釈している。政府の見解をお聞きしたい。
四 言うまでもなく、この条約は一九六五年に国連で採択され、今日までに三十年という歳月が経っている。日本国憲法は「法の下の平等」(第十四条)を謳い「確立された国際法規の遵守」(第九十八条)を誓っているにもかかわらず、条約批准の国会への提案が、どうして世界の中の先進国といわれるわが国において国連で採択されてからも三十年、効力発生からでも二十六年にも及んだのか。現村山内閣の見解をお尋ねしたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
この条約の名称は、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」と訳している。
一般に、条約の前文は、その条約の作成に至った背景、条約の目的等を述べるものであり、締約国の権利義務は条約の本文によって判断される。この条約については、第一条1において、この条約の対象とする差別、すなわち「人種差別」について、「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するもの」と定義されている。
二について
政府としては、法制度のあり方を含めた今後のウタリ対策のあり方について、現在、内閣宣房長官の下に「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」を開催し、検討を行っているところであり、この懇談会の結論を踏まえて適切に対処することとしている。
三について
この条約第一条1の「descent」については、「世系」と訳している。この条約の趣旨及び目的、審議経緯、各国の関連措置、各国の解釈等を踏まえれば、この「descent」の語は人種、民族の観点からみた系統を表すものと解しているところである。
四について
政府としては、あらゆる形態の人種差別を撤廃するとのこの条約の趣旨にかんがみ、できるだけ早期にこの条約を締結することが重要であると考えてきたところであるが、この条約上の義務と表現の自由等憲法の保障する基本的人権との関係の調整が慎重な検討を要する問題であったこともあり、この点も含め検討に時日を要したものである。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。