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死刑の必要性、情報公開などに関する質問主意書

衆議院 第142回 第1号承知していない ×2検討してまいりたい ×1

提出者
衆議院
提出日
1998年1月16日
内閣転送 1998年1月19日
答弁書受領日
1998年2月13日
提出から28日
答弁の項目数
22
質問 2,378字/答弁 4,214字

質問本文

一九九七年十一月の日弁連要望書などに続き、九八年に入っても死刑廃止条約の批准を求めるNGO組織が国連人権委員会特別報告官に対し、日本に死刑執行の停止を求める緊急アピールの布告を要請するなど、死刑をめぐる論議が続いている現状を踏まえ、以下の点を質問する。「死刑の執行などに関する質問主意書」(九七年十二月十二日提出)に対する九八年一月十三日の答弁書には一部事実誤認や合理性を欠くとみられる部分もあるので、答弁内容をただした質問も付記する。

一 死刑の必要性について

1 死刑が刑罰として必要、相当な理由は。

2 死刑を必要、相当と認めず、廃止している国と日本とでは、どのような点に相違があると考えるか。

3 死刑によって、事件被害者の遺族感情を慰謝できると考えるか。

4 事件被害者の遺族に対する救済措置について、国の考え方、具体的な施策は現在どうなっているか。

二 死刑の情報公開について

1 情報公開法案の上程などが世論の関心を集めている現在、政府がかつて国会に開示していた事柄を非開示にするためには、どのような理由が必要と考えるか。

2 情報公開については世界各国の現況、潮流も国の施策に大きな影響を与えると考えるが、死刑確定者数、確定者の権利保障状況、執行数、執行方法などの情報公開について、国連加盟各国の状況はどうなっているか。日本政府より情報公開を進めている国があるとすれば、どのような点に相違があると考えるか。

3 一月十三日の答弁書では「一九八九年十一月の死刑執行当時までは議員の質問に日別の死刑確定者数や月別の死刑執行者数を回答していたか」との質問に「御指摘のような回答をした例は見当たらなかった」としているが、あらためて参議院法務委員会の会議録などを調査したところ、一九八四年三月二十七日の同委員会で、寺田熊雄委員が「今死刑囚で執行を受けずに待機しておる者は総計で何人ぐらいおりますか」と質問したのに対し、政府委員(筧榮一)は「死刑確定の未執行者でございますが、本日現在で二十六名でございます」と答弁している。また、八九年三月九日、同年十月三十日に議員紹介によるNGO組織との質疑の場で法務省の側から同様の回答があったとの資料を入手している。

これらの記録を見ると、死刑に関する情報開示について、議員の質問主意書にも十分回答しないという現在の姿勢はこうした過去の事実誤認に基づいたものではないのか。

4 過去の事実誤認がないとすれば、以前答弁していた事柄が現在回答できない理由は何か。

5 一月十三日の答弁書では「『法務統計月報』から『死刑執行』の項目が無くなったのは、平成三(一九九一)年一月分からである。これは、『法務統計月報』は月ごとの傾向を速報するものであり、死刑執行の数字まで登載して速報する必要はないと考えたからである」とあるが、なぜ「速報する必要がないと考えた」のか。九〇年十二月以前とそれ以降では、死刑をめぐり、政府の姿勢を変更しなければならないような何か大きな状況の変化でもあったのか。

三 死刑確定者の処遇などについて

1 一月十三日の答弁書記載の「心情の安定」とは何か。具体的に明らかにされたい。それを判断する基準、査定はどんな法令に基づき、どのように定められているのか。判断するのはだれか。

2 死刑確定者の「心情の安定」をはかるために、具体的にどのような施策をしているのか。

3 死刑執行の事実を公表することによって、執行された確定者の遺族の感情、ほかの死刑確定者の心情の安定などに影響を与えた実例を把握しているのか。

4 死刑確定者の面会や信書・物の授受などについて、現在の基本的な考え方の根拠となる法律、具体的な運用状況を明らかにされたい。また、過去と相違する点があるとすれば、どのような点がいかなる理由で変更されたか、その際に法律の改正などの措置が取られたかどうかも明らかにされたい。

四 恩赦について

1 恩赦は、代理人による申立が認められているか。認められているとすれば、その決定を代理人にいかなる方法で通知するのか。

2 恩赦の決定を申立人本人に通知するか。するとしたら、だれがいかなる手段、方法で通知するのか。

五 死刑をめぐる国際状況、国連への報告について

1 国連加盟国で死刑を廃止している国について、廃止前後の世論調査の結果、動向を把握しているか。

2 一九九四年の国連総会における「死刑執行停止を求める決議案」に、政府は賛成したか、反対したか。その理由は何か。政府内の議論の経緯、国会への報告などについても明らかにされたい。

3 刑事事件の国際手配、逃亡犯人引き渡しなどで、死刑廃止国から日本に死刑が存置していることを理由に協力を拒まれるなどしたケースはあるか。あるとすれば、どのようなケースか、具体的に明らかにされたい。

六 死刑執行の起案、決裁などについて

1 法務大臣が死刑執行命令を出す場合、命令書の起案、決裁にかかわる担当官はだれか。執行の順番はだれがどのような基準で決めるのか。

2 死刑確定者の動静を定期的に拘置所から報告を受けているか。

3 死刑執行に立ち会う刑務官はいつ、どのような人選を経て指名されるのか。刑務官はそれを拒否できるのか。また、拒否することで、不利益をこうむるのか。

4 刑場と刑具の規格は法令に定められているか。

5 現在、東京拘置所では建て替え工事が行われているが、刑場も建て替えているのか。その規模、予算を明らかにされたい。

七 死刑執行について

過去三年間続いた十二月の死刑執行はなかったが、死刑廃止条約の批准を求めるNGOなどによると、数人の同時処刑をあらため、今月から一人ずつ死刑を執行するとの情報が流されているようだが、事実か。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

死刑制度の存廃は、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等種々の観点から慎重に検討すべき問題であるところ、国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については、死刑もやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人、誘拐殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況等にかんがみると、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては、死刑を科することもやむを得ないと考えている。

一の2について

死刑制度の存廃の問題は、基本的に各国において当該国の国民感情、犯罪情勢、刑事政策の在り方等を踏まえて慎重に検討されるべきものであり、それぞれの国において独自に決定すべきものと考えているが、国際的には、様々な考え方があり、また、諸外国において死刑を廃止した背景にも、死刑が乱用された経験がある場合や、特定の罪について死刑のみが定められていて科刑における柔軟性が十分でなかった場合など様々なものがあり、我が国と単純に比較することには困難がある。

一の3について

被害者の遺族の感情は、各遺族それぞれに異なるものと考えている。

一の4について

事件被害者の遺族に対する救済措置は、不法行為責任に基づく損害賠償制度によりなされるところであるが、加害者に資力が無いために満足な救済がなされない場合が多いことから、実質的に救済を図る必要があると考えられる。

こうしたことから、社会連帯共助の精神に基づき昭和五十五年に犯罪被害者等給付金支給法(昭和五十五年法律第三十六号)が制定され、平成八年度には、二百一人の遺族に対して総額約五億円の給付金が支給されたところである。

二の1について

事柄によっては、それを開示することにより、個人の生活の平穏等の私的な権利利益を害し、又は公務の適正な遂行等の公共の利益を損なうおそれも認められるのであり、これらの利益を保護するためには、事柄によっては開示しないことも必要である。このような観点から、かつて開示されていた事柄が開示されなくなる場合も生じ得るものと考える。

二の2について

御質問の国連加盟各国の状況については、その詳細は把握していないが、情報公開の程度については、各国の刑事法制等の違いを反映し、おのずからその程度に差があるものと考えられる。

二の3及び4について

御指摘の答弁及び回答を行ったことは事実であるが、これらは、当時においても、個々具体的な死刑執行の事実が推測されるおそれがないと判断される場合において、年度途中の一定の日における死刑確定の未執行者数について回答するにとどめていたものである。現在は、毎年末の死刑確定の未執行者数について答弁等を行っているが、その理由は、死刑の執行などに関する質問に対する答弁書(平成十年一月十三日内閣衆質一四一第二一号)一の6についてで詳細にお答えしたとおり、個々具体的な死刑執行の事実を推測させないことにあり、死刑確定の未執行者数の答弁等に関する基本的姿勢は従来と変わりない。

なお、死刑確定の未執行者数につき、年度途中の一定の日における未執行者数で回答していたのを十二月末日現在の未執行者数で回答することとしたのは、各種質問等に対し統一的に対応するためであり、十二月末日現在の未執行者数で回答することとした以上、それ以上に年度途中における未執行者数について不規則に答弁することは、個々具体的な死刑執行の事実を推測させることになりかねず、その必要はないと考えている。

二の5について

法務統計月報については、他の統計業務と同様、業務の必要性に応じた合理化という観点から常に見直しを行っているところである。平成三年分の法務統計月報の変更に関しても、死刑をめぐる状況及びこれに関する政府の姿勢という観点ではなく、平成二年末に経常の業務の見直しの検討を行った結果、死刑執行数については、月ごとの傾向を速報する業務上の要請が無くなっていると考え、登載を取りやめたものである。

三の1について

死刑確定者は、来るべき自己の死を待つという極限的な状況に置かれており、ささいなことでも大きい精神的動揺と苦悩に陥りやすいことが十分推測されるところ、心情の安定とはそのような精神的動揺等の少ない心理状態のことをいう。死刑確定者の心情の状態については、具体的な状況に基づき、死刑確定者を拘置している各施設の所長において判断しており、監獄法(明治四十一年法律第二十八号)上の面会及び信書の発受の許否に当たっては、心情の安定ということも、当然、配慮されなければならないと考えている。

三の2について

死刑確定者を拘置している各施設では、日ごろから、死刑確定者の動静及び心情の的確な把握に努めるとともに、死刑確定者の心情の安定を図るため、希望者には教誨師による宗教教誨の機会の付与、請願作業の奨励、短歌などの趣味面での余暇活動の援助、ビデオ視聴、菓子類の購入許可等の種々の措置を講じている。

三の3について

御指摘の実例については、把握していない。

三の4について

監獄法第四十五条及び第四十六条は、在監者の面会及び信書の発受については、所長による許可制度を採用しているところである。死刑確定者の面会及び信書の発受については、従前から、これらの規定に基づき、一般的には、例えば、親族との間では原則として自由としているところであり、また、弁護士等その他の者で必要があると認められる者との間でもこれを原則として認める取扱いとしているなど、死刑確定者の心情の安定に配慮しつつその身柄を確保するという収容の目的等に照らし、個々具体的な事案ごとにその許否を決しているところである。

また、物の授受については、同法第五十二条及び第五十三条並びに同法施行規則(明治四十一年司法省令第十八号)第百四十二条から第百四十七条までの規定に基づき、その許否を決しているところである。

なお、十四歳未満の者には在監者との面会を許さないとしていた同規則第百二十条は、平成三年八月七日削除された。

四について

恩赦の出願は、代理人による出願を認めている。

恩赦の決定の通知に関しては、まず、中央更生保護審査会で恩赦相当の議決がなされたときは、同審査会の法務大臣に対する申出に基づき、内閣が閣議により恩赦の決定をし、天皇の認証後、恩赦法(昭和二十二年法律第二十号)第十三条及び第十四条並びに同法施行規則(昭和二十二年司法省令第七十八号)第十一条第一項及び第二項並びに第十三条の規定により、法務大臣名で恩赦状を作成し、有罪の言渡しをした裁判所に対応する検察庁の検察官において恩赦があった旨を判決原本に付記した後、上申をした者を通じて恩赦状が本人に交付され通知がなされる。

次に、中央更生保護審査会で恩赦不相当の議決がなされたときは、同規則第十条の規定により、上申をした者にその通知がなされ、その後上申をした者から出願者本人に通知がなされることになっている。本人に対する不相当議決の通知の方法については具体的規定はないが、一般的に、本人が在監中の場合は、口頭で直接本人に通知されている。

代理人に対する通知については特に規定されておらず、代理人による出願の場合も、通知は本人に対して行われている。

五の1について

国際連合加盟国における死刑に関する世論の動向については、十分に把握しているわけではない。

五の2について

平成六年の第四十九回国連総会における死刑決議案については、我が国としては、死刑制度の存廃の問題は、基本的に各国において当該国の国民感情、犯罪情勢、刑事政策の在り方等を踏まえて慎重に検討されるべきものであり、国際機関の場で死刑制度の是非を決するになじまないとの理由から、右国連総会第三委員会における投票の際に反対票を投じており、右決議案は、反対多数により否決されたものと承知している。なお、右第三委員会における審議の場において、我が国代表は右の我が国の立場を表明している。

第四十九回国連総会における右決議案に関しては、これまで国会への報告は行っていないが、死刑制度の存廃についての我が国政府の考え方については、累次国会において答弁してきている。

五の3について

イラン国籍の男性が日本人女性を刺殺した被疑事件について、警察庁から国際刑事警察機構を通じ関係国に被疑者の所在発見を求めたところ、スウェーデン王国において同人が身柄拘束されたため、外交ルートを通じ同国政府に対し同人の引渡請求を行ったが、平成六年四月、同人に死刑が適用されない保証がないとして引渡しを拒否された事例がある。

なお、同人については、平成七年六月、スウェーデン王国においてスウェーデン刑法に基づき本件殺人事件により十年の拘禁刑が確定したところである。

六の1について

個々具体的な死刑執行の決定に関する事項については、答弁は差し控えさせていただきたい。

法務大臣が死刑執行命令を発する手続について一般的に申し上げると、死刑の判決確定後、関係検察庁の長からの死刑執行に関する上申を待って確定記録を取り寄せ、省内関係部局をして判決及び確定記録の内容を十分精査せしめ、刑の執行停止、再審又は非常上告の事由の有無、恩赦を相当とする情状の有無等について慎重に検討し、これらの事由等がないと認めた場合に、初めて死刑執行命令を発することとしている。

六の2について

法務大臣は、適宜御指摘の報告を受けている。

六の3について

死刑執行については、施設長が、死刑執行前に、施設全体の職員の配置状況を見ながら、死刑執行を円滑に遂行できるように必要な人数の職員を指名して指示しているところである。この指示は、職務命令であり、これまでも職員は同指示に基づいて当該職務の執行に従事してきたところである。

六の4について

監獄法第七十一条第一項は、「死刑ノ執行ハ監獄内ノ刑場ニ於テ之ヲ為ス」と定めている。

また、御指摘の刑具については、絞罪器械図式(明治六年太政官布告第六十五号)に定められている。

六の5について

東京拘置所の刑場については、全体改築に併せて建て替える予定であるが、その配置計画、規模、予算等については、検討中である。

七について

個々具体的な死刑執行に関する事項については、答弁は差し控えさせていただきたい。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

承知していない ×2検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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